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床面積

「 目 次 」

■ 
001 床面積の区画の中心線の設定方法(法第92条,令第2条第1項第3号)
       
地下室の2重壁の場合
       
各種の壁の例
       
エキスパンションジョイント(EXP.J)部の床面積の算定

■  002 床面積算定例(法第92条,令第2条第1項第3号)
       
「 ピロティ部分の取り扱いその1」
        @ 「十分に外気に開放」の考え方
        A 廊下状のピロティの例
        B 自動車車庫(自転車駐輪場)等の用途に供した例
        C 自動車車庫等の用途に供した例
        D 通路状のピロティの例
        E 庭園等として利用した例
       「 ピロティ部分の取り扱いその2」

        
床面積に算入されない通路状のピロティの例1,2 (2008横浜市pdfより)
        
床面積に算入されない通路状のピロティの例3 (2008横浜市pdfより)
        
平地上に建つ高床式等の建築物の例
        
がけ上に建つ高床式等の建築物の例
       
公共用歩廊,傘型建築物等の算定例
       
荷さばきスぺースの算定例 
        改正 大規模庇等の積卸しスぺースの建築面積(/容積率/床面積)算定 
         倉庫等の大規模庇等に係る建ぺい率算定上の建築面積の算定方法の合理化 (令和5年4月1日施行)
       
玄関,ポーチ等庇の算定例
        @ ポーチ(建築物への出入りのための空間で,建築物本体の壁面から突出しているもの)
        
A 寄りつき
        
B 通行以外の用途(駐輪スペース等)に利用される場合
        
C 通行のみに供される場合でもシャッター等で区画されている場合
       
■  003 ピロティ,バルコニ(ベランダ),吹きさらしの廊下,屋外階段などの床面積の算定について (昭和61年建設省住指発115号)
       吹きさらしの廊下の算定例(吹きさらしのバルコニー,ベランタも準ずる)
        @ 吹きさらしの廊下の定義
          吹きさらしの廊下の算定例 (横浜市の取扱い)
          参考).吹きさらしの廊下等 (「平成18年鳥取県生活環境部景観まちづくり課 」の取扱い)
        
A 隣地境界線からの距離の考え方
          通常
形態の柱,妻側の面のそで壁及び各住戸間の隔壁があるバルコニーの場合
          勾配のある屋根の吹きさらしの廊下,バルコニー
          吹きさらしの廊下の各所の例
         共同住宅の共用廊下の容積不算入 Q&A (建設省住宅局市街地建築課)     
         廊下の目隠しスクリーンの取扱い
          距離(2m及び1m)の検討
         
  距離の検討1
            距離の検討2
            接続する双万の廊下が床面積に算入されない場合
            主要構造部の柱,梁に囲まれたバルコニー/壁構造の柱,梁,壁に囲まれたバルコニー
            コの字型(口の字型)のバルコニー
            廊下相互が対面し,または口の字形に構成される廊下/口の字形に構成される廊下
          審査請求にて違法性が唱えられているバルコニー,ベランダの例


■  004 屋外階段の床面積の算定 (昭和61年建設省住指発115号)
       
床面積に算入しない屋外階段の基準
       
屋外階段の算定例1〜12
       
屋外階段が接する開放廊下部分の床面積の算定方法1〜3
       
廊下が対面する当該建築物の部分について (横浜市,東京都通達,JCBA)
       廊下が対面する当該建築物の部分について例1 (横浜市,東京都通達,JCBA)

■  005 出窓の床面積の算定 (法第92条,令第2条第1項第3号)/(昭和61年4月30日住指発115号)(横浜市も同様)
       出窓の算定
       その他,算入される出窓の例1
       その他,算入される出窓の例2
       出窓部分に棚(戸棚)等がある場合

■  006 その他の床面積の算定について (法第92条,令第2条第1項第3号)/(昭和61年4月30日住指発115号)(横浜市も同様)
       
体育館のギャラリー等の算定例 
       
小屋裏物置等の考え方/例1,例2
       
デッドスペースの考え方
       
受水槽,貯水タンクを設置する地下ピット等
        
各種地下ピットの例1〜4
       
エレベーターの昇降路(シャフト)の容積率不算入について (改正法)
       
パイプスペース,ダクトスペース及び煙突の算定例

■  007 機械式立体自動車車庫の「面積及び階数の算定基準」
       「関連法」
       法第92条,令第2条第1項第5号(築造面積),令第138条第3項第二号(自動車車庫の用途に供する工作物)
       ,S50年建告第644号(工作物の築造面積の算定方法),昭和61年4月30日住指発第115号
       
「立体自動車車庫が建築物に該当するか否かの判定基準」
       
立体自動車車庫判定フローチャート
       機械式立体自動車車庫の「面積及び階数の算定基準」
        
(1)床面積の算定は,次によるものとする
          
ア-1.駐車装置を建築物の屋内空間の一の階に設ける場合
            @.多段方式(昇降方式),エレベーター方式,エレベータースライド方式又は平面往復方式 (及び平面パレット式を含む)
            例.エレベータースライド方式
            A.多層循環方式,水平循環方式又は垂直循環方式(吊上げ式,いわゆるメリードーランド方式)
          
  その他). 駐車装置を建築物の屋内空間に設けた立体駐車場について
              /駐車場又は自転車置場がある場合の緩和(令2条1項4号,3項)
            専ら「停留」または「駐車」ための施設の判断例 (ターンテーブル他)
          
ア-2.独立した機械式立体自動車車庫等 (その他JCBA抜粋)
            垂直循環方式(吊上げ式,いわゆるメリーゴーランド式)/エレベーター方式/エレベータースライド方式

            その他).・多段式駐車装置について/・吊上式自動車車庫(メリーゴーランド式)について(S35第368号通達)
          
イ〜カ
          
キ.1層2段等の自走式自動車車庫の面積の算定について
        
(2)築造面積の算定 (昭和50年建設省告示第644号
        
(3)建築物となる駐車装置の階数
       「自動車車庫の用途規制の取扱い」
          (1)用途規制
          (2)建築物の屋上を利用した自動車車庫の取扱い
            (省略)
          建築物の屋上に自動車車庫を設置する場合の防火及び避難上の指導基準
            (建企指1014号建築局長平成8年4月25目)
            (まち建企第2385号 まちづくり調整局長平成20年3月24目改正)
            (省略)
          その他,団地内特例他注意
            (省略)
          【通達】
            自動車車庫〜中古車展示場等
            (省略)
          「機械式自転車車庫(駐輪場)」 (1995K)(横浜市も同様)
       
「機械式自転車車庫(駐輪場)」
       
「ラック倉庫」 (概要)



■  001 床面積の区画の中心線の設定方法(法第92条,令第2条第1項第3号)

【面積、高さ等の算定方法】
令第2条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 算定方法 ⇒ 法第92条 「面積、高さ及び階数の算定」
(省略)
三  床面積  建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
(省略)



