「建築基準法及び関連法解説」
全ページ
→
遠山英雄都市建築設計事務所 - HOMEへ
__________________________________________________
採光・換気
「 目 次
」
採光
■ 001 窓その他の開口部を有しない居室等(令111条,令116条の2(,法28条第2項))
はじめに.
令111条の改正について
窓その他の開口部を有しない居室等のおさらい (令111条
全文)
【窓その他の開口部を有しない居室等】 (令116条の2
全文)
参考).【居室の採光及び換気】
■ 002 関連法令(法28条,令19条,令20条)
【居室の採光及び換気】 (法第28条
全文)
【学校,病院,児童福祉施設等の居室の採光】 (令19条
全文)
■ 002-2 建築基準法第28条改正案
関係施行令第19条が改正されています。施行日は2023年4月1日です。 (「国土交通省.htm」より抜粋)
■ 003 居室の採光(及び換気) (法28条,令19条,令20条(有効面積の算定方法))
1.採光を必要とする居室と開口部の大きさ
2.令19条3項の「告昭55年1800号」
3.採光上必要な開ロ部を設ける必要のない居室の扱い(H7住指発153号通達)
■ 004 採光補正係数と採光関係比
4.採光に関する考え方(法28条,令20条1項)
5.採光補正係数の値を求める方法(令20条2項)
計算表
サンプルファイルダウンロード
隣地境界線と平行でない開口部の水平距離「D」の考え方
採光有効面積の算定/採光関係比率の求め方
採光関係比率の算定例
採光関係比率の求め方 例1〜3
採光関係比率の求め方 例4〜5
同一敷地内に高層の建築物と低層の建築物がある場合の「D」,「H」のとり方
建築物と隣地境界線までの水平距離による緩和
縁側を介する場合の採光補正係数の取扱い(令20条第2項)
■ 005 採光が有効かどうか
採光が有効かどうか
インナーバルコニーや吹きさらしの廊下に面する場合
2室採光の考え方
(法28条第4項,令111条第2項)
2室を1室の扱いの特例 (
法28条第4項令111条第2項)
採光に有効な部分の面積の算定方法の緩和
:2室を1室の扱い (
告示 H15告示0303号)
換気
■ K001 関連法令
火を使用する室に設けなければならない換気設備等
●
台所換気設備の設置に関する法規についての留意
※
排気(換気)フードT型(N=30)及びU型(N=20)他の大きさと構造,他について
● 参考).電化厨房機器を使用する場合の留意事項
(法28条3項,令20条の3,S45告示1826号)
【居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準】 (令第20条の8
抜粋)
換気設備の設置が必要な居室と換気設備の種類
採光
■ 001 窓その他の開口部を有しない居室等(令111条,令116条の2(,法28条第2項))
はじめに.
令111条の改正について
令111条が改正されています。以下を参照してください。
「排煙・無窓居室・無窓階」(別のウィンドウで表示)
→ 「無窓居室・無窓階」 → 「■
M001 無窓居室と無窓階について」
→ 「令111条が改正されています」
他の窓その他の開口部を有しない居室等のおさらい
(令116条の2,(法28条第2項))
【窓その他の開口部を有しない居室等】
令116条の2
法第35条(法第87条第3項において準用する場合を含む。次条
第1項において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開
口部を有しない居室は,次の各号に該当する窓その他の開口部
を有しない居室とする。
一
面積(第20条の規定より計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が,当該居室の床面積の1/20以上のもの
二
開放できる部分(天井又は天井から下方80p以内の距離
ある部分に限る。)の面積の合計が,当該居室の床面積の1/50以上のもの
2
ふすま,障子その他随時開放することができるもので仕切ら
れた2室は,前項の規定の適用については,1室とみなす。
【令116条の2の解説】
● 一号を満足しないと採光上の無窓居室となる。
● 二号を満足しないと排煙上の無窓居室となる。
参考).
【居室の採光及び換気】
法28条第2項
2
居室には換気のための窓その他の開口部を設け,その換気に
有効な部分の面積は,その居室の床面積に対して,1/20以上
としなければならない。ただし,政令で定める技術的基準に従っ
て換気設備を設けた場合においては,この限りでない。
【法28条第2項の解説】
● 2項を満足しないと換気上の無窓居室となる。
■ 002 関連法令(法28条,令19条,令20条)
【居室の採光及び換気】 (法第28条
全文)
第28条 住宅,学校,病院,診療所,寄宿舎,下宿その他これらに類する建築物で政令(@)で定めるものの居室(居住のための居室,学校の教室,病院の病室その他これらに類するものとして政令(A)で定めるものに限る。)には,採光のための窓その他の開口部を設け,その採光に有効な部分の面積は,その居室の床面積に対して,住宅にあっては1/7以上,その他の建築物にあっては1/5から1/10までの間において政令(B)で定める割合以上としなければならない。ただし,地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については,この限りでない。
2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け,その換気に有効な部分の面積は,その居室の床面積に対して,1/20以上としなければならない。ただし,政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合においては,この限りでない。
政令(@) ⇒令19条第1項
・・・・・・(省略)
政令(A) ⇒令19条第2項 ・・・・・・(省略)
政令(B) ⇒令19条第3項 ・・・・・・(省略)
3 別表第1(い)欄(1)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室,浴室その他の室でかまど,こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令(@)で定めるものを除く。)には,政令(A)で定める技術的基準に従って,換気設備を設けなければならない。
