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天空率

「 目 次 」

■  001 
天空率とは
       天空率とは (法第56条第7項)
       
関連法令 ( 法第56条第7項)
       
「東京のまちづくり情報」より
       
1 天空率のチェック
         
01 天空率の審査の目的
         
02 天空率の審査の原則
         
03 高さ制限適合建築物の作図方法
       
天空率の表示方法等
       
天空率チェックの概念 (「東京のまちづくり情報」より)
       
天空率の定義 半径10cmの天空図
       
天空率算定求積図
       
安全率 (法第56条第7項,規則第1条の3) (2009JCBAより)
       
天空図(/日影図)を作成するソフト(フリー)の紹介 (お勧めです)
         解説用天空図サンプルファイル ダウンロード
       
「天空図作成ソフトで作成した図及び表の解説」
         
測定点 No.1の天空率算定求積図 例
         
前記天空率算定求積図の測定点 No.1の三斜求積図部分 詳細
         
測定点 No.1の三斜求積表 例
         
測定点 No.1の正射影(投影図)の位置確認表 例
       その他天空率制度利用の留意事項

■  002 
道路高さ制限を適用しない建築物の天空率制度の利用
        関連法令
       道路高さ制限を適用しない建築物の基準 (令第135条の6)
         
「令第135条の6解説」
       
天空率の算定位置 (法第56条第7項第1号,令第135条の9関係)
       
適合建築物と計画建築物
       
天空率利用により計画可能例 (東京都の採用例)
       
階段室・棟飾などの扱いについて
         
適合建築物の場合
          計画建築物の場合
       
道路高さ制限の場合の天空率の算定位置と高さの基本
       
天空率制度の留意点 (横浜市)
       
天空率計算の検討種類・方法について
         
複合的な斜線の高さ制限を受ける計画建築物の例
         
各方向からの高さ制限
         
以下,各道路側の適合建物
       
2つ以上の前面道路がある場合の天空率算定 (2004JAICより)
         以下,各道路側の適合建物
       敷地の外周の3方向が道路である場合の天空率算定
         
以下,各道路斜線制限区域の確認
       
敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定
         
以下,各道路幅員における適合建物
       
天空率の基礎である天空率の検討の範囲 (主に「東京のまちづくり情報」より)
         
敷地,道路,道路高さ制限の関係を正しく理解 (「東京のまちづくり情報」より)
         
敷地内角が鈍角の各行政の天空率検討範囲 (東京都, JCBA/横浜市,大阪市)
         
道路の交差角度が鈍角及び隅切りがある場合 (2009JCBAより)
         
路地状敷地の道路斜線制限  (JCBA及び横浜市の方式)
         
路地状敷地の道路斜線制限  (東京都方式)
         
路地状敷地の応用
          出隅敷地の天空率 (「東京のまちづくり情報」より)
         
入隅敷地の場合 (2004JAICより)(JAIC:「日本建築情報センター」)
         
道路の交差部に隅切りがある場合 (「東京のまちづくり情報」より)
         
道路境界線(隣地境界線)の屈曲点が多く,領域分けが細かい場合 (2004JAICより)
       
境界線の簡略化の是非 (「東京のまちづくり情報」より)
       
簡略化による天空率の算定方法
       
特殊な敷地における天空率算定  (法56条第7項,令135条の6,7,9,10)
         
2以上の前面道路の場合の基本  (2009JCBAより)
         
T字形の前面道路の場合 (2008横浜市pdfより)
         
広い道路と狭い道路が斜めに接続(120°以下)している場合の取り扱い(令132条) (2008横浜市pdfより)
         
広い道路と狭い道路が斜めに接続(120°超え)している場合の取り扱い(令132条) (2008横浜市pdfより)
         
2つの道路の場合の取り扱い(挟まれた敷地例1) (令132条)
         
2つの道路の場合の取り扱い(挟まれた敷地例2) (令132条)
         
入り角敷地の天空率 (横浜市・大阪市・JCBAの取扱い)
            入り角部分の道路斜線例 (横浜市の運用基準 (隣地斜線の場合は異なる)) 
           
入隅前面道路の幅員が異なる場合 (横浜市・大阪市)
           
入隅前面道路の幅員が異なる場合 (JCBAの取扱い)
             
入隅角が鈍角の場合 (JCBA採用)/参考).入隅角が鈍角の場合 (不採用事例)
             
東京都の運用基準
         
前面道路幅員が1つでその幅員が異なる場合の取扱い 例1 (横浜市の取扱い)
          前面道路の幅員が異なる場合の算定位置 例 (JCBAの取扱い)
         
前面道路幅員がV字状の場合の取り扱い 例1 (横浜市の取扱い)
         
前面道路の幅員が異なる(V字状)場合の算定位置 例 (JCBAの取扱い)
         
前面道路が2項道路の場合の測定点の算定位置 (JCBAの取扱い)
         
前面道路の反対側に公園がある場合の取り扱い 例1 (横浜市の取扱い)
          前面道路の反対側に公園がある場合の建築物の後退距離の取扱い (横浜市の取扱い)
         
行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり)(横浜市)
         
行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり)(JCBA)
         
行き止り道路の道路斜線(両側敷地なし)(JCBA)
         
行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり)(東京都) 
       
道路斜線制限による適用距離
         
道路斜線制限による計画建物 例1 (2004JAICより)
          天空率算定の範囲 例1,2
          参考).天空率斜線(造語)内の計画建築物について (2004JAICより)
       
敷地と前面道路に高低差がある場合の天空率算定位置
       
敷地と前面道路の最大高低差が1m以内の住居系敷地の天空率算定位置
       
敷地と前面道路の最大高低差が1m以上の住居系敷地の天空率算定位置
       
道路面又は隣地と敷地の地盤面に高低差がある場合(令第135条の9第4項,第5項)
       
敷地内に高低差がある場合の道路斜線制限の取扱い
       
@制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 基本 
       A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 01 (2004JAICより)
       A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 02 (2004JAICより)
       A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 03 (2004JAICより)
       B住居系用途地域・前面道路12m以上・制限勾配が異なる区域にわたる敷地の場合の天空率算定 (2004JAICより)
       B住居系用途地域・前面道路12m以上・制限勾配が異なる区域にわたり,かつ壁面後退(セットバック)した場合の天空率算定 (2004JAICより)
         (法56条第3項,2項,4項)
       ※ 参考 :傾斜地と道路高さ制限の天空率の検証と反証 (傾斜地の天空率を扱う上での参考) (2004C.Sより)

■  003 
隣地高さ制限を適用しない建築物の天空率制度の利用
        関連法令
       隣地高さ制限を適用しない建築物の基準 (令第135条の7関係)
       天空率の算定位置 (法第56条第7項第2号,令第135条の10関係)
       
隣地高さ制限の場合の天空率算定位置 例
       
敷地が変形している場合の天空率算定位置 例
       
制限勾配が異なる2つの地域などにわたる場合の天空率算定
       
隣地に高低差がある場合の隣地斜線制限の取扱い 例
       
後退を考慮した適合建築物の天空率 (商業地域の例)
       
隣地と敷地の地盤面に高低差がある場合の天空率算定
       
隣地高さ制限の場合の天空率算定位置 例 (入隅及び出隅がある場合)
       
隣地境界線の突出部と天空率
          突出部の高さが1mを超える場合
          突出部の高さが1m以下の場合
          小区間の隣地境界線に凸凹がある場合の取扱い (東京のまちづくり情報より)
       
入り角隣地斜線の天空率 東京都の運用基準

■  004 
北側高さ制限を適用しない建築物の天空率制度の利用
        関連法令
       北側高さ制限を適用しない建築物の基準 (令第135条の8関係)
       天空率の算定位置 (法第56条第7項第3号,令第135条の11関係)
       
北側高さ制限の場合の天空率算定の位置と高さ 例
       
北側隣地と敷地の地盤に高低差(1m以上)がある場合の取扱い
       北側隣地と敷地の地盤に高低差(一部3m超え)がある場合の取扱い
       
参考).北側に前面道路がある場合の天空率の取扱いに関する考察 (東京のまちづくり情報,他より)
          北側に前面道路がある場合の審査方法 01
          北側に前面道路がある場合の審査方法 02
       
隣地斜線適合建築物および北側斜線適合建築物の地盤面の天空率算定
          計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合の天空率算定 (2004JAICより)
          高低差3mを超える隣地および北側高さ制限適合建築物及び計画建築物の例
          高低差3mを超える隣地および北側高さ制限適合建築物及び計画建築物の例 (南東図)

■  005 補足).高度地区での利用について(各Webサイトより)

■  006 参考 :横浜市 Web より申請の取扱い



■  001 天空率とは

天空率とは (法第56条第7項)
平成15年1月1日より施行された改正建築基準法内において追加された制度で,従来の高さ制限(道路斜線・隣地斜線・北側斜線)となる法第56条に新たに
第7項として設けられました。
第7項第1項第一号(道路斜線,同項第二号(隣地斜線)及び同項第三号(北側斜線)が対象となります。