建築物の壁その他の区画の中心線の設定万法は,壁体全体の厚みの
中心線をとるのが基本であるが,建築物の構造や仕上げ材との組合せにより壁厚が変化するので,通達で中心線の設定方法の考え万が示されている

地下室の2重壁の場合 (1995K)

地下室等で外部からの漏水を防ぐために設けられた2重壁における区画の中心線の考え方は,主要な構造躯体である
RC壁の中心で捉えるのが妥当であろう。

CB壁の中心や,2重壁を1つの壁として捉えてその中心とするなどの考え方もあるが,内側のCB壁は構造躯体ではなく,構造躯体と一体となっているものでもない。また,CB壁がない場合もある。ただし,
排煙や採光を考える際の内部空間の面積として,内側のCB壁の中心で室の有効面積を算出するのは,差し支えないと考えられる。




建築物の壁その他の区画の中心線の設定万法

各種の壁の例 (1995K)

断面図





情報
)  鉄骨ALC版の壁の設定基準について(東京都K区での確認情報より)

鉄骨造 薄型パネルALC板50mmの壁
情報)  鉄骨ALC版の壁の設定基準について(東京都K区での確認情報より)

通達(
※1)の文面から判断すると,ALC板なので,その中心線での算定と思いきや,薄型パネル35mm50mmに関しては胴縁の中心線(C型チャンネル等の胴縁の中心線のこと)での算定でよいとのこと。薄型の定義にもよると思われますが,75mmはALC板の中心線での算定とのこと。かなり微妙な判断です。
50mmに関しては「神奈川県建築基準法取扱基準」も同様の扱いのようです。

※1
) 通達
建設省住指発第115号 昭和61年4月30日  通称:昭和61年通達第115号  特定行政庁建築主務部長あて 住宅局建築指導課長通知

床面積算定上の区画の中心線の設定方法について

=要 旨=
鉄骨造の建築物において、プレキャストコンクリート板(以下「PC板」という)、軽量気泡コンクリート板(以下「ALC板」という)等を胴縁等に取り付ける場合の区画の中心線は「胴縁等の中心線」とする。

=内 容=
建築物の壁その他の区画の中心線の設定方法については、床面積の算定方法について(昭和61年4月30日住指発第115号(以下「通達」という))により通知されているところであるが、20 年近く経過した今日において、通達で示された事例とは異なる構造方法の外壁もみられるようになってきている。
例えば、鉄骨造の建築物において、ALC板を外装材に使用する場合においては胴縁等の骨組をALC板と内装材で挟んで
複層構成の外壁とする事例などがある
このため、鉄骨造の建築物において、PC板、ALC板等を胴縁に取り付ける場合の区画の中心線の設定方法については以下のように運用することとする。

@ 通達の「2  区画の中心線の設定方法(3)鉄骨造の建築物」の部分に一部注記を行うことにより、区画の中心線を「胴縁の中心線」とする。

【通達】

床面積の算定方法について
(略)

2  区画の中心線の設定方法
(略)
(3) 鉄骨造の建築物
イ  金属板、石綿スレート、石膏ボード等の薄い材料(※1)を張った壁の場合
胴縁等(※2)の中心線
ロ  イ以外の場合
PC板、ALC板等の中心線
※1
PC板、ALC板等を胴縁等に取り付ける場合には薄い材料とみなす
※2 胴縁等:壁において外壁材やボードなどを取り付けるための下地材で梁、柱等に取り付けるもの
(略)

A 増築等の場合における既存建築物の面積は、従前の算出方法、又は、新たな運用による算出方法のどちらでも可能とする。

この取り扱いにより難い特殊な工法の壁については個別に壁全体の厚みの中心線とすることも考えられるので念のため申し添える

図 ). 
主に,前述の「各種の壁の例」の鉄骨造ボード等の壁,鉄骨造ALC板等の壁の図です。




参考).中空形状の「セメント中空押出成形材(55mmのラムダ等)」及び「押出成形セメント(60mmを主に40〜100mmのアスロック等)」の扱いについて

鉄骨造 薄型パネル セメント中空押出成形材55mmの壁

参考
).中空形状の「セメント中空押出成形材(55mmのラムダ等)」及び「押出成形セメント板(60mmを主に40〜100mmのアスロック等)」の扱いについて

参考その1 左の図).
ALC板以外の基準情報がなかなか見当たりませんが,薄型パネルの「中空押出成形材は共に工法は開口補強鋼材(アングル65,75,90mm等)で取り付けることができて,内壁仕上材はLGS(50mm等)下地で済みます。
55mmのラムダについては,当遠山事務所の過去の確認申請例(平成4年 神奈川県横浜市鶴見区役所)で,床面積算定区画の中心線は外面から50mmバックしたところと判断されたことがあります。複層構成の外壁扱い(145/2≒70)はされなかったが,準薄型パネル扱いだったのか,経緯は不明です。

参考その2).
アスロック60mmの層間変位追従機能等の取り付け納まりでは,鉄骨構造材の面までのクリアランスが75mm必要で,60+75(LGS内包)+仕上材≒200となり,
複層構成の外壁の体を成し,区画の中心線の判断が微妙なところですが,審査機関(又は行政庁)に問い合わせると良いでしょう。的確な判断が期待できるでしょう。





エキスパンションジョイント(EXP.J)部の床面積の算定 (1995K)






■ 002 床面積算定例(法第92条,令第2条第1項第3号)

床面積の算定方法
参考:
(昭和32年11月12日住指発1132号)
(昭和39年2月24日住指発26号)
(昭和61年4月30日住指発115号)


「ピロティ部分の取り扱いその1」 (1995K)
通達「床面積の算定について」(昭和61年4月30日建設省住指発115号)のピロティ,バルコニ,吹きさらしの廊下,屋外階段などの判断基準

@ 「十分に外気に開放」の考え方例 (下図左)
ピロティは原則として床面積に算入されるが,
「十分に外気に開放され,かつ,屋内的用途に供しない部分」は床面積に算入しない昭和61年4月30日建設省住指発第115号)。
このうち「十分に外気に開放され」とは,ピロティ部分が道路等の空地と一体の空間を形成し,常時人の通行が可能な状態である,と解されている。
しかし,「十分に外気に開放され」る具体的な範囲については,特段の規定がない。
一般に,屋外的な利用を目的に設けられたピロティで,
周長の1/2以上 L≧1/2(L+D1+D2) )が道路・公園・広場等に開放され,通行の用のみに供される場合には,床面積に算入されないと考えられている





A 廊下状のピロティの例 (上図右)
ピロティ状であっても,十分外気に開放されず,屋内的な用途に供しうる場台には,床面積に算入される。上図のように,出入口があり建築物の内部の機能と結びつく廊下状のものは,「ピロティ」とは捉えられず,床面積に算入される。