政令 ⇒令20条の2「換気設備の技術的基準」
4 ふすま,障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は,前3項の規定の適用については,1室とみなす。
政令(@) ⇒令20の3「火を使用する室に設けなけれがならない換気設備」
政令(A) ⇒令20条の2「換気設備の技術的基準」
※ 留意事項
従来は対象となる建築物の居室とだけ規定されていたので,すべての居室が対象でした。今回の改正(平成12年6月1日施行)では法28条に
「居住のための居室,学校の居室,病院の病室」と居室が限定され追加されました。具体的には政令で,隣保館は削除
され上記の居室以外に,「保育所の保育室,診療所の病室,児童福祉施設等の寝室」が追加されています。
この意図は,児童,高齢者など衛生上の配慮を必要とするものが長時間継続的に使用する室だからといわれています。
【学校,病院,児童福祉施設等の居室の採光】 (令19条
全文)
第19条
法第28条第1項(法第87条第3項において準用する場合を含む。以下この条及び次条において同じ。)の政令で定める建築物は,児童福祉施設,助産所,身体障害者社会参加支援施設(補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提供施設を除く。),保護施設(医療保護施設を除く。),婦人保護施設,老人福祉施設,有料老人ホーム,母子保健施設,障害者支援施設,地域活動支援センター,福祉ホーム又は障害福祉サービス事業(生活介護,自立訓練,就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設(以下「児童福祉施設等」という。)とする。
2 法第28条第1項の政令で定める居室は,次に掲げるものとする。
一 保育所の保育室
二 診療所の病室
三 児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。)
四
児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し,又は通う者に対する保育,訓練,日常生活に必要な便宜の供与その他これらに類する目的のために使用されるもの
五 病院,診療所及び児童福祉施設等の居室のうち入院患者又は入所する者の談話,娯楽その他これらに類する目的のために使用されるもの
3
法第28条第1項に規定する学校等における居室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積のその床面積に対する割合は,それぞれ次の表に掲げる割合以上でなければならない。だだし,同表の(1)から(5)までに掲げる居室で,国土交通大臣が定める基準に従い,照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置が講じられているものにあっては,それぞれ同表に掲げる割合から1/10までの範囲内において国土交通大臣が別に定める割合以上とすることができる。
国土交通大臣が定める基準 ⇒
告昭55年 1800号 「照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに
... 」
(表省略)
■ 002-2 建築基準法第28条改正案
(以下,告示前(2022年12月18日)の情報です。最新の情報をご確認願います。)
関係施行令第19条が改正されています。施行日は2023年4月1日です。 (「国土交通省.htm」より抜粋)
2022年6月に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。2022年11月11日に施行期日を定める政令や必要な規定の整備を行なう政令が閣議決定されました。
その中に,「採光規定」の合理化の法改正があります
採光関係の改正の背景
照明設備等の発展に伴い,数十年前に比べれば格段に住宅等の居室における必要な明るさ確保が容易化されていることにあるようです。
【 2023年4月1日に施行される「住宅の居室に必要な採光上有効な開口部面積に関する規制の合理化」概要
】
「住宅の居室に必要な採光上有効な窓等の面積は,原則としてはその居室の床面積の1/7以上。
但し,照明設備の設置や有効な採光方法を確保する措置がなされている場合は,その居室の床面積の1/10までの範囲内とする。」
【 建築基準法第28 条改正案
】
第28条 住宅,学校,病院,診療所,寄宿舎,下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室,学校の教室,病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には,採光のための窓その他の開口部を設け,その採光に有効な部分の面積は,その居室の床面積に対して,5分の1から10分の1までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。ただし,地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については,この限りでない。
※
改正案では建築基準法第28条の中段に,現行法の「…,住宅にあつては7分の1以上その他の建築物にあつては…」という文言が変更され,「居室の種類に応じ」(政令つまり,建築基準法施行令で定める割合以上)という文言が加えられます。
建築基準法施行令19条は,現行法では「学校,病院,児童福祉施設等の居室の採光」の規定でしたが,改正案では「居室の採光」に変更されます。
意図としては,答申書によると,「採光規定について,有効な明るさの確保の措置が行われることを前提に,住宅の居室に必要な採光上有効な開口部面積に関する規制を合理化する。」と書かれており,つまり,現在の法第28条の規定により採光規定が適用される住宅や病院,学校といった建築物の“採光上有効な開口部面積”について,「照明」によって照度が確保されれば,緩和されます。
また,次のように書かれています。
※保育所の保育室等の実態に応じた採光の代替措置の合理化
保育所や小学校等の場合と記載がありますが,答申書に「住宅」と書かれているように住宅も対象になります。