天空率算定対象物について
天空率測定点より高い敷地地盤擁壁塀等は天空率算定の対象となります。ただし,開放性のあるフェンス等は対象外とします。
階段室等の屋上部分は建築面積の1/8以下の面積かつ高さ12m以下でも,天空率算定の対象となります。
棟飾等の屋上突出物は天空率算定の対象となります。
開放性の大きい屋上手すり看板広告塔は,天空率算定対象外とします。


天空率によって
従来の斜線勾配等による
仕様規定から,"天空率"という新たな指標を用いて高さ制限の緩和が可能となる制度(性能規定)の併用が可能となった。

高さ制限は“仕様規定”である( → 設計の限界 )
天空率制度は“
性能規定”である( → 設計の自由度拡大 )


天空率制度とは,計画する建築物(計画建築物)と従来の高さ制限を建築物に置き換えたもの(適合建築物)を定められた位置より天空率を求め,適合建築物と同等以上の天空率が計画建築物で確保されていると,従来の高さ制限を緩和することができる制度です


天空率の定義
建物を天空に投影し,平面上に正射影した場合の円の面積に対する空の面積の割合
(天空比は等立方体角投影での空の割合)

関連法令
法第56条
第7項抜粋 (一部斜線制限解説)  (参考 : 法第五十六条 全文

【建築物の各部分の高さ】
法第56条  建築物の各部分の高さは,次に掲げるもの以下としなければならない。


・(省略)



( 以下「法第56条第7項」:天空率による建築物の高さ制限 )

7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される
採光,通風等と同程度以上の採光,通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については,それぞれ当該各号に掲げる規定は,適用しない。
政令(第一号関連) ⇒ 令第135条の6 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」
政令(第二号関連) ⇒ 令第135条の7 「隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限を ... 」
政令(第三号関連) ⇒ 令第135条の8 「北側の隣地との関係についての建築物の各部分の高さの ... 」


一 第1項第一号,第2項から第4項まで及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
(道路高さ制限)
政令 ⇒ 令第135条の9 「法第56条第7項第一号の政令で定める位置」

二 第1項第二号,第5項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)隣地境界線からの水平距離が,第1項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16メートル,第1項第二号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
(隣地高さ制限)
政令 ⇒ 令第135条の10 「法第56条第7項第二号の政令で定める位置」

三 第1項第三号,第5項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)隣地境界線から真北方向への水平距離が,第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内の建築物にあつては4メートル,第1種中高層住居専用地域又は第2種中高層住居専用地域内の建築物にあつては8メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
(北側高さ制限)
政令 ⇒ 令第135条の11 「法第56条第7項第三号の政令で定める位置」



「法第56条第7項解説」

道路高さ制限,隣地高さ制限及び北側高さ制限と同程度以上の採光・通風等を確保する建築物に係る同制限の適用除外制度の導入

道路高さ制限,隣地高さ制限及び法第56条第7項第3号に掲げる規定による高さの制限(以下「北側高さ制限」という。)は,市街地における採光,通風等を確保することを目的としている。この採光,通風等を以下により定義される天空率により評価し,建築しようとする建築物(以下「計画建築物」という。)における天空率が通常の道路高さ制限隣地高さ制限又は北側高さ制限に適合する各々の建築物における天空率以上である場合には当該計画建築物についてそれぞれ通常の高さ制限を適用しないこととした


留意).
法第58条の高度地区内でも天空率を適用することができますが,高度地区規制そのものは天空率を適用することができません。計画建築物は高度地区規制に適合させる必要があります。高度斜線制限を超えてなならないということ。
天空率を適用できるのは,建築基準法第56条(以下,法56条)による「
道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」のみです。
(「
■  005 補足).高度地区での利用について (各Webサイトより抜粋)」参照 (同じウィンドウで移動)


採光,通風等の程度の指標である
天空率については,以下令第135条の5のとおり規定されている。

【天空率】
令第135条の5  この章において「
天空率」とは,次の式によって計算した数値をいう。
Rs = (As―Ab)÷As
この式において,Rs,As及びAbは,それぞれ次の数値を表すものとする。
Rs 天空率
As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下この章において「
想定半球」という。)の水平投影面積
Ab 建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の
想定半球に投影した投影面の水平投影面積


天空率の算定に当たっては,以下の点に留意すること。

「1」 
想定半球に投影した建築物等の投影面を水平面上に垂直方向に投影させる,いわゆる正射影方式により天空率を算定すること。

「2」 天空率の算定位置が建築物の敷地の地盤面よりも
低い場合には,建築物の敷地の地盤を含めて天空率を算定すること




以下,主に「東京のまちづくり情報」より
天空率の審査方法(試案)

■平成16年2月6日0504簡略化の例・訂正NEW
■平成16年1月20日天空率の基礎
■平成15年7月24日「簡略化による算定方法」を追加
■平成15年7月25日「後退距離の異なる入り角敷地の審査方法」を追加
■平成15年7月25日「路地状敷地の天空率」を訂正

1 天空率のチェック (「東京のまちづくり情報」より)

01 天空率の審査の目的
 この審査方法は,各種斜線制限が予想していなかった「
各種高さ制限適合建築物」の審査方法,ならびに,申請された天空率の合理的な審査方法を示すものである。
通常,建築基準法56条第7項に規定する天空率による高さ制限の申請は,
コンピュータを利用したものになる。そこで構造計算ソフトのように国土交通大臣又は特定行政庁が天空率作図ソフトを認定し,認定ソフトで算定した天空率のチェックを省略または簡略化してはどうかという意見がある。
しかし,天空率については直接数値がアウトプットされるため,構造計算のように計算過程をチェックすることができない。また,データ入力はさまざまな設計者が行うのであるから,正しく入力されたものであることを確認する必要がある。
さらに,天空率はキャド画面上に表示されるため,書き換えが可能であることにも注意しなければならない。このように問題はソフトの精度とは別の問題である。したがって,
どのような方法で算出された天空率による申請に対しても審査を省略することはできない

02 天空率の審査の原則

(1) 天空率審査の基本は,高さ制限適合建築物の
作図方法が適法であること,測定点の位置が道路境界線または隣地境界線から法に定める距離に正しく置かれていることの2点を確認することである。

(2) 道路境界線または隣地境界線が複雑な形状である場合において,敷地内で法に定める範囲において高さ制限適合建築物の位置を単純化することは設計者の自由であるが,測定点を単純化あるいは簡略化することはできない。

(3) 測定点は常に法に定める位置,または,行き当り道路等に用いられる仮想道路境界線上に置かなければならない。

(4) 境界線の曲がり,食い違いが微少である場合については,別に定める基準の範囲内であれば,認められる区間を一辺として天空率を算定することができることとする。

(5) 総合設計制度の審査においては道路または隣地境界線を簡略化する審査方法が認められているが,指導助言が可能である許可と裁量の余地のない確認を同列に扱うことはできない。天空率による高さ制限は仕様規定である。

(6) 正射影図を描く場合には,各斜線制限に即して描かなければならない。例えば道路斜線に天空率を適用する場合に,当該敷地境界線あるいは隣地境界線を超えて描かれてはならない。ただし,路地状敷地においては例外的取扱いとする。

(7) 敷地の形状によっては必ずしも天空率の適用が有利に働くとは限らない。このような場合に原則を崩して取り扱うことは適切な措置とはいえない。原則を崩したために隣地または周辺地に対して通風・採光上の不利益を与えることが予想されるためである。

(8) 天空率による審査は仕様規定であり,あらかじめ示された天空率を満足することを求める性能規定とは本質的に異なるものである。即地的に各種斜線制限による適合建築物と計画建築物との比較しなければならない。仕様規定の審査において建築主事の裁量が認められないように,天空率審査においても裁量の余地はない。

03 高さ制限適合建築物の作図方法

高さ制限適合建築物の作図方法は,次に掲げる参考資料に基づく斜線制限等の取扱いを逸脱するものであってはならない。


<参考資料>
(1)  行止まり道路等に関する斜線制限の取り扱いについて/46首建調発第43号・昭和46年4月6日
◆行き止り道路,入り角敷地,T字交差道路の回り込み,路地状敷地の道路斜線の取扱い
(2)  監修・建設省住宅局建築指導課,同市街地建築課/改正建築基準法の解説・1987年版/財団法人日本建築センター
◆道路斜線,隣地斜線の後退距離の取り扱い
(3)  「高さ・階数の算定方法・同解説」/平成7年5月22日・日本建築行政会議基準総則研究会
◆平均地盤面,ドライエリア等の取り扱い


天空率の表示方法等

(1) 天空率の有効数字は
小数点以下4位(%表示では小数点以下2位)までとする。

(2) 法56条7項に規定する「同程度以上の採光,通風等が当該位置において確保される」ことについては,パソコン処理過程における誤差を考慮して,
0.0002(0.02%)以上の余裕をもたせることとする。