B 自動車車庫(自転車駐輪場)等の用途に供した例 (下図左)
ピロティ部分を自動車車庫や自転車駐車場等の用途に供している場合には,「屋内的用途に供しない」部分とはいえないので,通常の床面積には算入される
図の場合,中央の通行の用にのみ供される部分(A)は「ピロティ」よりも「寄りつき」として判断することも可能と思われる。通常の通行のみに供される「寄りつき」は,床面積に算入されない。





C 自動車車庫等の用途に供した例 (上図右)
駐車部分と一体となったピロティの車路部分は屋内的用途に供するので床面積に算入される
部分(A)は「ピロティ」よりも「寄りつき」として判断することも可能と思われる。



D 通路状のピロティの例 (下図左)
トンネル状の通行専用で,これに面する屋内への出入口および窓がなく,両端にシャッター等の区画がない場合で,通路が建物内部との動線上のつながりがなく,屋外と屋外を結ぶ機能をもつ場合には,屋外的利用が明確であるとして,「ピロティ」に準じて床面積に
算入しないものとして扱うことも可能であろう。





E 庭園等として利用した例 (上図右)
ピロティ部分を庭園として利用することは,屋外的な利用の形態として考えて差し支えない。算入しない
通行の用に供されるピロティであっても上階への階段がある場合には,その部分は床面積に算入される。



「ピロティ部分の取り扱いその2」 (昭和39年2月24日建設省住指発26号通達を踏襲)

床面積に算入しない
十分に外気に開放され,かつ,屋内的用途の供しない部分
ポーチ,公共用歩廊,ピロティ等でその部分の接する道路又は空地と一体の空間を形成し,かつ,常時人又は車の通行が可能なもの。

床面積に算入する
前記以外の部分で,例えば自動車車庫,自転車置場,倉庫等に供する部分など。


床面積に算入されない通路状のピロティの例1,2 (2008横浜市pdfより)




床面積に算入されない通路状のピロティの例3 (2008横浜市pdfより)
十分に外気に開放されている」とは,ピロティ分が,その接する道路,公園又は広場等の空地(これらのうち水面等については幅員4m以上のものをいう)と一体の空間を形成し,かっ,常時人の通行が可能な状態にあることをいいます。ただし,ピロティ部分の周長の相当部分が壁のような風雨を防ぎえる構造で区画されている場合など十分に外気に開放されていると判断されないときは,床面積に算入します。

図のようにピロティ部分の周長(建築物の屋内側の壁を除く。)の
1/2以上が空地に面する場合が上記に該当します。
L≧1/2(L+D1+D2)
なお,道路又は空地は幅員
4m以上です。


平地上に建つ高床式等の建築物の例 (下図左) (1995K)
最大床下高が
1.4m以下の場合,床面積に算入されない



がけ上に建つ高床式等の建築物の例 (上図右) (1995K)
ピロティ状部分が開放的な空間で屋内的な利用が考えられない場合には,床面積に算入されない
倉庫や物置等,及び階段室(階段)のように屋内的な部分がある場合には,その部分が床面積に算入される



公共用歩廊,傘型建築物等の算定例 (1995K)

「ピロティ」に準じ,「十分に外気に開放され,かつ屋内的用途に供しない」部分は,床面積に算入されない(昭和61年4月30日住指発115号)
外気に十分に開放されていても,自動車駐車場や自転車駐車場,荷さばきスペースや体憩スペース等に利用される場合には,屋内的用途に供する部分として床面積に算入される。この場合,明確な区画がなく,屋内的用途に供されている部分を確定することが困難な場合には,建築面積同様,下図のように先端から1m引いた部分で床面積を算定することもある

 :以下,床面積に算入される部分





荷さばきスぺースの算定例 (下図左) (1995K)
ひさしの下を荷さばきスぺースに使用する場合には,床面積に算入されるが,
明確な区画がないときには,建築面積同様,先端から1m引いた部分で算入する

駐輪場等の算定例 (下図右) (1995K)
自転車駐車場など屋内的用途に供することが明確で,壁等の区画がある場合には,区画の中心線で囲まれた部分が床面積に
算入される

 :以下,床面積に算入される部分







※ 改正 大規模庇等の積卸しスぺースの建築面積(/容積率/床面積)算定

以下を参照してください。 改正されています。

左 INDEX の建ぺい率と建築面積」 → 「倉庫等の大規模庇等に係る建ぺい率算定上の建築面積の算定方法の合理化 (令和5年4月1日施行) 大規模庇に係る建築基準法施行令の見直しについて」




玄関,ポーチ等庇の算定例 (1995K)

@ ポーチ(建築物への出入りのための空間で,建築物本体の壁面から突出しているもの)
屋内的用途に供せず,
通常の通行のみに供される玄関ポーチは,床面積に算入されない



原則として床面積に算入しない。ただし,屋内的用途に供する部分は,床面積に算入する。
(昭和61年4月30日住指発115号)


A 寄りつき (下図左)
ポーチ同様建築物への出入りのための空間で,その部分が建築物本体から内側に凹状になっている部分
通常の通行のみに供される寄りつきは,床面積に算入されない

 :以下,床面積に算入される部分



寄り付き型ポーチ (上図右)
間口幅 L に対して奥行Dが相当長い場合には,屋内の廊下同様と捉えられ,床面積に
算入される
間口Lと奥行Dの比較については行政庁によって取扱いを定めている場合もあるので注意。

例.横浜市建築基準法取扱基準集(平成20年版)の取扱い
寄り付き型の場合,図のとおり概ね
D1:L=1:1を超える部分を通常出入りに必要な大きさを超える部分として床面積に算入する
よって,D1:L=1:1を超える部分のD2:Lの部分を床面積に算入する。


B 通行以外の用途,自転車駐輪スペースや自動車駐車スペース,荷下しスペース等に利用される場合には,屋内的用途に供するものとして,床面積に算入される




C 通行のみに供される場合でもシャッター等で区画されている場合には,床面積に算入される





■ 003 ピロティ,バルコニ(ベランダ),吹きさらしの廊下,屋外階段などの床面積の算定について (昭和61年建設省住指発115号)

@ 吹きさらしの廊下の定義 (1995K)

 :以下,床面積に算入される部分

吹きさらしの廊下の算定例(吹きさらしのバルコニー,ベランタも準ずる)


A部 :
ひさしの端から2m以内の廊下の部分は算入されない。

B部 :
屋根のない廊下部分は床面積に算入されない。

C :
吹きさらしの廊下については,「外気に有効に開放されている部分の高さが,1.1m以上であり,かつ,天井の高さの1/2以上である廊下については幅2mまでの部分を床面積に算入しない」とされている。






〔外気に有効に開放されている部分()の要件〕
隣地境界線からの距離が1m以上東京都,横浜市≧50cm)。
同一敷地内の他の建築物またはその建築物からの距離が2m以上(ただし,特定行政庁が区域を指定して別の数値を定める場合は,その数値。

2mを超える部分については
物品の保管等の屋内的用途に用いる場合が想定される。

吹きさらしの廊下の算定例 (横浜市の取扱い)