採光計算の確保に関して,照度面(床や一定の高さの位置)において200ルクス(lx)以上を確保できれば,現在の1/5を1/7に緩和することができると書かれているので,現在の住宅は1/7ですから,1/10まで緩和されるようになります。
建築基準法施行令19条第3項の改正点
現行法では,居室の種類と有効採光面積の割合には住宅が記載されていませんでしたが,「住宅の居住のための居室」として記載されています。住宅の居住のための居室の採光上有効な窓等の面積はその居室の床面積の1/7以上と表に示されていますが,その後の文章は以下のようになっています。
【 法令の概要文 】
「国土交通大臣が定める基準(告示に規定)に従い照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これに準じる措置が講じられているものにあっては,床面積の1/7以上から1/10までの範囲内で国土交通大臣が別に定める割合とする。」
※
住宅の居室の
【告示案の概要】
@ 住宅の居住のための居室における照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準については,「床面において50ルックス以上の照度を確保することができるよう照明設備を設置すること」とする。
A @の措置が講じられている居室にあっては,窓その他の開口部で採光に有効な部分
の面積のその床面積に対する割合で国土交通大臣が別に定めるものを「1/10」とする。
(
出典:国土交通省「照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準等を
定める件の一部を改正する告示案について(概要)」(住宅局建築指導課)資料より)
)
参考).隣地との距離が狭まって採光が確保しづらい室の有効活用が図られるでしょう。
参考).既存ストック活用のニーズの多様化
増え続ける既存ストックを,どう活用するのかという問題があります。コロナ感染症の影響で業務形態が変化し,事務所ビルから撤退する企業やホテルの廃業の動きなどもあり,事務所ビルやホテルなどを住宅に用途変更して活用するニーズも出ています。しかし,現行法で事務所は採光規定がなく,ホテルにおいても現行法の住宅の採光規定とは異なるため,住宅に用途変更する場合は,開口部を広くするか増設をする必要があり,実現が難しいケースが多くあります。そこで2023年4月の法改正により,住宅の居室への用途変更がしやすくなります。
また一般の住宅のリフォームにおいても,リモートワークの必要性から窓の少ない収納部屋などを書斎(居室)にすることも可能になり,リフォーム工事の多様化にも繋がります。
■ 003 居室の採光(及び換気) (法28条,令19条,令20条(有効面積の算定方法))
1.採光を必要とする居室と開口部の大きさ
(地階等に設ける居室,暗室など用途上やむを得ない居室等は除かれる(法28条第1項ただし書)。)
建築物の居室 | 割合 | |
− | 住宅の居室(居住のために使用されるもの) | 1/7 |
(1) | 幼稚園,小学校,中学校,高等学校,中等教育学校の教室 | 1/5 (*2) |
(2) | 保育所の保育室 | |
(3) | 病院・診療所の病室 | 1/7 |
(4) | 寄宿舎(独身寮)の寝室,下宿の宿泊室 | |
(5) | 児童福祉施設等(*1)の寝室(入所者が使用するものに限る) | |
児童福祉施設等(保育所除く)の居室のうち,入所者・通所者に対する保育室,訓練室,日常生活に必要な便宣の供与等の目的のために使用されるもの | ||
(6) | (1)の学校以外の学校の教室 | 1/10 |
(7) | 病院・診療所・児童福祉施設等の居室のうち,入院患者・入所者が談話室,娯楽室等の目的のために使用されるもの |
*1.児童福祉施設等とは
児童福祉施設,助産所,身体障害者更生援護施設(補装具製作施設・視聴覚障害者情報提供施設を除く),精神障害者社会復帰施設,保護施設(医療保護施設を除く),婦人保護施設,知的障害者援護施設,老人福祉施設,有料老人ホーム,母子保健施設をいう。
*2.以下「2.」の「告昭55年1800号」参照
注意).
従来,上表の建築物の対象居室以外の居室も1/10以上が要求されていたが,平成12年の改正建築基準法施行令により対象居室のみに限定されました。
2.令19条3項の「告昭55年1800号」 (最終改正 平成12年12月26日 建設省告示第2465号)
「照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準等を定める件」
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第19条第3項ただし書の規定に基づき,照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準及び居室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積のその床面積に対する割合で別に定めるものを次のように定める。
第1 照明設備の設置,有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準
一
幼稚園,小学校,中学校,高等学校若しくは中等教育学校の教室又は保育所の保育室にあっては,次のイ及びロに定めるものとする。
イ 床面からの高さが50pの水平面において200lx(ルクス)以上の照度を確保することができるよう照明設備を設置すること。
ロ 窓その他の開口部で採光に有効な部分のうち床面からの高さが50p以上の部分の面積が,当該教室又は保育室の床面積の1/7以上であること。
二
小学校,中学校,高等学校又は中等教育学校の音楽教室又は視聴覚教室(*1)で建築基準法施行令第20条の2に規定する技術的基準に適合する換気設備が設けられたものにあっては,前号イに定めるものとする。
(*1.(一)の(イ)の照明設備を設けること)
第2
窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積のその床面積に対する割合で国土交通大臣が別に定めるもの
一
第1第一号に定める措置が講じられている居室にあっては,1/7とする。
二
第1第二号に定める措置が講じられている居室にあっては,1/10とする。
3.採光上必要な開ロ部を設ける必要のない居室の扱い(H7住指発153号通達)