(3) チェックを要する測定点は事前に調整したうえで次の資料の提出を求める。なお,
天空率の審査箇所は適合建築物と計画建築物の天空率が最も接近している箇所等に限定し必要最小限度にとどめることとする。


正射影図位置確認表(建築物の部分(指定点)の
高さ,測定点からの距離仰角方位角
表 正射影図位置確認表 天空図半径(r)=
10cm
(省略)


天空率チェックの概念 (「東京のまちづくり情報」より)

天空率チェックの概念



天空率の定義
半径10cmの天空図

半径10cmの天空図 (方位は配置図の方位に合わせること)
正射影の概念 (天空率の幾何学的な定義)

令第135条の5
天空率」とは,次の式によって計算した数値をいう。
Rs = (As―Ab)÷As

この式において,Rs,As及びAbは,それぞれ次の数値を表すものとする。

Rs 天空率

As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下「想定半球」という)の水平投影面積

Ab 建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の想定半球に投影した投影面の水平投影面積



天空率算定求積図

天空率算定求積図 (正射影の長さ(=建築物の高さ=仰角),三斜求積図等)
三斜求積による天空率の審査方法

三斜求積にあたっては,図のように計画建築物の天空率は小さく(安全側)なるよう内接させること。
また,
適合建築物の三斜求積では天空率が大きめ(安全側)に出るよう外接させること。

三斜求積の
分割角度は,最大で10度程度とする
角度が大きければより安全側になり,角度を小さくすればより精密な数値が得られる。













安全率 (法第56条第7項,規則第1条の3) (2009JCBA,他より)

安全率
法第56条第7項,規則第1条の3

(1)安全率の考え方
規則において定められた「道路高さ制限近接点における天空率算定表」を作成する際に,以下による算出方法により算定された計算結果には一定の安全率(*)が含まれると判断する。
(*) 各算定位置における「計画建築物の天空率」との差

数値による安全率(
0.02%など)の適用の有無については,(2)から(4)に示す算出方法に一定の安全率が含まれることを,設計側及び審査側双方が理解した上で,適宜判断するものとする。

(2)分割角度(多角形近似に際して)「高さ制限近接点における天空率算定表」を作成する際の1つの算出手段である三斜求積法において,天空図上に投影された建築物の多角形近似を行う場合の
分割角度は,最大で10度程度とする
分割角度を大きくすることにより,天空率規制上は安全側の算定となるが,コンピュータ処理との誤差が過大となってしまうことや,分割角度を小さくし側や審査側が審査不可能となってしまうことから,概ねの目安として最大で10度程度の指標を設けるものである。

(3)多角形近似
適合建築物の近似について(外接近似
円弧に対して外接近似させるため,適合建築物の正射影面積(扇形面積−三斜面積)が小さめに算定され,
天空率は大きくなる(安全側)







計画建築物の近似について(内接近似
円弧に対して内接近似させるため,計画建築物の正射影面積(扇形面積−三斜面積)が大きめに算定され,
天空率は小さくなる(安全側)

(4)
計算過程における小数点以下の取扱い

三斜求積法等による天空率の算定における小数点以下の処理については,以下のとおりとする。
@ 天空率の表記は,
小数点以下3桁とする。
A 三斜求積法において分割,近似された各三角形を算出する際,「長さ」「面積」「天空率」を算出する各過程においても同様に
小数点以下3桁で丸め,丸めた数値をそのまま次の計算に用いる
B 丸めの方法については,
適合建築物は切り上げ,計画建築物は切り捨てとする

表記されている数値をそのまま使って計算できることや,丸めの規定が明確であることは,設計側,審査側が互いに「確認申請時の検証」ということを理解した上で,現場でのチェックの容易さを踏まえて一定のルールを設けたものである。

計画建築物の算定例
計画建築物における計算では,三斜で切った面積を「切り捨て」することで三斜面積(B)を,処理なしの場合より小さめに評価する。これにより建物面積(G)は大きめに評価され,天空率は小さめに評価される。さらに,天空率(H)を小数点以下3桁で「切り捨て」ることにより,安全側に評価する。適合建築物の場合は,計画建築物とは逆に「切り上げ」による。


その他解説). 以下,作者のReadme抜粋 (一部修正・追記しています。)

計画建物用,適合建物用
  三斜求積により面積を計算します。
   計画建物用の時,三斜の一辺が建物の曲面に内接(天空率は小さくなり,計算上安全側となる),適合建物用の時は外接します(天空   率は大さくなり,計算上安全側となる)。

これにより計算としては,計画,適合とも同じ建物(同じ形状)であれば,天空率は,
   計画建物用の求積結果 < 適合建物用求積結果 の関係になります。
   AREAコマンドを含めると
   計画建物用 < AREAコマンド < 適合建物用 の関係になります。

計画の建物の形状が天空率をクリアーする場合では
   
計画建物用 AREAコマンド 適合建物用 となるわけです。



以下,天空図(/日影図)を作成するソフト(フリー)の紹介です (お勧めです)  (許可なく紹介,解説していますが,了解されておられるようです。)

このコーナー「天空率」の解説用作図に使用した天空図(/日影図)を作成するソフト(フリー)の紹介です

「LT日影」:AutoCAD (LT) 2000〜2005上で,時刻日影図,等時間日影図,壁面日影図,壁面等時間日影図及び天空図を作成するツール (2007年4月現在 無料ソフト) …… 「LT日影2011」(AutoCAD( LT)2004〜2011 Windows 7対応及び「LT日影2016」もあります。
「LT日影」は試用時間に制限(起動後20分間)がありますが,2007年4月現在,作者へのMail連絡で試用時間を解除するキーコードを取得することができます。最新版の「LT日影2011」は試用制限時間はありません。

「LT日影」(「LT日影2011」)概要 (以下,作者のReadme抜粋です)
AutoCAD(LT)2000〜2005上で,日影図,天空図を作成するツールです。
精度の保証は出来ません。使用される方の判断でお使い下さい。
日影等時間,壁面等時間は,建物が大きくなるほど誤差が大きくなります。
複数の建物に対応しています(天空図は不可)。
傾斜地の日影図には対応していません。

名前は『LT』日影ですが、レギュラー版でも動きます。


補足(記.遠山)
誤差(精度)は尺度1/200でも12〜17mm程度です。ほぼ,問題ないでしょう。
傾斜地の日影図は,3Dビューで機転を利かせながらコツコツと修正編集してみてはいかがでしょうか。


建物に使う図形
「LT日影」で取得できる図形 :LINE,CIRCLE,ARC,ELLIPSE,POLYLINE,LWPOLYLINE,3DPOLYLINE3DFACE及び3D回転された図形に対応しています。
「LT日影2011」で取得できる図形 :LINE,CIRCLE,ARC,ELLIPSE,POLYLINE,LWPOLYLINE,3DPOLYLINE(末検証ですがOKのようです)及び3D回転された図形に対応しています。3DFACE には対応していません。
共に「SOLID,3DSOLID」には対応していません。
その他詳細は作者のReadmeを参照してください。

名前は『LT』日影ですが,
レギュラー版でも動きます
英語版では動きません。

ソフト名 : 
LT日影LT日影2011 (2007年4月現在 無料ソフト)
LT日影2011動作環境 : AutoCADD LT ( / 同レギュラー版 ) 2004〜2011(64bit版 / 32bit版)   OS : WindowsXP,7(64bit版 / 32bit版)
注.AutoCAD2007は基本的には動作環境がXPまでなので,Windows7では動作しないが,7のXPモードではOKです。又,名前は「LT日影」ですが,レギュラー版でも動作します。)
ファイル名 : kage.zip
ダウンロードサイト : http://izawa.web.infoseek.co.jp/
著作権者 :  f.izawa


 「LT日影2011」の操作方法(及び最新バージョン情報)については以下を参照してください。
HOME → AutoCADカスタマイズ,他 →
ACAD/LT_126   カスタマイズ情報 → 「覧外」 063  AutoCAD LT ( / 同レギュラー版 ) 2006〜2011上で,時刻日影図,等時間日影図,壁面日影図,壁面等時間日影図及び天空図を作成するツール「LT日影2011」の操作方法 (必見です)


以下,解説の天空図サンプルファイル(.dwg)
です。解説用に作成した一部です。 (左のフレームの「法規関連資料のダウンロード」より)

サンプルファイルダウンロード :K_tenkuu_a1_200_no1.lzh 
README     表示 :DWF  HTM (別ウィンドウで表示) 
適合建築物及び計画建築物の等角図は3Dビュー「南東等角図」に切り替えてみてください。
 

天空率算定の3D元図サンプルファイル
ド :3d_a1_200_tenkuuritsu_1  README   表示 :DWF  HTM (別ウィンドウで表示)
3D元図作成の基本操作解説図(作成操作は日影及び天空率算定用共通)。
3Dビュー「南東等角図」に切り替えてみてください。「円筒形+ドーム」作成の回転メッシュサーフェースはレギュラー版AutoCAD専用です。