屋根又は庇のない廊下部分(
)は床面積に算入されない。

屋根又は庇からの幅
2mの距離は,屋根又は庇の先端から測る。

廊下からの幅
2mの距離は,屋外側の腰壁等のから建築物本体の主たる外壁方向線に直角に引かれた線に沿って屋内側に向けて測ること。


参考).吹きさらしの廊下等 (「平成18年鳥取県生活環境部景観まちづくり課 」の取扱い)





A 隣地境界線からの距離の考え方

隣地境界線からの距離の考え方

6,7階の廊下の場合には,水平距離を
aで捉える。

1〜5階の廊下の場合には水平距離を
bで捉える。

「外気に有効に開放されている部分」の検討にあたって,隣地との距離または同一敷地内の建築物との距離の算定は,その廊下より
上階の最も短い水平距離で行う。
隣地が公園,水面等で将来にわたって空地として担保されるような場合には,隣地境界線からの距離を考慮しなくても差し支えないと考えられる。


通常形態の柱,妻側の面のそで壁及び各住戸間の隔壁があるバルコニー
「外気に有効に開放されている部分」の取り扱い
(横浜市資料pdfより)

通常形態の柱,妻側の面のそで壁及び各住戸間の隔壁があるバルコニーの場合は,その有無にかかわらず,外気に有効に開放されている部分とみなす。


勾配のある屋根の吹きさらしの廊下,バルコニー及びベランダの床面積の算入についての取り扱い (横浜市資料pdfより)

1).開放率の算定における天井高さは,平均天井高さ(
h2)とする。

2).外気に有効に開放されている部分の高さは,屋根等の垂直最小の距離(
h1)とする。

3).1)及び2)にかかわらず,
屋根等の出幅(b)が50cm以下かつベランダの出幅(a)の1/2以下のものの真下の床は,床面積に算入しない



吹きさらしの廊下の各所の例 (日本建築行政会議(JCBA)より)

 :以下,床面積に算入される部分





以下に
共同住宅の共用廊下の容積不算入 Q&A があります。参照してください。

容積率と延べ床面積 (別ウィンドウで表示) → ■  006 不算入となる容積率の緩和 Webサイト「共同住宅の共用廊下の容積負算入 Q&A」より (建設省住宅局市街地建築課)



廊下の目隠しスクリーンの取扱い (横浜市資料pdfより)

スクリーンの幅は,
2m以下かつ1住戸を単位とした当該住戸部分の廊下の長さの1/3以下であること。

スクリーンは,住戸の出入口の
前面に設けられていること。



距離(2m及び1m)の検討は,各階及び廊下の各部分ごとに行う。 (1995K)

 :以下,床面積に算入される部分

距離の検討1
2mを超える廊下では,
2mを超える部分が床面積に算入される。 (下図左)



隣地境界線からの距離が1m以下(東京都,横浜市≧50cm)の部分が床面積に算入される。 (上図右)


距離の検討2




接続する双万の廊下が床面積に算入されない場合には,
の部分も算入しないものとして差し支えないと考えられる。 (下図左)



隣地境界線からの距離≧1m(又は≧50cm)の角のバルコニー等の例 (上図右)


主要構造部の柱,梁に囲まれたバルコニーは,一般的には屋内部分として床面積に算入されるが,外気に十分開放され吹きさらしの要件を満たす場合には,床面積に算入しないとする場合もあろう。 (下図左)



壁構造の柱,梁,壁に囲まれたバルコニーでも,吹きさらしの要件を満たす場合には,通常,床面積に算入されない。特殊な形状の場合には,個別事例により行政庁との打合せが必要となる。 (上図右)


コの字型(口の字型)のバルコニーの場合には,閉鎖性が強いので行政庁によって対向距離を定めている場合があるので,注意を要する。





廊下相互が対面し,または口の字形に構成される廊下の場合は,閉鎖的な空間が生ずるので,建物の高さを勘案した十分な水平距離の確保が必要である。行政庁によっては独自の水平距離Lを定めているところもあるので注意されたい。  (下図左)



口の字形に構成される廊下の場合 (上図右)
(横浜市の取り扱い)
L1<4mまたはL2<4mの場合,廊下は床面積に算入する。


審査請求にて違法性が唱えられているバルコニー,廊下の例
「バルコニー特許」?






■ 004 屋外階段の床面積の算定 (昭和61年建設省住指発115号)

屋外階段の床面積の算定は各階ごとに検討する。下階に他の建築物があり,階段の周長の1/2以上が外気に有効に開放されていない場合はその階のみ床面積に算入される。


床面積に算入しない屋外階段の基準 (1995K)
周長の
1/2以上が外気に有効に開放されている階段は,床面積に算入されない。
「外気に有効に開放されている」とみなす要件は,吹きさらしの廊下と同じ(
h 1≧1.1mかつh 1≧1/2 h 2)。





屋外階段の算定例1(外気に有効に開放されている階段) (下図左)
A+Bが階段の周長×
1/2以上であれぱ床面積に算入されない
階段の周長=2
×(A+B)
a≧1m(又は≧50cm)
b≧2m



屋外階段の算定例2(外気に有効に開放されている階段) (上図右) (2008横浜市pdfより)
横浜市の取り扱い(及びJCBA)
階段の周長の算定にあたっては,柱,壁,腰壁の芯の長さによる。

床面積に不算入
Laが開放とみることができない距離で,Lb及びLcが開放とみることができる寸法の場合,b・c面が外気に開放されている部分と判断し,
b+c≧1/2(a+b+c+d)の場合は,
開放部分の高さの条件を満たしていれば,当該屋外階段は床面積に算入されない。

床面積に算入
La及びLcが開放とみることができない距離で,Lbが開放とみることができる距離の場合,b面のみが外気に開放されている部分と判断し,
b<1/2(a+b+c+d)となるので,
当該屋外階段は床面積に算入される。

なお,La,Lb,Lcの数値についての,他の行政庁の取り扱いについては確認が必要である。



屋外階段の算定例3 (下図左) (2008横浜市pdfより)
横浜市の取り扱い(及びJCBA)
階段の周長の算定にあたっては,柱,壁,腰壁の
の長さによる。

開放の条件
a+b+d≧1/2 { a+2(b+c)+d }であれば,床面積に算入されない。
防火戸又はたれ壁による区画がある場合は,当該の屋外階段の機能を有する部分(踊場範囲に含む)とする。



屋外階段の算定例4 (上図右)
a≧1m(又は≧50cm)
A+Bが周長×
1/2以上であれぱ床面積に算入されない
階段の周長=2×(L1+L2)


屋外階段の算定例5
A+B+Cが周長
×1/2以上であれば,階段は床面積に算入されない。屋根がない場合には,床面積に算入されない。ただし,階段の下を屋内的用途に使用する場合には,その部分は床面積に算入される。