下記に該当する居室は,法28条1項ただし書きに規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室」として扱われ,採光のための窓その他の開口部を設ける必要がない。
(1).温湿度調整を必要とする作業を行う作業室
@.大学,病院等の実験室,研究室,調剤等温湿度調整を必要とする実験,研究,調剤等を行う居室
小・中学校,高校の生徒用実験室を除く。
A.手術室
B.エックス線撮影室等精密機器による検査,治療等を行う居室
C.厳密な温湿度調整を要する治療室,新生児室等
(2).その他使用途上やむを得ない居室
その1(開口部を設けることが用途上望ましくない居室)
@.大音量の発生その他音響上の理由から防音指置を講ずることが望ましい居室
ア.住宅の音楽練習室,リスニングルーム等
遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し,付加的な居室であることが明らかなものに限る。
イ.放送室
スタジオ,機械室,前室等で構成されるものをいう。
ウ.聴覚検査室等外部からの震動・騒音が診察,検査等の障害となる居室
A.暗室,プラネタりウム等現像,映写等を行うため自然採光を防ぐ必要のある居室
小・中学校,高校の視聴覚教室を除く。
B.大学,病院等の実験室,研究室,消毒室,クリーンルーム等放射性物質等の危険物を取り扱うため,又は遺伝子操作実験,病原菌の取扱い,減菌作業,清浄な環境の下での検査,治療等を行う上で細菌若しくはほこりの侵入を防ぐため,開口部の面積を最小限とすることが望ましい居室
C.自然採光が治療,検査等の障害となる居室
ア.眼科の診療室,検査室等自然光が障害となる機器を使用する居室
イ.歯科又は耳鼻咽喉科の診療室,検査室等人工照明により診察,検査等を行う居室
(3).その他使用途上やむを得ない居室
その2(未成年者,罹病者,妊産婦,障害者,高齢者等以外の者が専ら利用する居室で法的に採光を要さない居室に類する用途に供するもの)
@.事務室(オフィスオートメーション室を含む),会議室,応接室,職員室,校長室,院長室,看護婦詰所(ナースステーション)等事務室その他執務を行う居室に類する用途に供する居室
A.調理室,印刷室等飲食店等の厨房,事務所等の印刷室その他作業を行う居室に類する用途に供する居室
住宅の調理室で食事室と兼用されるものを除く。
B.舞台及び固定された客室を有し,かっ,不特定多数の者が利用する用途に供する講堂等劇場,演芸場,観覧場,公会堂,集会場等に類する用途に供する居室
C.管理事務室,守衛室,受付室,宿直室,当直室等事務所の管理室に類する用途に供する居室
D.売店等物品販売業を営む店舗の売場に類する用途に供する居室
■ 004 採光補正係数と採光関係比率
4.採光に関する考え方(法28条,令20条1項)
基本
住宅などの居室の開口部は,「居室の床面積」に対して「用途ごとの割合」以上の採光有効面積でなければならない(法28条)
開口部の採光有効面積は,「居室の開口部ごとの面積」に「採光補正係数」を乗じて得た面積を合計して算定する(令20条)
開口部の採光有効面積≧居室の床面積×用途ごとの割合
開口部の採光有効面積:(居室の開口部ごとの面積×採光補正係数)の合計
用途ごとの割合:1/5〜1/10
例外1
地階もしくは地下工作物に設ける居室等または温湿度調整を必要とする作業室等は除く(法28条本文ただし書)
例外2
ふすま,障子等の随時開放できるもので仕切られた2室は,1室とみなす(法28条4項)
例外3
建設大臣が別に算定方法を定めた建築物の開口部については,その算定方法による(令20条1項ただし書「告示未制定」)
5.採光補正係数の値を求める方法(令20条2項) ( 計算表
サンプルファイルダウンロード
(同じウィンドウで移動) )
地域・地区 | 採光補正係数 | ||||
算定式 | 算定式の例外 (令20条各号イ〜ハ) |
例外1 (令20条2項 本文かっこ書) |
例外2 (令20条2項 本文ただし書) |
||
@ | 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 |
D/H×6−1.4 | イ 開口部が道に面する場合で,算定値が1.0未満となる場合:1.0 ロ 開口部が道に面しない場合で,水平距離が7m以上で,かつ,算定値が1.0未満となる場合:1.0 ハ 開口部が道に面しない場合で,水平距離が7m未満で,かつ,算定値が負数となる場合:0 |
天窓の場合: 算定値×3 外側に幅90cm以上の縁側(濡れ縁を除く)等がある開口部の場合: 算定値×0.7 |
採光補正係数が3.0超の場合: 3.0 |
A | 準工業地域 工業地域 工業専用地域 |
D/H×8−1 | イ 開口部が道に面する場合で,算定値が1.0未満となる場合:1.0 ロ 開口部が道に面しない場合で,水平距離が5m以上で,かつ,算定値が1.0未満となる場合:1.0 ハ 開口部が道に面しない場合で,水平距離が5m未満で,かつ,算定値が負数となる場合:0 |
||
B | 近隣商業地域 商業地域 用途地域の指定のない区域 |
D/H×10−1 | イ 開口部が道に面する場合で,算定値が1.0未満となる場合:1.0 ロ 開口部が道に面しない場合で,水平距離が4m以上で,かつ,算定値が1.0未満となる場合:1.0 ハ 開口部が道に面しない場合で,水平距離が4m未満で,かつ,算定値が負数となる場合:0 |
||
D/H
:その数値のうち最も小さい数値(採光関係比率) D :水平距離(開口部の直上にある建築物の部分と,隣地境界線または同一敷地内の他の建築物もしくは当該建築物の他の部分までの水平距離) H :垂直距離(開口部の直上にある建築物の部分から開口部の中心までの垂直距離) 例外1:開口部が,道(都市計画区域内では法42条に規定する道路)に面する場合,隣地境界線はその道の反対側の境界線とする(令20条2項本文かっこ書) 例外2:公園等の空地または水面に面する場合,隣地境界線はその空地または水面の幅の1/2だけ隣地境界線の外側にある線とする(同) |
採光の改正法
● 算定方法は,「採光関係比率」に応じた「採光補正係数」を算定し,これを開口部の面積に乗じて,採光上有効な開口部の面積を求める方式に改正した。また建設大臣が別に定める算定方法によることもできることになった(令20条1項)。
● 「採光関係比率」は,開口部の直上にある建築物の部分から隣地境界線等までの距離(D:水平距離)を,その部分から開口部の中心までの距離(H:垂直距離)で除した数値のうち最も小さい数値である。なお垂直距離は,改正後は,「開口部の中心までの距離」となっている。