色従属印刷スタイルファイル(.ctb) ダ
ウンロード :T_office_monochrome.ctb  README




「天空図作成ソフトで作成した図及び表の解説」 (例 :計画建築物)

測定点 No.1の天空率算定求積図 例 (以下,測定点 No.1は例です)
  (作図ソフト:「LT日影」)
三斜計積図は分かりやすい様に画層(magenta)を変えています。ブルーの文字は解説です。

測定点 No.1の天空率算定求積図 例 (例 :計画建築物)



前記天空率算定求積図の測定点 No.1の三斜求積図部分 詳細
  (作図ソフト:「LT日影」)

測定点 No.1の三斜求積図部分 詳細



測定点 No.1の三斜求積表 例
  (作図ソフト:「LT日影」)
三角形No.は分かりやすい様に画層(magenta)を変えています。ブルーの文字は解説です。

測定点 No.1の三斜求積表 例 (例 :計画建築物)

A : 円周率             3.1415926
B : 三斜面積             2828.515
C : 天空図半径              100
D : 天空図面積(C×C×A)   31415.926
E : 扇形中心角             58.821°
F : 扇形面積             5133.100
G : 建物面積(F−B)        2304.585
H : 天空率(D−G)/D×100)      92.664%
(「日本建築行政会議」(以下JCBA)より)



測定点 No.1の正射影(投影図)の位置確認表 例
  (作図ソフト:「LT日影」)
ブルーの文字は解説です。

測定点 No.1の正射影(投影図)の位置確認表 例(例 :計画建築物)

注意).
天空率制度利用の確認申請時には,前記以外に提出書類があります。以下を参照してください。

建築基準法施行規則【確認申請書の様式】第1条の3



その他天空率制度利用の留意事項

(1)道路高さ制限,隣地高さ制限及び北側高さ制限は,法第56条第7項の規定によりそれぞれ
別個に適用除外することができること

(2)計画建築物及び高さ制限適合建築物の天空率の算定に当たっては,
コンピュータの活用により迅速に審査できるものであるため,これらの活用により適切な審査体制の構築を図ることが考えられる。


行政によっては計画建築物に安全率を多くとる指導を行っている。

天空率に対する行政側の解釈も統一されていない部分があり,例えば,
東京都,横浜市,大阪市などでは,独自の審査基準を設けて審査している。ちなみに,同じ東京都内であっても,それぞれの区によっては,計画建築物の外壁(全て)を30cm外側に設定するような指導もある。

30cm外側に設定の場合 (
東京都の取扱い)






■  002 道路高さ制限を適用しない建築物の天空率制度の利用

関連法令

道路高さ制限を適用しない建築物の基準 (令第135条の6)

【前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等】

第135条の6  法第56条第7項の政令で定める基準で同項第一号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。

 一  当該建築物(法第56条第7項第一号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「
道路高さ制限」という。)が適用される範囲内の部分に限る。)の第135条の9に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内において道路高さ制限に適合するものとして想定する建築物(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限り、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分でその水平投影面積の合計が建築物の建築面積の1/8以内のものの頂部から12m以内の部分(以下この章において「階段室等」という。)及び棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物(以下この章において「棟飾等」という。)を除く。以下この章において「道路高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること

二  当該建築物の前面道路の境界線からの後退距離(法第56条第2項に規定する後退距離をいう。以下この号において同じ。)が、前号の道路高さ制限適合建築物と同一の道路高さ制限適合建築物の前面道路の境界線からの後退距離以上であること。

2  当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「
道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。

3  当該建築物の前面道路が2以上ある場合における第1項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごとの部分の」とする。



「令第135条の6解説」

道路高さ制限に適合する建築物(以下「
道路高さ制限適合建築物」という。)の天空率及び計画建築物の天空率を,法第56条第7項第1号及び令第135条の9に定める位置においてそれぞれ算定比較し当該位置の全てにおいて計画建築物の天空率が道路高さ制限適合建築物の天空率以上となること

また,
計画建築物の前面道路の境界線からの後退距離法第56条第2項に規定する後退距離をいう。以下同じ。)道路高さ制限適合建築物の前面道路の境界線からの後退距離以上であること

斜線制限と天空率の適用について
それぞれ…,全て…」とは,文字通り全ての算定位置ごとに天空率を検討しなければなりません道路斜線のみを除外(天空率の検討)したい場合は隣地斜線及び北側斜線は天空率の適用をしなくてもよい


令第135条の6の適用の詳細等については,以下のとおりであること。

「1」 計画建築物及び道路高さ制限適合建築物の天空率については,
それぞれ道路高さ制限の適用距離の範囲内の部分に限って算定されるものであること。この際,計画建築物及び道路高さ制限適合建築物がセットバックしている場合には,当該建築物に対する道路高さ制限の適用距離は,法第56条第2項及び第4項の規定による適用距離となること。

「2」 道路高さ制限適合建築物の天空率については,
令第2条第1項第6号ロの規定により建築物の高さに算入しないとされている階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓等の水平投影面積の合計が建築面積の8分の1以内であって,かつその部分の高さが12m以内であるもの(以下「階段室等」という。)を除いた部分について算定することとしているが,計画建築物の天空率についてはこれらを含めて算定するものであること。

「3」 道路高さ制限適合建築物の天空率については,
令第2条第1項第6号ハの規定により建築物の高さに算入しないとされている棟飾,防火壁の屋上突出部等(以下「棟飾等」という。)を除いた部分について算定することとしているが,「2」と同様に,計画建築物の天空率についてはこれらを含めて算定するものであること。

「4」 建築物の敷地が,道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値(以下「道路制限勾配」という。)が異なる地域,地区又は区域(以下「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合には,
道路制限勾配が異なる地域等ごとの計画建築物及び道路高さ制限適合建築物の部分について,それぞれ天空率を算定・比較すること。

具体的には,以下の場合において各々道路制限勾配が異なる地域等ごとに区分し,それぞれ天空率を算定・比較すること。

イ 法別表第3(に)欄に掲げる数値が異なる地域,地区又は区域にわたる場合

ロ 法第56条第3項又は第4項の規定により水平距離に乗ずべき数値が異なる区域が存する場合

なお,
用途地域等が異なっていても,道路制限勾配が同一である場合には敷地を区分して算定・比較する必要はないものであること。

「5」 建築物の前面道路が2以上ある場合には,令第132条又は令第134条第2項の規定により区分される敷地の区域ごとの計画建築物及び道路高さ制限適合建築物の部分で天空率を算定・比較すること。この場合に,各々の前面道路ごとにその面する方向における道路高さ制限適合建築物を想定すること。また,一部の前面道路についてのみ道路高さ制限を適用除外とすることはできないこと。


天空率の算定位置 (法第56条第7項第1号,令第135条の9関係)

【法第56条第7項第一号の政令で定める位置】
第135条の9  法第56条第7項第一号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。

・(省略)


空率の算定位置は,前面道路の路面の中心の高さにある,計画建築物の敷地(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限る。)の前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置であり,当該位置の間の境界線の延長が当該前面道路の幅員の2分の1を超える場合にあっては,当該位置の間の境界線上に当該前面道路の幅員の2分の1以内の間隔で均等に配置した位置であることとした。

天空率の算定位置の配置については,以下の点に留意すること。

「1」 計画建築物が前面道路の境界線から
後退して計画される場合においても,天空率の算定位置は当該境界線上であること

「2」 建築物の敷地が道路制限勾配の
異なる地域等にわたる場合においては,建築物の敷地を道路制限勾配の異なる地域等ごとの部分に分け,当該部分について令第135条の9第1項の規定を適用して,各々天空率の算定位置を定めること

「3」 道路高さ制限において
前面道路が2以上ある建築物についての天空率の算定位置は,(1)「5」の区域ごとに,建築物の敷地の当該区域について令第135条の9第1項の規定を適用すること。なお,この場合の天空率の算定位置は当該前面道路の反対側の境界線上に配置するのであって,令第132条又は第134条の規定によりみなされる前面道路の反対側の境界線上に配置するのではないこと。

「4」 建築物の敷地の地盤面が前面道路の路面の中心の高さより1m以上高い場合においては,天空率の算定位置の高さは,当該高低差から
1mを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなすこと。また,令第135条の2第2項の規則で前面道路の位置の高さが別に定められている場合にあっては,当該高さを天空率の算定位置の高さとみなすこと。



適合建築物と計画建築物

適合建築物と計画建築物



天空率利用により計画可能例

天空率利用により計画可能例 (東京都審査基準の採用例)

法文では,計画建物がセットバックしていても,適合建築物はセットバックしなくても可能だが,東京都の取扱いでは,計画建物と適合建築物の後退距離は同じでなければならない。