屋外階段の算定例6  (下図左)
周長の1/2以上開放されている場合でも三方向とも壁に囲まれている部分は,床面積に算入すべきである,とする考え方もある。個別事例により判断される。

 :以下,床面積に算入される部分



屋外階段の算定例7  (上図右)
A+Bが周長×1/2以上でないので床面積に算入される


屋外階段の算定例8(下図左)
床面積に算入されない



屋外階段の算定例9 (上図右)
床面積に算入されない


屋外階段の算定例10 (下図左) (2008横浜市pdfより)
床面積に算入されない



屋外階段の算定例11(上図右)
階段のみを支える鉄筋コンクリートの壁柱や小規模な柱は,外気に有効に開放されている部分に影響を与えないとして無視してよいが,
建築物本体の柱・梁で囲まれて開放の程度を相当阻害するような場合には床面積に算入されることとなる。


屋外階段の算定例12
床面積に算入されない (2009JCBAより)





屋外階段が接する開放廊下部分の床面積の算定方法
(法第92条,令第2条第1項第3号)
参考).
床面積の算定方法(昭和32年11月12日住指発1132号)(昭和39年2月24日住指発26号)(昭和61年4月30日住指発115号)

屋外階段が接する開放廊下部分の床面積の算定方法1 (2009JCBAより)

階段部分が床面積不算入の場合,開放部分の高さの条件を満たしていれば以下の開放廊下は床面積に算入しない。





屋外階段が接する開放廊下部分の床面積の算定方法2 (2009JCBAより)

 :以下,床面積に算入される部分

2mを超える廊下部分を有する場合 (下図左)
廊下の
閉鎖性を高める壁がある場合 (下図右)




屋外階段が接する開放廊下部分の床面積の算定方法3 (2009JCBAより)
階段の踊り場と廊下が兼用されている場合





廊下が対面する当該建築物の部分について (横浜市,東京都通達,JCBA)
外部階段に接続する廊下部分の床面積の算定については,建設省の通達に特に明示されていない,「敷地内の同一建築物の他の部分」からの距離2mが確保されていないので床面積に算入されるとする考え方と,
床面積に入らない外部階段(床面積不算入階段)については「同一建築物の他の部分」から除く(東京都通達)とする2つの考え万がある。また,外部階段の構造,廊下との接続形態等から実質的な開放性が確保されているか否かで判断する考え万もある。

(横浜市)
屋外階段については,廊下が対面する当該建築物の部分までの
距離2m(開放とみることができる距離)の基準は適用せず,対面する部分(破線の部分等)の形態に応じて判断する。床面積に算入されない屋外階段の場合,L は問わない。




廊下が対面する当該建築物の部分について例1 (横浜市,東京都通達,JCBA)
階段部分が床面積不算入の場合,開放部分の高さの条件を満たしていれば以下の開放廊下は床面積に算入しない。






■ 005 出窓の床面積の算定

出窓の算定 (1995K)
(法第92条,令第2条第1項第3号)

参考).床面積の算定方法(昭和61年4月30日住指発115号)(横浜市も同様)

出窓については,下図の範囲のものについては床面積に算入しないこととされている。
下端の床から高さ30cm以上
周囲の外壁面の水平距離50cm未満
見付面積の1/2以上が窓であること





その他,算入される出窓の例1
A :
屋根と一体となっている場合,必ずしも床面積不算入の出窓とみなされず,算入される。
B :
地袋を設けた場合には出窓として認められず,床面積に算入される。
C : 出窓部分の天井が
室内の天井の高さ以上に位置する場合,床面積に算入される。

 :以下,床面積に算入される部分




その他,算入される出窓の例2
出窓としての高さや出幅を満たしていても,図のような出窓は
窓として開口部の部分が少なく,基準に適応しないので床面積に算入される。





出窓部分に棚(戸棚)等がある場合

平面図Aの場合

a
×c≧b×cであればb×dの部分(棚)のみ床面積に算入する

平面図Bの場合
a
×c<b×cであれば(a+b)×dの全体を床面積に算入する


 




■  006 その他の床面積の算定について

体育館のギャラリー等の算定例  (1995K)(横浜市も同様)
法第92条,令第2条第1項第3号,昭和61年4月30日住指発第115号
床面積に算入する
体育館のギヤラリー等は原則として床面積に算入する。体育館の観覧のためのギャラリーは,一時的な利用とみなされないので,床面積に算入される。
床面積に算入しない
保守点検等一時的な使用を目的としている幅の狭い通路のみの場合には,床面積に算入されない
例えば,幅が
1m程度の体育館のギャラリー,舞台上部のキャットウオーク等。





小屋裏物置等の考え方 (1995K)
住宅の小屋裏収納について,
昭和55年建設省住指発第24号の通達により,下図の要件を満たす場合には,階としてみなさず,床面積に算入されないものとされている。





留意).小屋裏物置(天井裏,床下収納)などの階(数)の取り扱い例
平成12年6月1日住指発682号「建築基準法の一部改正」 (2002K )
詳細解説 → 地盤面・階・建築物の高さ・天井の高さ 〈別ウィンドウで表示〉■  005 小屋裏物置(天井裏,床下収納)などの階(数)の取り扱い」参照

「概略」
各スペースの最高の内法高さ
≦1.4mで,かつ,水平投影面磧が各スペースの存する階の床面積の1/2未満であれば,階としては取り扱わない。昇降するためのはしご等が固定式であるか,取り外しが可能であるかも問わない(注.※)。
階に算入されないものは,床面積,延べ面積にも算入されない。

注.※ 
物の出し入れのために利用するはしご等は,固定式としないこと。 (昭和55年2月7日建設省住指発第24号)

住宅とは専用,長屋及び店舗住宅のうち店舗部分床面積が延面積の1/2未満,かつ,床面積が50u以下のもをいう。



小屋裏物置等の考え方例1  (下図左) (1995K)
小屋裏収納については,
住宅の用途のみに認められている。専用住宅,長屋,共同住宅等に適用され,小屋組のなかに収納スペースを設けても,事務所等の用途の場合には,階および床面積に算入される

 :
以下,床面積に算入される部分



小屋裏物置等の考え方例2 (上図右) (1995K)
鉄筋コンクリート造等の陸屋根で,小屋組が発生しないものは,小屋裏物置が存在せず,上図のような場合には,床面積に算入されると考えられる。


デッドスペースの考え方 (横浜市も同様) (1995K)
階段下や小屋裏となる部分でテッドスぺースが生ずる場合,構造部材と同等の部材で区画されて屋内的用途が発生しない場合には床面積に算入されない。しかし,その部分に建具を設け,収納等に使用する場合には,天井高さに関係なくすべて床面積に算入される。