サンプルファイルダウンロード (左のフレームの「法規関連資料のダウンロード」より)
a1_150_houki_check_saikou_etc.dwg 注意 →
README 表示
:DWF HTM
(別ウィンドウで表示)
法規チェック図 排煙_採光_換気計算表
(例)
表:Excelリンク表示 (.ver 2002)
排煙開口断面タイプ表
色従属印刷スタイルファイル(.ctb)
ダウンロード :T_office_monochrome.ctb README
隣地境界線と平行でない開口部の水平距離「D」の考え方
(1995K )
建築的な発想によるとり方
(こちらが一般的) 水平距離はDbとして,採光関係比率を算出することが望ましい。 |
参考).民法234条に関する民法の解説書によるとり方 |
![]() |
![]() |
採光有効面積の算定/採光関係比率の求め方
採光(令第20条)
「採光有効面積の算定例
1」(垂直距離による違い) 用途地域域 :住居系用途地/居室の種類 :寄宿舎の寝室/居室の床面積 :70u/用途ごとの割合 :1/7(≧10u) 「採光補正係数」算定式 :D/H×6-1.4 ( D/H :「採光関係比率」といい,その数値のうち最も小さい数値とする) ( D/H×6-1.4 :「採光補正係数」という) 必要な窓面積計算式 :居室の床面積×1/7÷採光補正係数 |
|
![]() |
例 : D=4m ,H 1=8m ,H 2=10m ,H 3=10.9m 「窓1のケース」 採光補正係数 : 4/8×6−1.4=1.6 窓面積の160%が有効となる必要な窓面積は, 70u×1/7÷1.6=6.25u (6.25×1.6=10u =開口部の面積×採光補正係数 ) したがって,6.25u以上の窓面積であれば採光上有効な開口部となる。 「窓2のケース」 採光補正係数 : 4/10×6−1.4=1.0 窓面積のすべて(100%)が有効となる必要な窓面積は, 70u×1/7÷1.0=10u (10×1.0=10u =開口部の面積×採光補正係数 ) したがって,10u以上の窓面積であれば採光上有効な開口部となる。 「窓3のケース」 採光補正係数 : 4/10.9×6−1.4=0.8 窓面積の80%が有効となる必要な窓面積は, 70u×1/7÷0.8=12.5u (12.5×0.8=10u =開口部の面積×採光補正係数 ) したがって,12.5u以上の窓面積であれば採光上有効な開口部となる。 |
用途地域ごとの水平距離「D」による違い 水平距離「D」による緩和 開口部が道に面しない場合で,各用途地域ごとに,一定以上の水平距離「D」があり,算定値が1.0未満の場合は1.0とすると規定している。むろん算定値が1.0超の場合にはその数値となる。 「住居系用途地域の場合」 D≧7mの場合,採光補正係数が1未満でも,1.0として扱う。 すなわち7m以上の水平距離があればすべての窓は採光上有効な開口部となる。 「工業系用途地域の場合」 D≧5mの場合,採光補正係数が1未満でも,1.0として扱う。 すなわち5m以上の水平距離があればすべての窓は採光上有効な開口部となる。 「商業系用途地域の場合」 D≧4mの場合,採光補正係数が1未満でも,1.0として扱う。 すなわち4m以上の水平距離があればすべての窓は採光上有効な開口部となる。 |
採光関係比率の算定例 居室の開口部とは 採光のための窓その他の開口部をいう。壁の一部にガラスブロックを用いる場合は,その透過性や目地の大きさなど採光効果を考慮して個別に判断される。ドアやシャッターで採光効果がないものはこれに該当しないが,シャッターで日中は開放されているものは当該開口部として扱われている。 |
|
![]() |
※半透明のひさしについて ガラスひさし(網入りガラス,板ガラス,型板ガラス等)は一般的に採光上支障がないものとして扱われている。ただし先端に梁等がある場合はDの数値から梁幅を減じて算定されたい。 屋上に開放性の高い手すり(ガラスや縦格子など)等も採光上支障がないものとして扱われている。 外壁に凸凹がある建物では,D1/H1,D2/H2,D3/H3,D4/H4のうち最小の数値が窓の採光関係比率となる。 バルコニーがある場合 バルコニーの先端から隣地境界線間での水平距離をDとする。 |
採光関係比率の求め方 例1 | 採光関係比率の求め方 例2 | 採光関係比率の求め方 例3 |
窓1の採光関係比率は,D1/H1である。 窓2の採光関係比率は,D2/H2 と D2/H3のうち,最小の数値となる。 |
窓3の採光関係比率は,D1/H1 と D2/H2 のうち,最小の数値となる。 | 天窓の採光関係比率は,D/H
となる。 なお,「採光補正係数」は,D/H を算定し,算出した数値に3を乗じて得た数値となる。 |
![]() |
![]() |
![]() |
採光関係比率の求め方 例4 | 採光関係比率の求め方 例5 | 天窓から天井までの距離が天窓口径より長い場合の天窓の採光有効面積の求め方 |
L
: 天窓の計
( 四角の場合は短い辺の長さ ) H : 天窓ガラス面から天井面までの距離 L ': 計算する該当の建物軒から隣地境界線までの距離 H ': 建物の最高部から天窓までの距離 天窓の採光面積も窓の開口面積×採光補正係数ですが,採光補正係数の計算の方法は L/H ・・・・・・・・・@ L'/(H'+H)・・・・A @,Aのうち小さい方を使い採光補正係数を導きます。仮に住居系地域で@が小さいとすると(6×L/H−1.4)×3となります。(但し3を超える場合は3となります) |
採光補正係数の計算の方法は L'/(H'+H) で {6×L'/(H'+H)−1.4}×3となります。 (但し3を超える場合は3となります) |
W=3Wr W : 採光に有効な面積 Wr : 天窓部分の採光に有効な面積 H>Lの場合 W=3Wr×L/H とする考え方もあろう H : 天井面から天窓頂点までの高さ L : 天窓の径 |
![]() |
![]() |
![]() |
同一敷地内に高層の建築物と低層の建築物がある場合の「D」,「H」のとり方
(1995K 及び Webサイト文献より)
同一敷地内に高層の建築物と低層の建築物がある場合の「D」,「H」のとり方 | |
![]() |