階段室・棟飾などの扱いについて

道路斜線や隣地斜線制限での建築物の高さには算定されない水平投影面積の合計が建築面積の1/8以内,高さが12mまでの階段室・棟飾などの扱いについて

適合建築物の場合

階段室などが建築面積1/8以下の面積,高さ12m以下までは適合建築物に含めないで算定する


計画建築物の場合

階段室などが建築面積1/8以下の面積,高さ12m以下であっても計画建築物に含めて算定する
(令第135条の6第1項第1号,第135条の7第1項第1号,第135条の8第1項)

また棟飾はもちろん,防火壁の屋上突出部も含めて天空率を算定する。
壁面後退距離内に建築できる門塀等も含めて天空率を算定する。



道路高さ制限の場合の天空率算定の位置と高さの基本

位置
計画建築物の敷地の前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上で,前面道路幅員の2分の1以内の間隔で均等に配置。

高さ
高さは,前面道路の路面の中心の高さ。(法第56条第7項第1号,令第135条の9第1項第1号,第2号)

道路高さ制限の場合の天空率算定位置 例

算定の条件
例).
前面道路幅員 :6m
道路に面する敷地長さ :15m

算定位置の計算方法
前面道路の幅員の2分の1以内の均等配置なので,上記の算定の条件では,

6m÷2=3m
  ↓
15m÷3m=5
から,15m÷5=
3mの間隔で,道路に面する敷地の両端を含む6カ所に配置することになる。



道路に面する敷地長さが14.7mの場合は

14.7m÷3m=4.9
となるが,分割数は整数なので上記の例と同じ5となり,14.7m÷5=
2.94mの間隔で,道路に面する敷地の両端を含む6カ所に配置することになる。


天空率制度の留意点 (横浜市)

「横浜市まちづくり調整局 建築・宅地指導センター建築審査課 天空率について.htm」より

道路制限勾配が異なる区域がある場合は,エリアごとにそれぞれ天空図を作成すること。


適合建築物・計画建築物チェック項目まとめ

適合建築物
建ぺい率制限,容積率制限,及び絶対高さ制限など他の形態規制は考慮しない。

計画建築物
測定点より高い敷地地盤,擁壁,門塀等は,天空率算定の対象。ただし,開放性のあるフェンス等は対象外。
階段室等の屋上部分は,建築面積の1/8以下の面積,かつ高さ12m以下でも,天空率算定の対象。
棟飾り等,防火壁の屋上突出物は,天空率算定の対象。
開放性の大きい屋上手すり,看板,広告塔は対象外。
後退緩和距離は,施行令第130条の12による算定の特例あり。

共通
天空率算定の対象は,道路高さ制限の
適用距離の範囲内に限る。

高度地区の形態制限
高度斜線制限(注.横浜市は道路中心から)は法58条によるものであり,法56条の7の天空率計算によって緩和をうけることはできない。



天空率計算の検討種類・方法について

複合的な斜線の高さ制限を受ける計画建築物の例

複合的な斜線の高さ制限を受ける適合建築物の例
第2種中高層住居専用地域の場合 敷地図
天空率計算の検討種類・方法について

道路斜線,北側斜線,隣地斜線の
各高さ制限ごとに検討します。
一つの斜線制限の検討をしている間は,他の斜線制限については無視します。

2方向以上から高さが制限される場合は,それぞれの方向ごとに検討します。例えば2つの道路があるような場合の道路斜線の天空率を検討する時はそれぞれの道路ごとにチェックし,
一方を検討している間は他方は無視します
各斜線制限ごと,各方向ごとに「適合建築物」の形態と「計画建築物」とを比較し,適合建築物よりも計画建築物の方が空の割合(天空率の各高さければOKとなります。

天空率による斜線制限の緩和は基準法上の斜線制限のみで,
日影規制・高度地区は規制としてそのまま残る。
7項の道路・隣地・北側のいずれかについて天空率を適用し,その他は現行の斜線制限を適用することも可能である。ただし,道路の一部・隣地の一部・北側の一部に限って適用することはできない(法第56条第7項。令第135条の6第1項第1号,第135条の7第1項第1号,第135条の8第1項)。
同一斜線制限全てに関しての申請が必要。

参考).京都府や京都市下の一部では,高度地区に適用除外の規定あります。


各方向からの高さ制限

複合的な斜線の高さ制限を受ける建築物の例 南西図1
第2種中高層住居専用地域の場合

ー般に,計画敷地には道路斜線・北側斜線・隣地斜線を受けたボリュームになる。
この例では,道路斜線と北側斜線によって形状が決まってしまい,隣地斜線の影響は受けていない。( このようなケースもある )


以下,各道路側の適合建物

複合的な斜線の高さ制限を受ける適合建築物の例 南西図2
第2種中高層住居専用地域の場合

天空率はそれぞれの算定ラインにおいて個々に算定

図は,前面道路Aの算定に用いる道路斜線適合建築物の形態

前面道路Bの道路斜線制限は考慮しない



2方向以上から高さが制限される場合には,それぞれの方向ごとに,適合建築物を想定しなければならない。適合建築物は,道路・隣地・北側からそれぞれ独立して制限されたものとする。つまり,道路・隣地・北側のいずれかについて天空率を適用し,その他は現行の斜線制限を適用することも可能である。ただし,道路の一部・隣地の一部・北側の一部に限って適用することはできない(法第56条第7項。令第135条の6第1項第1号,第135条の7第1項第1号,第135条の8第1項)。

 

複合的な斜線の高さ制限を受ける適合建築物の例 南西図3
第2種中高層住居専用地域の場合

天空率はそれぞれの算定ラインにおいて個々に算定

図は,前面道路Bの算定に用いる道路斜線適合建築物の形態

前面道路Aの道路斜線制限は考慮しない

 

複合的な斜線の高さ制限を受ける適合建築物の例 南西図4
第2種中高層住居専用地域の場合

天空率はそれぞれの算定ラインにおいて個々に算定

図は,北側斜線の算定に用いる北側斜線適合建築物の形態

前面道路A,Bの道路斜線は考慮しない


天空率測定ラインは隣地境界線から真北方向へ8mだけ外側の線上(第2種中高層住居専用地域の場合)

測定位置は1m以内の間隔で均等に配置

 

複合的な斜線の高さ制限を受ける適合建築物の例 南西図5
第2種中高層住居専用地域の場合

天空率はそれぞれの算定ラインにおいて個々に算定

図は,隣地斜線の算定に用いる隣地斜線適含建築物の形態

道路斜線A,B・北側斜線は考慮しない

天空率測定ラインは隣地境界線から16mだけ外側の線上(第2種中高層住居専用地域の場合)

測定位置は8m以内の間隔で均等に配置




2つ以上の前面道路がある場合の天空率算定 (2004JAICより)

2つ以上の前面道路がある場合の天空率算定 例

道路Bにおける幅員Aの適用を受ける範囲

区域ごとに計画建築物及び道路斜線適合建築物を部分けして,それぞれの部分ごとに天空率を算定・比較する。

天空率を算定する位置は,いずれも前面道路の反対側の境界線上(
みなし境界線上ではないので注意)。


以下,各道路側の適合建物

2つ以上の前面道路がある場合の天空率算定 (2004JAICより)

道路Bにおける幅員Aの適用範囲の道路斜線適合建築物の形態

 

2つ以上の前面道路がある場合の天空率算定 (2004JAICより)

道路Bにおける幅員Bの適用範囲の道路斜線適合建築物の形態




敷地の外周の3方向が道路である場合の天空率算定 (2004JAICより)

敷地の外周の3方向が道路である場合の天空率算定

例).
商業系地域
道路斜線勾配1:1.5


以下,各道路斜線制限区域の確認

道路斜線制限区域の確認
道路A側

 

道路斜線制限区域の確認
道路B側

 

道路斜線制限区域の確認
道路C側


以下,各道路側の適合建物

天空率計算の領域,適合建物,測定点(ここでは適合建物は道路後退をしていない)
道路A側の適合建物(南東図)

角切の扱いは1つの例である。
このケースでは,適合建物は測定点から側面が見えないので壁の作図だけでよい。
角切の奥の部分は,水平距離×1.5m高さを設定。

 

天空率計算の領域,適合建物,測定点
道路Bの道路Aによる計算領域の適合建物(南東図)

みなし道路である道路Aの水平距離×1.5mで壁を作図。
測定点が道路Bの境界線上であることに注意。


 

天空率計算の領域,適合建物,測定点
道路Bの道路Bによる計算領域の適合建物(南西図)

道路Bの水平距離×1.5mで壁を作図。角切奥の部分は,水平距離×1.5mの高さを設定。

 

天空率計算の領域,適合建物,測定点
道路Cの道路Aによる計算領域の適合建物(南西図)

みなし道路である道路Aの水平距離×1.5mで壁を作図。
ここでは,敷地境界線が外側に振れている部分も計算対象としている(日本建築行政会議の取り扱い)。
測定点が道路Cの境界線上であることに注意。


 

天空率計算の領域,適合建物,測定点
道路Cの道路Bによる計算領域の適合建物(南西図)