受水槽,貯水タンクを設置する地下ピット等 (1995K)
法第92条,令第2条第1項第3号

参考).床面積の算定方法 :
昭和61年4月30日住指発115号

基本
イ)
b,c の場合は建築物の内部にあるので床面積に算入される。
ロ)
a,e は,給水タンク等のみで屋根を有しない場合には,床面積に算入されない。
ハ)
d は,建築物の最下階の床下(地下ピット)に設けられる給水タンク等で,保守点検に必要なスペースのみの場合には,床面積に算入されない。

 :以下,床面積に算入される部分





各種地下ピットの例 (1995K)

例 1 (横浜市も同様) (下図左)
地下ピットにある
水漕のみの空間は,床面積に算入されない
上部からの保守点検用の点検□のみあるピット等。
保守点検用の空間とは,保守点検のためのスペースの幅が概ね
0.6〜1.5m程度であり,当該部分への出入りがタラップ等によるほか,出入口を上蓋とするなどほかの用途に使用されるおそれがないものをいう。



例 2 (横浜市も同様) (上図右)
地下ピットであっても給水又は揚水ポンブや制御盤等,
保守点検用の空間の範囲を超えて使用される場合は,全体をポンブ室と捉え,床面積に算入される
又,
階にも算定される。ただし,水中ポンプ及び当該ピット内の排水のためのポンプの場合は除く。


例 3 (下図左)
地下ピットに
水槽とポンブ室が併せてある場合には,ポンブ室部分は階に算入されるので,水槽は最下階の床下になく,離れていても床面積に算入される



例 4 (上図右)
階段が設けられている場合には,水憎のみしか設置されていなくても,室として捉えられ,階にも床面積にも算入される



エレベーターの昇降路(シャフト)の容積率不算入について (改正法)  (Webサイトより)
(関連法/令他: 法第52条第6項,令第2条第1項第3号,法第92条,昭和61年4月30日住指発115号)

法第52条第6項の容積率不算入の部分として「
政令で定める昇降機の昇降路の部分」という規定が追加され,全ての用途の建築物における全ての階について不算入と改正されました。

施行日 :平成26年7月1日
(尚7月1日の改正に伴い,確認申請等の法定様式についても変更されました。


詳細については以下を参照してください。
容積率と延べ床面積 (別ウィンドウで表示) → ■  006 不算入となる容積率の緩和 エレベーターの昇降路(シャフト)の容積率不算入について (改正法)



パイプスペース,ダクトスペース及び煙突の算定例 (横浜市も同様)
法第92条,令第2条第1項第3号
参考).
床面積の算定方法 :
昭和61年4月30日住指発115号

床面積に算入しない:煙突
ただし,
屋根に相当する部分がある場合には,その最下階の床面積は算入される

床面積に算入する :パイプスペース,ダクトスペース
各階において
横引きされ利用されるため,床面積に算入する



■  007 機械式立体自動車車庫

「関連法」
法第92条,令第2条第1項第5号(築造面積),令第138条第3項第二号(自動車車庫の用途に供する工作物),S50年建告第644号(工作物の築造面積の算定方法),昭和61年4月30日住指発第115号


以下,主に横浜市基準法取り扱い.pdfより (一部,JCBA抜粋,2006H)

「立体自動車車庫が建築物に該当するか否かの判定基準」
駐車方式,建築物と駐車装置の関係及び駐車装置の高さを基準として判定する。
なお,面積(床面積,築造面積)及び階数の算定基準並びに自動車車庫に関する用途制限についての取扱基準を併せて判定こととする。

1.自走式
自走式の立体自動車車庫は,法第2条第一号中の「屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類するものを含みます。)」(
平成4年改正)に該当し,これに類する建築物として取り扱われる。

注意)
1層2段の立体自動車車庫については,法第84条の2の規定により「簡易な構造の建築物」として取り扱うことができる。
なお,
2層3段以上の自動車車庫については,横浜市建築基準条例第49条の規定により,耐火構造としなければならないため,平成14年5月27日付国土交通省の事務連絡による取扱いは適用できない。

2.機械式立体自動車車庫(機械式駐車装置を設けた立体駐車場)
(本取扱いにいう「機械式駐車装置」は,原則として,駐車場法施行令第15条の認定を受けたものとする。)
建築物と判定される機械式駐車装置は,同号中の「高架の工作物内に設ける事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設」に該当するものとして取扱い,工作物と判定された機械式駐車装置は,法第88条第2項の規定を適用する。

注意)
機械式駐車装置で建築物と判定されるものは,昭和35年建設省住指発第368号に基づき,階数を3以上とみなすので,建築基準法第27条の規定により耐火建築物としなければならないため,事実上建築することができない
機械式駐車装置を設けた立体駐車場で駐車場法施行令第15条の認定を受けていないものは,立体駐車場工業会と事前に協議を行い,その協議結果を参考にして,その取扱いを判断する。


立体自動車車庫の取扱い

立体自動車車庫判定フローチャート

                                           (START)
                                        立体自動車車庫
                                            ↓

                                          駐車方式
                                            ↓

1.自走式

2.機械式

建築物と駐車装置の関係
建築物内に設ける
屋外に設ける
建築物の種類
耐火建築物の内
耐火建築物以外の内
駐車装置の高さ
高さ≦8m
高さ>8m
高さ≦8m
建築物
建築物
建築物
工作物

床面積=区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積

床面積=駐車装置の設置階の床面積+2段目以上の台数×15u(循環式の場合は,台数×15u)

床面積=同左 築造面積=15u×台数
(昭和50年建設省告示第644号)
階数=層数 階数=1 階数≧3
用途地域

第一種低層専用地域 第二種低層住居専用地域 第一中高層住居専用 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域

令第138条第3項第二号に掲げる規摸

築造面積>規定規模

築造面積≦規定規模

確認申請を行う必要がある

法第88条策2項の規定により,法第6条第1項及び法第48条の規定を準用するため,許可及び確認申請を行う必要がある

確認申請を行う必要はない
  <以下,主な関連法令>

法第24条,第27条,第35条の2,第48条,第84条の2

令第2条,第112条,第115条の4,第128条の4,第129条,第130条の5,第130条の5の5,第130条の7の2,第130条の8,第136条の9,第136条の10

条例第7節(第47条から51条まで)
































































この他,条例第4条の3の規定により設ける駐車施設については,駐車施設の設置墓準の適用があります。


フローチャート表中解説


機械式駐車装置で建築物と判定されるものは,昭和35年建設省住指発第368号に基づき,階数を3以上とみなすので,建築基準法第27条の規定により耐火建築物としなければならないため,事実上建築することができない(不可能)

建築物
建築物と判定される機械式車装置は,法第2条第一号中の「高架の工作物内に設ける事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設」に該当するものとして取扱う。

工作物
工作物と判定された機械式駐車装置は,法第88条第2項の規定を適用。確認申請を行う必要はない

駐車装置の高さ
駐車装置の高さは,設置面から駐車装置の主要な骨組み(柱又ははり等)の上端部までの高さによるものとする。
高さ>8m,高さ≦8mについて
多段式駐車装置(ピット付き機械式駐車施設などが)で,屋根がある場合は建築物として扱われている。
屋根がなく高さ(設置面から装置上端部までをいう)
8m以下のものは原則,建築物としても工作物としても扱われない(ただし各行政庁と確認はしておくこと)