以下,Webサイト文献より 同ー敷地内に高層棟と低層棟がある場合の補正係数については建築基準法上の規定では高層棟の採光補正係数も低層棟の対向部までの水平距離によるが,これは対向部を隣地境界線とみなし(※),高層棟の上部の天空採光を期待するものである。しかし,対向部が低層棟であれば,高層棟も低層棟の上部の天空採光を十分に受けることができるため,高層棟においても低層棟による採光補正係数を採用できるものとする。 ※) 隣地境界線まで十分な距離があることが前提だが,距離の許容値については審査機関にて確認すること。 自転車置場(/駐車場)等の例). 低層棟建築物Bが四隅柱の屋根だけの自転車置場等の場合,高層棟建築物Aの「H」のとり方はやはり自転車置場等の屋根上端からの「H」でよい。 前述同様に高層棟においても低層棟による採光補正係数を採用できるということ。 |
建築物と隣地境界線までの水平距離による緩和
(1995K )
建築物と隣地境界線までの水平距離による緩和1 | 建築物と隣地境界線までの水平距離による緩和2 |
道路に面する場合の隣地境界線は,道路の反対側の境界線を隣地境界線と考えて算定する。 | 公園,広場,川等に面する場合の隣地境界線は,これらの幅の1/2だけ本来の隣地境界線の外側にある線と考えて算定する。 |
![]() |
![]() |
居室の採光
法第28条第1項,第2項,第4項,令19条,令20条,(H15年国交告第303号)
縁側を介する場合の採光補正係数の取扱い(令20条第2項)
(2009JCBAより )
●
縁側を介する場合の採光補正係数の取扱い(令20条第2項) 採光補正係数の低減率は,縁側の幅員が0.9m未満の場合は1.0(実質的には低減しない)を,0.9m以上の場合は0.7を乗ずる。ただし,直接外気に接するぬれ縁については,採光補正係数を低減しない。 |
|
縁側(ぬれ縁を除く。)については,外壁に面する部分の大半が掃き出し窓等の開口部であり,採光上の開放性が高い。しかし,当該縁側と居室とは障子等により仕切られているため,当該居室から見ると,縁側を介した採光性は低減することとなる。このような場合の補正として,縁側の幅員Wが0.9m以上のときは,縁側を介さない場合に比べて0.7程度の採光が得られるものとしている。なお,縁側以外の屋内廊下については,縁側と同様に外部に面する部分が大きく,採光上の開放性を有する場合において,同様に取り扱うものとする。 この場合,縁側部分の面積は居室の面積には含まない。 | |
![]() |
縁側等屋内廊下の例 【開口部の採光有効面積】 W<0.9mの場合 居室の開口部Aの面積×採光補正係数×1.0 W≧0.9mの場合 居室の開口部Aの面積×採光補正係数×0.7(採光補正係数の低減率) 注).開口部 :B>A |
●
「ふすま,障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室」の取扱い(法第28条第4項)
採光・換気の規定の適用に当たっては1室とみなす。ここで規定されている「随時開放することができるもの」とは,具体的には,引き戸やアコーディオンカーテンなどが挙げられる。
引き戸やアコーディオンカーテンなどのように,間仕切壁とは異なり,開放時には一定の開放性が確保されるような構造のものについては対象となる2室の一体性が認められることから,採光・換気の規定上,これらの2室を1室として扱うことができる。なお,開放時であっても採光性・換気性を確保する観点から室相互の独立性が高くなる構造の戸(開き戸など)については,ここでいう「随時開放することができるもの」には該当しない。
■ 005 採光が有効かどうか
採光が有効かどうか
(1995K )
開放廊下,屋外階段に面する場合 (法20条第2項の応用解釈) 居室Bは,開放廊下に面しているので採光は有効である。この場合,行政庁によっては,幅90p以上の縁側がある場合と同じように扱っているところもある。 居室Aは開口部の前に屋外階段があり採光は有効でない。 (採光が有効である場合の有効面積の算定は第20条の通り。) |
![]() |
アルコーブを介して廊下がある場合
(1995K )
アルコーブを介して廊下がある場合 (法20条第2項の応用解釈) アルコーブを介して廊下がある場合法20条第2項の応用解釈廊下の前がある程度の開放性があれば,幅90p以上の広縁がある場合と同様の扱いをしてもよいと思われる。 (採光が有効である場合の有効面積の算定は第20条の通り。) |
![]() |
インナーバルコニーや吹きさらしの廊下に面する場合
窓の屋外側にインナーバルコニーや吹きさらしの廊下など,“外気に開放された空間”がある場合,奥行きに応じて採光補正係数が低減されます。
採光関係比率をD/Hとし,用途地域別に算出した数値に,下表の有効係数を掛けて採光補正係数を求めます。
吹きさらし廊下・バルコニーなどの奥行き | 採光の有効係数 |
2m以下 | 100% (=1) |
2m超〜4m以下 | 70% (=0.7) |
4m超 | 0% (=0) |
例えば,住居系の用途地域では「採光補正係数=(D/H×6-1.4)×上表有効係数」となり,窓の外に,奥行き4mを超える屋根がある場合は,採光補正係数「0」。 つまり,法律上は光の入らない窓とみなす自治体が多いわけです。 |
2室採光の考え方 (法28条第4項,令111条第2項)
2室(居室
A,B)を1室とみなせない3例
(1995K )
2室を1室の扱いの特例 (法28条第4項令111条第2項) (2006H)
2室を1室の扱いの特例 | |
![]() |
住宅の場合 Wb×採光補正係数≧1/7(Sa+Sb) ※ 手前の室(居室B)が非居室(開口部がシャッターの車庫など)の場合は2室採光とはみなされない。 また車庫を縁側等と見立てるにも無理がある。 |
採光に有効な部分の面積の算定方法の緩和
:2室を1室の扱い (告示 H15告示0303号) (2006H)
2室を1室の扱いの特例 (告示
H15告示0303号) 近隣商業地域又は商業地域内の住宅の居室(長屋又は共同住宅にあっては,同一の住戸内の居室に限る。) ※ この告示による緩和で,下図のように壁などで仕切られている2室であっても,一定の開口部の条件を満たせば採光が確保されたことになり,事務所等として建設された既設建築物を住宅(長屋・共同住宅含む)に用途変更する際のハードルが1つ解消されたことになる。 |
![]() |
住宅の場合 Wa≧Sa/7かつWb×K≧(Sa+Sb)/7 (K:開口部Bの補正係数) ※ 手前の室(居室B)が非居室(開口部がシャッターの車庫など)の場合は2室採光とはみなされない。 また車庫を縁側等と見立てるにも無理がある。 |