みなし道路である道路Bの水平距離×1.5mで壁を作図。
角切奥の部分は,水平距離×1.5mの高さを設定。測定点が道路Cの境界線上であることに注意。


 

天空率計算の領域,適合建物,測定点
道路Cの道路Cによる計算領域の適合建物(南西図)

道路Cの水平距離×1.5mで壁を作図。
ここでは,敷地境界線が外側に振れている部分も計算対象としている(日本建築行政会議の取り扱い)。





敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定

敷地の外周のすべてが道路である場合の最小幅員の道路例

敷地の外周のすべてが道路である場合で,いずれの幅員も異なる場合には,最小幅員の道路においては,4つの区域ごとに幅員が異なる道路斜線を受けることになる。
(令第135条の6第3項)

天空率を算定する位置はいずれも前面道路の反対側の境界線上。

道路斜線制限において,2つ以上の前面道路がある建築物の算定位置については,建築物の敷地の当該区域ごとの前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上に配置する(令第135条の9第3項)。



以下,各道路幅員における適合建物

敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定

最小幅員Dにおける適合建物の全体図


敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定

最小幅員Dにおける幅員Aの適用を受ける範囲の適合建物


敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定

最小幅員Dにおける幅員Cの適用を受ける範囲の適合建物


敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定

最小幅員Dにおける幅員Bの適用を受ける範囲の適合建物


敷地の外周のすべてが道路である場合の天空率算定

最小幅員Dにおける幅員Dの適用を受ける範囲の適合建物



天空率の基礎である天空率の検討の範囲 (主に「東京のまちづくり情報」より)

敷地,道路,道路高さ制限の関係を正しく理解

天空率を検討する場合には,赤線と前面道路の反対側の境界線が交わる区間で検討すればよい。
ケース7とケース8は前面道路の反対側の境界線が入隅になっているケース。この場合の道路高さ制限は平行線が折り重なることになり,折り重なる範囲では厳しい方の制限が働く。 
(「東京のまちづくり情報」より)

天空率の検討の範囲 ケース3,7,8


敷地内角が鈍角の各行政の天空率検討範囲 
(東京都, JCBA/横浜市,大阪市)

敷地内角が鈍角の各行政の天空率検討範囲 東京方式 敷地内角が鈍角の各行政の天空率検討範囲 JCBA方式,横浜市方式


適合建築物の間口が広くなるので設計者に有利に働くケースが多い。
敷地内角が鈍角の各行政の天空率検討範囲 大阪市方式
横浜市と大阪市は,適合建築物の考え方は基本的に同じだが,測定ポイントの考え方が異なる。


道路の交差角度が鈍角及び隅切りがある場合
(2009JCBAより)

道路の交差角度が鈍角及び隅切りがある場合 (2009JCBAより)

JCBAの方式

道路の交差角度が鈍角の場合,隅切りの有無に係わらず,建築物の建てられる範囲は道路斜線制限の適用範囲までであるため,算定位置の設定範囲は道路斜線制限の適用範囲の部分までとするのが合理的である。


路地状敷地の道路斜線制限 (JCBA及び横浜市の方式)

路地状敷地の道路斜線制限 (JCBA及び横浜市の方式)

JCBA及び横浜市の方式

道路斜線制限適合建築物の天空率の両端間の測定点は,
A′〜C′の長さをW/2以下の間隔に等分する。















参考).
仙台市は独自の方式を採用している。


路地状敷地の道路斜線制限(東京都方式)

路地状敷地の道路斜線制限(東京都方式)

東京都方式

路地状敷地の道路斜線制限は前面道路に面する範囲で適用される。
その他の部分は隣地斜線制限が適用される。
なお,道路斜線の円弧処理は入り角部分敷地における2方向の道路斜線を連続させることを目的とするものである。
したがって,道路斜線を隣地斜線の適用部分に回りこませることは考慮しない。


道路斜線制限適合建築物の天空率の両端間の測定点は,
A′〜B′の長さをW/2以下の間隔に等分する。


路地状敷地の応用

路地状敷地の応用(JCBA及び横浜市の方式方式) 路地状敷地の応用(東京都方式)

JCBA方式及び横浜市の方式


道路斜線適用範囲

A‐E‐F‐D

東京都方式

路地状敷地の考え方から下図のような敷地における隣地の後背部分については下図のように取り扱うこととする。


道路斜線適用範囲

A‐E‐G‐D



出隅敷地の天空率 
(「東京のまちづくり情報」より)

出隅敷地の天空率 (「東京のまちづくり情報」より)

ここでも難しく考えることはない。道路Aと敷地,道路Bと敷地の関係に分解して考えることがポイントである。
道路Aから当該敷地に対する道路高さ制限は,下図のとおり,前面道路の反対側の境界線X−Y間から発生する。
本来ならX−Y間に測定点を設定して天空率を検討することになるが,この方法では不合理な問題が発生する。
道路境界線(敷地と道路の境界線)A−BとB−Cとで計画建築物の後退距離が異なる場合に,P−Y間の天空率の比較が難しくなる。
後退距離が道路境界線の辺ごとに適用されているのであるから,天空率の比較も辺ごとに比較するのが合理的である。
したがって,当該敷地と道路Aによる天空率の比較は,道路境界線A−B(「窓」)に対応すると前面道路の反対側の境界線上のX−P間で検討することとしている。

図は計画建築物は道路境界線A−BとB−Cとで計画建築物の後退距離が異なる。明らかにB−C間の後退距離の方が大きい。
測定点をX−Y間に設定した場合には,P−Y間の計画建築物は道路Bに対して大きく後退しているにもかかわらず,小さな後退距離で天空率を比較されることになり,明らかに不利になる。
以上の理由から,出隅敷地の道路高さ制限に対する天空率は,道路境界線の辺ごとに「窓」とそれに対応する測定点を設定して検討することが合理的である。
次に,道路Bについて同じように「窓」と測定点を設定して天空率を検討すると,この敷地の天空率の検討は完了する。
このケースでは道路A,Bの幅員は等しく設定しているが,道路幅員が異なる場合には「2以上の道路」にしたがって,図に「2Aかつ35m」と「中心から10m」の範囲を書き込めばよい。


入隅敷地の場合 
(2004JAICより)(JAIC:「日本建築情報センター」)

道路境界線(隣地境界線)が入り隅になっている場合


(2004JAICより)

まず,敷地を入隅部からの二等分角線により区分する。
それぞれの領域における算定位置は図のようになる。
また,それぞれの道路(隣地)境界線を「窓」として設定する。


道路の交差部に隅切りがある場合 
(「東京のまちづくり情報」より)

道路の交差部に隅切りがある場合 (「東京のまちづくり情報」より)



道路Aと道路Bに分けて敷地に対する高さの等高線をイメージする。隅切りがあっても基本通りに等高線を描く。















道路Bの天空率の検討の準備
道路高さ制限適合建築物は,道路境界線と計画建築物(後退距離)の間であればどのように設定してもかまわない。
ただし,東京都では計画建物と適合建築物の後退距離は同じでなければならないので注意。

道路の交差角度が鋭角の場合,算定位置の設定範囲は敷地の外側を取るのが合理的である。
(2009JCBAより)

測定点は,前面道路の幅員の1/2以下の均等間隔で配置する。


道路境界線(隣地境界線)の屈曲点が多く,領域分けが細かい場合 
(2004JAICより)

注意).算定線(測定点)の設定範囲は,行政庁(例:JCBO/横浜市,大阪市等)によって独自の審査基準があります。

道路境界線(隣地境界線)の屈曲点が多く,領域分けが細かい場合 (2004JAICより)

道路境界線(隣地境界線)の屈曲幅が≧1mの場合
図のように作業が煩雑になり,空地を有効に活用できなくなる場合も多い。境界線や区域区分を簡略化することは可能か。また,どのように簡略化すればよいか。

道路境界線(隣地境界線)の屈曲幅が≦1m(屈曲線の直線距離合計:20m程度)の場合の簡略化可能の例

(平成17年6月27日)
一の境界線毎に領域を区分して天空率の算定をすることが原則ですが,屈曲の程度が微小である場合はグループ化を行うことにより領域分けを減らすことが可能です。目安として,算定線の合計が20m程度で屈曲距曲距離が1m以内程度の場合,複数の算定線を一つの算定線のように考えての作業が可能となります(図は,この方法により4つの領域を2つの領域を2つの領域にまとめた例です)。
ただし,複数の算定線や境界線をまとめて直線状に簡略化することはできませんので,算定位置は規定どおり敷地の前面道路反対側の道路境界線上(又は隣地境界線から12.4m or 16mの線分上)に配置することになります。
一方,適合建築物についてはボリュームが小さくなる側への直線近似は安全側の検討となるため問題ありませんが,この場合でも算定位置は簡略化することができません。
安全側であるかどうかの判断は天空率の場合では非常に困難ですので,より複雑なケースとなる場合は,事前に審査機関に問い合わせて下さい。