駐車方式について

ア.自走式
運転者が乗車して,自動車の搬出入及び収容を行う方式。

イ. 機械式
@多段方式(2段式を含む)
自動車を収容する駐車室を2段以上に重ねて,簡易に床面を有効に利用することを目的としたもの。機構的には多様で昇降横行式等がある。
A.エレベーター方式
駐車室と自動車用エレベーターとを組み合わせた方式。機構的には横式,縦式,旋回式等がある。
B.エレベータースライド方式
エレベーター方式における搬器が昇降と同時に横行する方式。
C.平面往復方式
駐車の用に供する搬器の群又は駐車室を平面的に配置し,搬器の往復移動により駐車を行う方式。一般的に自動車用エレベーターを併用してビルの地下又は上部階層に組み込まれることが多い。
D.多層循環式
多数の搬器を2層又はそれ以上に配置して循環移動させる方式。搬器を一列多層に配列した任意の2層間の両端で搬器が昇降して層の循環が行われる。この方式には,搬器に直接自動車を乗り入れる場合と,駐車装置を地下又は上部階層に設置してリフト等の昇降装置と組み合わせて使用する場合がある。
E.水平循環方式
多数の搬器を2列又はそれ以上に配置して循環移動する方式。この方式には,搬器に直接自動車を乗り入れる場合と,駐車装置を地下又は上部階層に1層若しくは多層設置してリフト等の昇降装置と組み合わせて使用する場合がある。
F.垂直循環方式(吊り上げ式)
いわゆる
メリーゴーランド方式のことで垂直面内に配列された多数の搬器が循環する方式。



機械式立体自動車車庫の「面積及び階数の算定基準」

法第92条,令第2条第1項第5号(築造面積),令第138条第3項第二号(自動車車庫の用途に供する工作物),S50年建告第644号(工作物の築造面積の算定方法),昭和61年4月30日住指発第115号
( 注意:床部分を明確に認識(床として)することが可能なものは,実際の面積を床面積に算入(通常の床面積の算定方法)することとする。)

(1)床面積の算定は,次によるものとする

ア-1.駐車装置を建築物の屋内空間の一の階に設ける場合(建物の内部に設置する立体自動車車庫)

@.多段方式(昇降方式),エレベーター方式,エレベータースライド方式又は平面往復方式 (及び平面パレット式を含む
床として認識することが困難なものは,駐車装置設置階(第1層)の壁その他の区画の中心線で囲まれる部分の水平投影面積に駐車装置の2段目以上(第2層より上の層の床として認識することが困難な部分)の駐車台数に15uを乗じた面積を加えた面積とする。

床面積=設置階の床面積+2段目以上の駐車台数×15u


 :以下,床面積に算入される部分

例.多段方式(昇降方式)
設置階の床面積+2段目以上の駐車台数×15u




例.エレベータースライド方式
設置階の床面積+2段目以上の駐車台数×15u





A.多層循環方式,水平循環方式又は垂直循環方式(吊上げ式,いわゆるメリードーランド方式)
床として認識することが困難なものは,駐車場数1台につき15uとみなして算定した面積とする。
駐車台数に一律15uを乗じた面積とする。

例.垂直循環方式(メリーゴーランド式)
駐車台数×15u





その他).(2006H)
駐車装置を建築物の屋内空間に設けた立体駐車場について

垂直循環方式/エレベーター方式/エレベータースライド方式等(建築物の各階にまたがる場合)は,床として認識することが困難なものは,駐車場数1台につき15uとみなし算定した数値と各階のフロアと同位置に床があるものとして算定した数値のうち大きいほうの数値とする。

水平循環方式/多層循環方式/二段方法等(建築物の1の階にある場含)は,駐車台数1台につき15uとみなし算定した数値と当該駐車装置設置部分の床面積のうち大きいほうの数値とする。

その他).(1995K)
駐車場又は自転車置場がある場合の緩和(令2条1項4号,3項)

専ら「停留」または「駐車」ための施設の判断例
車路およびターンテーブルは,「停留」または「駐車」のための施設(誘導車路,操車所および乗降場を含む)に該当し,容積率算定時には,延べ面積除外の対象となる。(延べ面積:令2条1項4号)
除外の対象は,各階の床面積の合計の
1/5を限度とする(令2条3項)。

駐車場用器具庫,駐車場管理室等,駐車場等の維持管理に必要な部屋であっても,自動車等の停留または駐車のための施設とはいえず(車庫に附属する階段,消防設備庫,油圧室等も同様),延べ面積除外の対象とはならない。

自転車の出入れ操作スペースと廊下などの通行スペースが複合している場合には,「専ら」駐輪の用途に供する部分のみを算定する(延べ面積に含む)。
各階の床面積の合計の
1/5までは除外の対象となる(令2条3項)。






ア-2.独立した機械式立体自動車車庫等 (その他JCBA抜粋)

垂直循環方式(吊上げ式,いわゆるメリーゴーランド式)/エレベーター方式/エレベータースライド方式
床として認識することが困難なもの(パレット式など)は,
駐車台数1台につき一律に15uを床面積として算定する。
(床部分を明確に認識することが可能なものは,実際の面積を床面積に算入すること。)
【解説】
自動車1台あたりの面積は,通常の大型乗用車の幅2.5m,奥行き6mの所要面積15uと想定したものである。
なお,準用工作物等として扱われる機械式自動車車庫の築造面積についても,「ア-2に準じて算定するものとする。

その他).(2006H)
多段式駐車装置について
ピット付き機械式駐車施設などがこれに該当する。固定して設けられた屋根がある場合は建築物として扱われている。
屋根がなく高さ(設置面から装置上端部までをいう)
8m以下のものは原則,建築物としても工作物としても扱われないが(ただし各行政庁と確認はしておくこと),土圧等構造上の安全性等の検討は当然必要である。また,住居系用途地域内の自動車車庫として用途地域制限の対象とはなるので注意が必要である。

吊上式自動車車庫(メリーゴーランド式)について (S35第368号通達)
原則として,階数が3以上で延べ面積が150uを超える建築物に該当するものとして扱われている。ただし,次の各号の要件を満たすものについては,法27条,61条及び62条の規定の運用に関しては,階数が1の建築物でよいとされている。
(以下省略)


イ.法第48条の規定に関わる面積算定の取扱い

(概略)
駐車装置がひさし等の下部に設置されるものは,駐車装置全体が建築物内の一の階に設けられているものとみなして,前記「
ア-1」に掲げる基準を適用する。
ひさしが駐車装置全体を覆う場合
床面積=ひさし等の水平投影面積+2段目以上の駐車台数×15u
ひさしが駐車装置を部分的に覆う場合
築造面積=駐車台数×15u