換気
■ K001 関連法令
関連法令
【居室の採光及び換気】 (法第28条
抜粋)
第28条
住宅,学校,病院,診療所,寄宿舎,下宿その他これらに・・・・・・・・・。
2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け,その換気に有効な部分の面積は,その居室の床面積に対して,1/20以上としなければならない。ただし,政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合においては,この限りでない。
政令(@) ⇒ 令19条第1項
・・・・・・(省略)
政令(A) ⇒ 令19条第2項 ・・・・・・(省略)
政令(B) ⇒ 令19条第3項 ・・・・・・(省略)
3 別表第1(い)欄(1)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室,浴室その他の室でかまど,こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令(@)で定めるものを除く。)には,政令(A)で定める技術的基準に従って,換気設備を設けなければならない。
政令 ⇒令20条の2「換気設備の技術的基準」
4 ふすま,障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は,前3項の規定の適用については,1室とみなす。
政令(@) ⇒ 令20の3「火を使用する室に設けなけれがならない換気設備」
政令(A) ⇒ 令20条の2「換気設備の技術的基準」
【石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置】
第28条の2第三号 (抜粋)
一 (省略)
二 (省略)
三 居室を有する建築物にあっては,前2号に定めるもののほか,石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ,建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。
【換気設備の技術的基準】 (令第20条の2
抜粋)
第20条の2 法第28条第2項ただし書の政令で定める技術的基準及び同条第3項(法第87条第3項において準用する場合を含む。次条第1項において同じ。)の政令で定める特殊建築物(以下この条において「特殊建築物」という。)の居室に設ける換気設備の技術的基準は,次のとおりとする。
(以下省略)
※ 機械換気設備の設置の義務付け及びシックハウス対策に係る規制についての詳細は左フレーム内INDEXの「シックハウス対策・石綿」を参照してください。
【火を使用する室に設けなければならない換気設備等】 (令第20条の3
抜粋)
第20条の3 法第28条第3項の規定により政令で定める室は,次に掲げるものとする。
(以下省略)
● 関連法
換気設備の構造方法を定める件
昭和45年12月28日 建設省告示第1826号(最終改正 平成12年12月26日
建設省告示第2465号)
第3 調理室(台所)等に設ける換気設備
一 (省略)
二 令第20条の3第2項第一号イ(4)の規定により国土交通大臣が定める数値は,次のイ又はロに掲げる場合に応じ,それぞれイ又はロに定める数値とすること。
イ
排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合 次の式によって計算した換気扇等の有効換気量の数値
V = 40KQ
この式において,V ,40,K 及び Q は,それぞれ次の数値を表すものとする。
V :換気扇等の有効換気量 (単位 m3/時間)
40 :N値で, 排気(換気)フードの形状・寸法と構造及び排気(換気)フードのない場合により定められた数値(40/30/20) (
詳細 )(同じウィンドウで移動)
K
:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量(別表(い)欄に掲げる燃料の種類については,同表(ろ)欄に掲げる数値によることができる。以下同じ。)
(単位 m3) (
例:(1)都市ガス(13A)/LPガス(プロパン主体) → 1kW時につき0.93m3
)
Q :火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量
(単位 kW又はkg/時間)
ロ 排気口又は排気筒に換気扇等を設けない場合,次の式によって計算した排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積の数値
(以下省略)
解説).換気扇等の必要換気量(有効換気量)「V」は厨房などの器具の理論廃ガス量から求めます。
V = NKQ
この式において,V
,K
及び
Q
は,それぞれ次の数値を表すものとする。
V
:換気扇等の必要換気量(有効換気量)
(単位:m3/h)
N :排気(換気)フードの形状・寸法と構造及び排気(換気)フードのない場合により定められた数値(40/30/20) (
詳細 )(同じウィンドウで移動)
K
:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量(別表(い)欄に掲げる燃料の種類については,同表(ろ)欄に掲げる数値によることができる。以下同じ。)
(単位:m3/kW・h又はm3/kg) (
kW・h はキロワット時と読む )
以下,別表(及び参考)。理論排ガス量"K"は,0.93m3/kW・hと固定の数値になっている。
・ 都市ガス(12A,13A,5C,6B(/ブタンエアガス))
: 0.93m3/kW・h
・ LPガス(プロパン主体) : 0.93m3/kW・h
(又は12.9m3/kg)
・ 灯油
: 12.1m3/kg
Q
:火を使用する設備又は器具の実況に応じた発熱量「kW」または燃料消費量「kg/h及びm3/h」
以下,都市ガス13Aのコンロ参考値(発熱量/燃料消費量)
1口コンロ : 4.20kW / 0.301kg/h
2口コンロ : 6.88kW / 0.493kg/h
3口コンロ : 8.05kW / 0.577kg/h
参考).発熱量「kW」または燃料消費量「kg/h及びm3/h」の旧単位について