境界線の簡略化の是非 (「東京のまちづくり情報」より)

境界線の簡略化の是非 (「東京のまちづくり情報」より)

図のように道路境界線A',B',C'が屈曲している場合に,A,Cを「みなし道路境界線」として簡略化して天空率を比較することはできるのか。

← 境界線を簡略化した場合の適合建築物の正射影図










← 現状のままの適合建築物の正射影図


計画建築物の自由度 
(「東京のまちづくり情報」より)

計画建築物の自由度 (「東京のまちづくり情報」より)

簡略化した場合には,大きな正射影図を対象に計画建築物を設定することになり,格段に設計の自由度が増すことになる。
例えば,敷地の一方に建築物を寄せることも可能になり,本来の道路斜線制限との比較にならない。
したがって,測定点を置くことになる「反対側の道路境界線の簡略化」は避けなければならない。
ただし,高さ制限適合建築物の位置は道路境界線と計画建築物の間であれば自由に作成できる。


簡略化の例 
(「東京のまちづくり情報」より)簡略化のイメージ

簡略化の例 (「東京のまちづくり情報」より)

前面道路の反対側の境界線及び隣地境界線について,任意の区間を一つの窓として取扱うことができることとする。



簡略化による天空率の算定方法 (「東京のまちづくり情報」より)

簡略化による天空率の算定方法 (「東京のまちづくり情報」より)
簡略化は道路斜線の発生源である「前面道路の反対側の境界線」が対象である。道路境界線(敷地と道路の境界線)はどのような形であっても斜線制限に影響しないため考慮する必要はない。
測定点は敷地の両端と「前面道路の反対側の境界線」の最短距離を結ぶ区間内に均等に配置する。
適合建築物は道路境界線と計画建築物の間に設定する。
天空率は「窓(上図の場合は道路境界線)」を一つの区間として算定する。



特殊な敷地における天空率算定 (法56条第7項,令135条の6,7,9,10)

2以上の前面道路の場合の基本 (2009JCBAより)

2以上の前面道路の場合の基本

(2009JCBAより)

2以上の前面道路の入隅敷地は,幅員の最大な道路の回り込みによって,適合建築物を設定する。

建築物の前面道路が2以上ある場合は,令第132条又は令第134条第2項の規定による区域ごとに敷地を区分し,その区分された敷地の部分の前面道路ごとに,適合建築物を設定することとなる。

図ような入隅敷地においては,1本の道路ではあるが,令第132条の適用については幅員の異なる2つの前面道路があると取り扱えることから,令第132条の規定による区域ごとに敷地を区分する。
この場合,2Aかつ35m以内及び幅員Bの道路の中心線からの水平距離が10mを超える前面道路は,あくまでも幅員をAとみなした1本の道路であることから,2つの道路に分けることなく,適合建築物を設定する。

 

領域 A の適合建築物の天空率の測定点 領域 B の適合建築物の天空率の測定点



T字形の前面道路の場合 (2008横浜市pdfより)

T字形の前面道路の場合

 

領域 A の適合建築物の天空率の測定点 領域 B の適合建築物の天空率の測定点
a 〜 b 〜 c 〜 d となり,a 〜 d間の長さを幅員B/2以下の間隔に等分する。



広い道路と狭い道路が斜めに接続(120°以下)している場合の取り扱い(令132条)

以下,2008横浜市pdfより

広い道路と狭い道路が斜めに接続(120°以下)している場合の取り扱い

 

領域 A の適合建築物の天空率の測定点(接続角度120°以下) 領域 B の適合建築物の天空率の測定点(接続角度120°以下)


広い道路と狭い道路が斜めに接続(120°超え)している場合の取り扱い(令132条)

広い道路と狭い道路が斜めに接続(120°超え)している場合の取り扱い

 

領域 A の適合建築物の天空率の測定点(接続角度120°超え) 領域 B の適合建築物の天空率の測定点(接続角度120°超え)


2つの道路の場合の取り扱い(挟まれた敷地例1)(令132条)

2つの道路の場合の取り扱い(挟まれた敷地例1)

 

領域 A の適合建築物の天空率の測定点 領域 B の適合建築物の天空率の測定点



2つの道路の場合の取り扱い(挟まれた敷地例2)(令132条)

2つの道路の場合の取り扱い(挟まれた敷地例)

 

領域 A の適合建築物の天空率の測定点 領域 B の適合建築物の天空率の測定点



入り角敷地の天空率 (横浜市・大阪市・JCBAの取扱い)
適合建築物の形状は行政庁によって異なる。

横浜市の運用基準(及びJCBA方式) →  「開放型」 →  領域を1つとする考え方
適合建築物は,2つの道路斜線による形状を適合建物として作るので,
壁だけではなく,奥行きも作図する必要がある。

入り角部分の道路斜線例
(横浜市の運用基準 (隣地斜線の場合は異なる) 

入り角部分の道路斜線 (横浜市の運用基準)


測定点の設定

測定ラインA’ → G → (円弧) → H → E’ の総延長に対してWa/2以内に等間隔に設定

横浜市・大阪市の道路の取り扱い
道路入隅部を含む道路境界は一の道路とみなし,区分区域も一として処理する(設計者にとって有利になりやすい)。
入隅部はすり鉢状の適合建築物を設定する。
入隅部の算定線は,適用距離 ( 法別表 3) を同一長さで保つため円弧状に作図され,他方の算定線とタスキ状に接続する。
道路幅が異なる入隅では,道路が狭い側の算定線が接続されず二線に分解されたまま,となる。



入隅前面道路の幅員が異なる場合 (横浜市・大阪市)
適合建築物は,2つの道路斜線による形状を適合建物として作るので,壁だけではなく,奥行きも作図する必要がある。

入隅前面道路の幅員が異なる場合 (横浜市・大阪市)
領域Aの幅員A側の適合建築物の天空率の両端間の測定点

a 〜 b 〜 c 〜 d となり,a 〜 d 間の長さを幅員A/2以下の間隔に等分する。
領域Aの幅員B側の適合建築物の天空率の両端間の測定点

e 〜 f となり,e 〜 f 間の長さを幅員B/2以下の間隔に等分する。
領域Bの幅員Bの適合建築物の天空率の両端間の測定点
g 〜 f となり,g 〜 f 間の長さを幅員B/2以下の間隔に等分する。


入隅前面道路の幅員が異なる場合 
(JCBAの取扱い)

入隅前面道路の幅員が異なる場合 (JCBAの取扱い) 区域(B)設定の別解釈 (JCBAの取扱い)

算定位置は,区分された区域ごとに,前面道路の反対側の境界線上に前面道路の最小幅員の1/2以内の間隔で均等に配置する。


領域Aの幅員A及びB側の適合建築物の天空率の両端間の測定点

区域A,B共,
af 間を幅員Bの1/2以内の均等間隔で,算定位置を配置する。

区域Bの幅員Bの適合建築物の天空率の両端間の測定点
g 〜 f となり,
g 〜 f 間の長さを幅員B/2以下の間隔に等分する

図省略 (前図横浜市の取扱いと同じ)


【解説】 (JCBAの取扱い)

従来運用で行われてきた算定位置の「回り込み処理」及び「みなし道路」による配置を行わない。これは,法に規定される「前面道路の反対側の境界線上」に算定位置が位置しないことや,回り込み処理により算定位置が敷地境界線に近づいてしまうためである。
建築物の前面道路が2以上ある場合は,令第132条又は令第134条第2項の規定による区域ごとに敷地を区分し,その区分された敷地の部分の前面道路ごとに,適合建築物を設定することとなる。
上図のような入隅敷地において,1本の道路ではあるが,令第132条の適用については幅員の異なる2つの前面道路があると取り扱えることから,令第132条の規定による区域ごとに敷地を区分する。この場合,
区域の前面道路は,あくまでも幅員をAとみなした1本の道路であることから,2つの道路に分けることなく,一体の適合建築物を設定する。
一体の適合建築物の算定位置はその区間で
連続し,前面道路の反対側の境界線上に算定位置を均等に配置する。その際,算定位置の間隔は前面道路の最小幅員Bの1/2以内とする
 幅員A,Bの道路ごとに算定位置を配置しようとすると,
下図のように入隅角が鈍角の場合などでは算定位置を適切に配置できない問題点が生じることや,区間内で算定位置の間隔が異なる部分が出てくるため,このような措置は行わない。 
また,審査の安全上の観点からも,狭い幅員を基準に算定位置を配置することが合理的である。

なお,出隅敷地の場合,各幅員(A,B)の道路ごとに道路幅員の1/2以内の間隔で算定位置を均等配置する。

入隅角が鈍角の場合 (JCBA採用)
算定位置は,a〜c間を連続的に均等配置する。
参考).入隅角が鈍角の場合 (不採用事例) 
A,Bごとに算定位置を配置



東京都の運用基準

入り角敷地の天空率入り角部分の道路斜線
「放射型(窓方式)」 →
領域を分ける考え方

入り角の道路斜線制限 (東京都の運用基準) 入り角敷地の天空率図02 (東京都の運用基準)