【参考】
建築物の駐車装置に面する部分の間口部には,法第2条第九号の二ロに規定する防火戸を設けること。
床面積に算入するひさし等(開放廊下,ベランダ,バルコニー等のはね出し部分)の直下又はピロティ部分に工作物である駐車装置が設置された場合の床面積
(省略)

ウ.建築物の屋上に設ける駐車装置(建築物と判定されたものに限る)の床面積は,駐車台数に15uを乗じた面積とする。

エ.建築物と一体的に設けられる自動車用の昇降装置部分の床面積は,当該自動車用の昇降装置の停止階について算定するものとする。

オ.駐車装置の一部に設けられている車の出し入れ時のみに使用する空間(パススペース)は,床面積及び築造面積に算入しないものとする。

カ.大型バス等の駐単装置の床面積又は築造面積は,その車室に応じた面積により算定するものとする。


キ.1層2段等の自走式自動車車庫の面積の算定について (横浜市基準法取り扱い.pdfより)

@.傾斜路下を自動車車庫の用途に供する場合は,床面積に算入することとする。
当該部分(傾斜路下)に自動車を駐車しないことが明らかな場合は,床面積に算入しないこととする。
A.平成5年建設省告示第1437号に規定する基準に適合する構造の1層2段の自走式自動車車庫の建築面積の算定については,令第2条第1項第二号ただし書きの規定により算定するものとする。この揚合において,傾斜路の部分の取り扱いは,「1層2段の自走式自動車車庫の建築面積の算定方法等について(平成3年建設省住指発第210号)」の第2号の規定によるものとする。
なお,通達中第1号については,令及び告示が整備されたことに伴い,これによる取り扱いは行わないこととする。

【通達】
1層2段の自走式自動車車庫の建築面積の算定方法は,建築基準法施行令第2条第1項第二号の規定によるほか,次の各号によるものとする。
1.省略
2.傾斜路の取扱い
屋上へ上がるための傾斜路の部分は,その上部に屋根を設けず,かつ,その下部を外壁等で囲わない場合にあっては建築面積に算入しない。(平成3年住指発第210号)
(注意.2層3段自走式駐車場の取扱いは別となる)


その他,1層2段自走式駐車場について (2006H)
独立した自走式自動車車庫については従来,旧法38条に基づく認定を受けていたが,現在はH14.11.14付けで日本建築行政会議と国土交通省の連名による事務連絡が出ており,以下の取扱いとあわせて適用がされている。(なお,2層3段以上の自動車車庫については,
横浜市建築基準条例第49条の規定により,耐火構造としなければならないため,平成14年5月27日付国土交通省の事務連絡による取扱いは適用できない。)
最上階に屋根がなく,傾斜車路や駐車部分が網目状(穴あきチェッカープレート,エクスパンドメタル等)の床で構成されていて,1階及び屋上部分(を兼ねる屋根)を自動車の駐車の用途に供しているものは建築物扱いとなる。ただ,こういった新種の形態の駐車場で「簡易な構造の建築物」(法84条の2,令136条の9)に該当する場合は,規模や地域に応じた構造(@A)とすることにより,開放的なスポーツ練習場と同様な緩和の適用がある。
@主要構造部の構造制限(省略)
A延焼防止のための防火塀の設置(省略)
防火塀の基準(H5告示1434号)

1層2段の自走式自動車車庫 (1995K)
(1層2段の立体自動車車庫については,法第84条の2の規定により「簡易な構造の建築物」として取り扱うことができる。)
1層2段の自走式自動車車庫は,平成4年の法改正等により
建築物として取り扱うことが明確になったが,このような自動車車庫のように床としての認識が可能なものは,通常のように区画の中心線で囲まれた水平投影面積で算定する。
水平投影面積 : L1×L2





(2)築造面積の算定は,昭和50年建設省告示第644号の規定のとおり,駐車台数に15uを乗じた面積とする。

【昭和50年建設省告示第644号】
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条策1項第五号の規定に基づき,工作物の築造面積の算定方法を次のように定める。
建築基準法施行令第138条第3項第二号に掲げる自動車車庫の用途に供する工作物で機械式駐車装置を用いるものの築造面積は,
15uに当該工作物に収容することができる自動車の台数を乗じて算定するものとする。

(3)建築物となる駐車装置の階数は,3以上とみなす。ただし,次に掲げるものは,それぞれ次に定めるところによるものとする。

ア 耐火建築物の屋内空間に駐束装置を設けた部分の階数は,1とする。
イ 耐火建築物以外の建築物の屋内空間に駐車装置(高さが8m以下のものに限る)を設けた部分の階数は,1とする。
ウ ひさし等の下部に駐車装置(高さが8m以下のものに限ります。)を設けた部分の階数は,1とする。
エ 建築物の屋上に駐車装置(高さが8mを超えるものに限る)を設けた部分の階数は,層数とし,建築物の階数に当該駐車装置の層数を加えることとする。
オ 架台上に駐車装置を設けた場合の階数は,エと同様に算定することとする。
力 半地下形式の駐車装置であって,駐車室として使用しないものは,階数として算定しないこととする。



「自動車車庫の用途規制の取扱い」

(1)用途規制
自動車車庫で
建築物となるもの又は工作物(令第138条第3項第二号に掲げる工作物に限る)となるものは,それぞれ法第48条の用途地域に関する制限を受ける。

自動車車庫の用途制限一覧表(省略)
なお,コンクリート敷にする等地盤を単に工作したにすぎない駐車場等は,準用工作物としての用途規制の対象ではない(昭和50年住街発第6号)。

(2)建築物の屋上を利用した自動車車庫の取扱い
(省略)

建築物の屋上に自動車車庫を設置する場合の防火及び避難上の指導基準
(建企指1014号建築局長平成8年4月25目)
(まち建企第2385号 まちづくり調整局長平成20年3月24目改正)
(省略)

その他,団地内特例他注意
(省略)

【通達】
自動車車庫/自動車車庫の解釈について/開放自動車車庫の開放部の取扱いについて/自動車修理工場/中古車展示場
(省略)



「機械式自転車車庫(駐輪場)」 (1995K)(横浜市も同様)
機械式自転車車庫で床として認識することが困難な形状の場合には,1台につき1.2uを床面積として算定する
自転車1台あたりの面積は,幅0.6m,奥行き2.0mの所要面積1.2uと想定。
以下,省略(建築物内にある場合の「(1)機械式自動車車庫」に準ずる)。



「ラック倉庫」
以下,省略) → 「地盤面・階・建築物の高さ・天井の高さ」の「■  008 ラック式倉庫(立体自動倉庫),多層式倉庫」参照
1.階数の算定について
2.床面積の合計の算定について
3.形態による構造制限
4.危険物を収納する場合の構造制限
5.防火区画について
6.開口部の防火措置について
7.避難施設等について
8.構造計算のうち積載荷重について
9.荷役運搬機械について















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