・ kWで表示されているものをkcal/hに換算する場合は,1kWは860kcal/h(859.85kcal/h)なので,「kW×860
= m3/h」,kcal/hをkWに換算する場合は「kcal/h÷kW
= m3/h」となります。
・
1s/hは14kWとしているので,kWで表示されているものをs/hに換算する場合は14で割る。
尚,平成7年1月1日より日本工業規格(JIS)は,ガス消費量の単位
kcal/h はW に,s/h は kW にと,SI 単位に変わりました。
参考).以下,必要換気量(有効換気量)「V」の計算例です。
○ 住宅のキッチン例
レンジフ−ドファン500m3/h
(排気フードT型(N=30)に相当)
ガス消費量10.47kW
(3口コンロ+グリル(システムキッチン))
必要換気量
「V = NKQ」
V=30×0.93×10.47=292.11
m3/h (<500m3/h)
参考までに).前述のガス消費量「kW」が旧単位「kcal/h」表示の場合の計算例 (平成7年以降のガス消費量の表示は「kW」です。)
レンジフ−ドファン500m3/h×10mmAq (「排気フードT型」(N=30)に相当)
ガス消費量:9,000kcal/h (3口コンロ+グリル(システムキッチン))
(参考1 : 1kWは換算すると859.85kcal/hなので,新しい単位では9,000kcal/h÷859.85kcal/h≒10.47kWです。)
必要換気量 「V = NKQ」
V=30×0.00108×9,000=291.6
m3/h (<500m3/h)
(参考2 : 燃料の種類の都市ガス13A(6B/ブタン・エアガス)は0.00108K/kcalです。)
(参考3 : 旧型のレンジフ−ドファンでは排気量(風量)表示に「500m3/h×10mmAq」と,圧力単位「mmAq」(ミリメートルアクア)が表記してあることが有りますが,現在では「kPa」(キロパスカル)又は「MPa」(メガパスカル)で表示します。「mmAq」は平成6年(1994年)以前の表示です。アクアはラテン語で「水」という意味で,「水柱」としての表示です。)
以下,さらに参考までに
10mmAq=0.098 kPa (1,000 kPa=1 MPa)
1mmAq =9.80665 Pa (Pa(パスカル):機外静圧(圧力を表す基本単位))
● 台所換気設備の設置に関する法規についての留意
排気(換気)フードT及びU型の設置高さ
排気量を理論廃ガス量の30倍及び20倍(定数:30及び20)にすることができる排気フードI型及びU型の設置高さは,火源または調理機器に設けられた排気口からフード下端までの高さを100cm以下にしなければなりません。
※ 排気(換気)フードT型(N=30),U型(N=20)の形状・寸法と構造及び排気(換気)フードのない場合(N=40),他について
4.マフラー・煙突を使用の場合は「N=2」
注意).12kwを超えるガスローレンジや回転釜,ガス茹麺機など,フード下端から1mの規定を適用すると,調理作業に支障が生じてしまう場合があります。こういったケースでは,排気フードが設置されていますがN=40で計算することになります。
● 参考).電化厨房機器を使用する場合の留意事項 (法28条3項,令20条の3,S45告示1826)
電気給湯器やIHクッキングヒーター(電磁誘導加熱式調理器)等は直接火気を使用するものでないため,火気使用室の換気設備の適用はないが,熱,水蒸気,臭気等のによる不快感除去や結露防止等良好な室内環境を保つのため,一定の換気設備を設けたい。
一般的な家庭用電化厨房の『建築設備設計・施工上の指導指針』ではミニキッチンで200m3/h,一般家庭用で300m3/h以上の換気量が望ましい目安とされています。
業務用の電化厨房については,必要換気量=30×定格消費電力(kW)で求める,または厨房の換気回数を20回/hにする,という目安があります。
注意).居室を兼用している厨房などは,シックハウス対策として換気設備(24時間常時換気)が必要となるので注意が必要。
【居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準】 (令第20条の7
抜粋)
第20条の7
建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第28条の2第三号の政令で定める技術的基準は,次のとおりとする。
(以下省略)
(関連法)
関連して確認申請の際に以下の提出図書が必要です。(建築基準法施行規則
第1条の3)
図書の書類 :有効換気量又は有効換気換算量を算出した際の計算書
明示すべき事項 :有効換気量又は有効換気換算量及びその算出方法/換気回数及び必要有効換気量
【居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準】 (令第20条の8
抜粋)
第20条の8
換気設備についてのホルムアルデヒドに関する法第28条の2第三号の政令で定める技術的基準は,次のとおりとする。
(以下省略)
以上,シックハウス対策としての換気設備設置の義務付けについては左フレーム内INDEXの以下を参照してください。
「シックハウス対策・石綿」
→
■ シックハウス対策に係る規制の概要
→ ●
換気設備の義務付け・・・・・・(令第20条の8)
→
シックハウス対策としての換気設備設置の義務付け
【地階における住宅等の居室の技術的基準】 (令第22条の2
抜粋)
第22条の2 法第29条(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は,次に掲げるものとする。
(以下省略)
【換気設備】 (令第129条の2の6
抜粋)
第129条の2の6
建築物(換気設備を設けるベき調理室等を除く。以下この条において同じ。)に設ける自然換気設備は,次に定める構造としなければならない。
(以下省略)
・
・
・
・
(以下施行規則,告示他省略)
換気設備の設置が必要な居室と換気設備の種類
設置が義務付けられる居室 | 設置すべき換気設備の種類 | 関係法令 |
一般の居室(下記特殊建築物の居室を除く) | イ.自然操気設備 ロ.機械換気設備 ハ.中央管理方式の空気調和設備 |
法28条2項 令20条の2 令129条の2の6 S45告示1826号 |
特殊建築物(劇場,映画館,演芸場,観覧場,公会堂,集会場)の居室 | ロ.機械換気設備 ハ.中央管理方式の空気調和設備 |
・
・
・
・
(以下詳細省略)
「目次」へ戻る