入り角部分の道路斜線入り角部分(C)についても審査対象としなければならない。


入り角部分の道路高さ適合建築物は前図(C)部分において円弧を描いているため,適合建築物を作図しにくくなる。

このため(C)部分については(A)及び(B)部分の延長部分としてそれぞれ作図することとする。

(B)部分の適合建築物と前面道路の境界線を図のように設定する。
入り角敷地の天空率図03 (東京都の運用基準) 分割処理による計画建築物天空率率の審査 (東京都の運用基準)


天空率図の作成
(B)部分の天空率図は,前面道路の境界線(a−b)上の測定点から道路高さ適合建築物(a'−b')という「窓」を通して描くことになる。

適合建築物は,領域の面する道路の道路斜線形状で作られるため,壁(窓)としての作図でよい。


入り角敷地の後退距離の審査方法

C部分をA,B部分の一部を二重に審査することになる。
この場合,A,B部分の後退距離が異なる場合には,後退距離の小さな側からの天空率が後退距離の大きな側を支配することになる。

したがって,後退距離が異なる入り角敷地においては,入り角部分を二等分して審査することとする。


注意計画建築物は入隅角で二等分するが,適合建築物は算定位置から当該の敷地境界線を通した可視範囲を適合領域とするため適合建築物の形状は算定位置ごとに異なる。
分割処理による適合建築物天空率率の審査 (東京都の運用基準)


領域Bの測定点別各適合建築物

最大範囲は敷地内角の1/2まで




前面道路幅員が1つでその幅員が異なる場合の取扱い 例1 (横浜市の取扱い)

前面道路幅員が1つでその幅員が異なる場合の取扱い 例1 (横浜市の取扱い)
領域 A の適合建築物の天空率の測定点 領域 B の適合建築物の天空率の測定点
ad間の長さをW2/2以下の間隔に等分する。 ae間の長さをW2/2以下の間隔に等分する。



前面道路の幅員が異なる場合の算定位置 (JCBAの取扱い)

前面道路の幅員が異なる場合の算定位置 例 (JCBAの取扱い)
算定位置
法第56条第7項,令135条の6,第135条の9

前面道路の幅員が異なる場合の算定位置の設定
(1の前面道路として取り扱う場合)

算定位置は,当該敷地が前面道路に面する(道路斜線制限が適用される範囲内)位置で,前面道路の反対側との境界線上と垂直に交わる点とし,その間を前面道路の最小幅員の1/2以内の間隔で均等に配置する。
1の前面道路として取り扱う場合には,
区域を区分しないで算定位置を配置する。
前面道路の幅員が異なる場合の算定位置 例1 前面道路の幅員が異なる場合の算定位置 例2


最小幅員道路B(W2)


最小幅員道路B(W2)
算定位置はa〜b〜c〜d〜e〜f間(道路の反対側の境界線上)にW2/2以内の間隔で均等に配置 算定位置はa〜b間(道路の反対側の境界線上)にW2/2以内の間隔で均等に配置



前面道路幅員がV字状の場合の取り扱い 例1 (横浜市の取扱い)

前面道路幅員がV字状の場合の取り扱い 例1 (横浜市の取扱い)
領域 A の適合建築物の天空率の測定点 領域 B の適合建築物の天空率の測定点
a間の長さをW2/2以下の間隔に等分する。 dc間の長さをW2/2以下の間隔に等分する。



前面道路の幅員が異なる(V字状)場合の算定位置 例 
(JCBAの取扱い)
法第56条第7項,令135条の6,第135条の9

前面道路の幅員が異なる(V字状)場合の算定位置 例 (JCBAの取扱い)
適合建築物の設定


算定位置は,当該敷地が前面道路に面する(道路斜線制限が適用される範囲内)位置で,前面道路の反対側との境界線上と垂直に交わる点とし,その間を前面道路の最小幅員の1/2以内の間隔で均等に配置する。

1の前面道路として取り扱う場合には,区域を区分しないで算定位置を配置する。また,天空率の検討を行う範囲は,道路斜線制限が適用される範囲となる。

前面道路の幅員が異なる場合には,令第135条の9第1項第2号に規定する前画道路の幅員は,当該前面道路の最小幅員とする。なお,幅員は道路中心線に対して垂直にとる。



前面道路が2項道路の場合の測定点の算定位置 
(JCBAの取扱い)

前面道路が2項道路の場合の測定点の算定位置 (JCBAの取扱い)

算定位置は,当該建築物の敷地の反対側の道路の境界線とみなす線上に,2m以内の間隔で均等に配置する。

ab間で2m以内の間隔で均等に配置



前面道路の反対側に公園がある場合の取り扱い 例1 
(横浜市の取扱い)

前面道路の反対側に公園がある場合の取り扱い 例1 (横浜市の取扱い)
令134条を適用し,(領域Bが,公園緩和を受ける)
令132条の規定は適用しないものとする。


各領域の適用範囲




各領域の適合建築物の天空率の測定点
A : →
ab間を≦W/2で均等割付
B : →
bc間を≦W/2で均等割付
C : →
cd間を≦W/2で均等割付


前面道路の反対側に公園がある場合の建築物の後退距離の取扱い (横浜市の取扱い)

1つの道路なので,建築物の後退距離の最小距離は
aとなり,aを一律に適用するものとする。



行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり) 
(横浜市)

行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり) (横浜市) 測定点


行き止り道路の先端部に位置する敷地の斜線制限については図のように道路先端部において当該道路と同じ幅員(W)の道路が回転するものとみなして反対側の境界線を設定する。


行き止り道路の天空率の両端間の測定点

a → b → c → d → e → f となり,a 〜 f間の長さをW/2以下の間隔に等分する。



行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり) 
(JCBA)

行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり) (JCBA) 測定点


天空率の算定位置
敷地が行止り道路の終端に接する場合,前面道路の反対側の境界線上に配置するとともに,道路境界線からの水平距離Wの線を前面道路の反対側の境界線とみなす「みなし道路」を設定し,みなし道路境界線(図中e〜f)上に算定位置を配置する。

従来運用で行われてきた下図のような算定位置の「回り込み処理」による配置を行わない。



これは,回り込み処理により算定位置が道路内に配置されてしまうことや,算定位置が令第135条の9第1号に規定する「前面道路の反対側の境界線」より近づいてしまうためである。


参考
建築基準法等の一部を改正する法律の一部の施行について(平成14年12月27日 国住街発第l10号)


算定位置の配置

a〜bの間でW/2以内の閤隔で均等に配置

c〜dの間でW/2以内の閤隔で均等に配置

e〜fの間でW/2以内の閤隔で均等に配置




行き止り道路の道路斜線(両側敷地なし) 
(JCBA)

き止り道路の道路斜線(両側敷地なし) (JCBA)


算定位置の配置

e〜fの間でW/2以内の閤隔で均等に配置

特殊な敷地における適合建築物

行き止り道路の場合(令132条)

終端部及び入隅部は幅員の最大な道路の回り込みによって,区域区分せずに一体的に適合建築物を設定する。
行止り道路は,1(1つ)の道路における道路斜線制限を回り込ませて適合建築物を作成する。


従来運用で行われてきた算定位置の「回り込み処理」及び「みなし道路」による配置を行わない。

「みなし道路」については法文上の「前面道路の反対側の境界線」上に算定位置が位置していないこととなるが,ここに配置しない場合,図では算定位置が存在しないこととなることから,みなし道路境界線(e〜f)に算定位置を配置する。



行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり) 
(東京都)

行き止り道路の道路斜線(両側敷地あり) (東京都)

行き止り道路の天空率
行き止り道路の道路斜線(東京都方式)

東京都では,行き止り道路の道路斜線は下図のように取り扱っている。A,Eゾーンは通常の道路斜線。 Cゾーンは道路延長方向に幅員wの仮定境界線を設けている。 入り角部B,Dゾーンはb,cを中心に幅員wの道路斜線を回転させている。

行き止り道路の適合建築物と前面道路の境界線B,Cゾーンは入り角敷地と同様に円弧斜線制限を直線で補完する。Cゾーンでは,a−dを反対側の道路境界線とみなし,b−c上に適合建築物を設定することにより,B,Dゾーンの一部を含む部分の天空率を比較する。


B,C,Dゾーンの道路高さ適合建築物のイメージ(図 省略)




道路斜線制限による適用距離

道路斜線制限による計画建物 例1 (2004JAICより)

天空率算定の範囲

天空率の算定は,高さ制限が適用される範囲内に限定する。法第56条で,道路斜線は地区または区域によって定められている適用範囲内(20, , ,50m)の建築物の部分に適用され,北側斜線と隣地斜線は地区または区域内の建築物の部分に適用される(令第135条の6第1項第1号,第135条の7第1項第1号,第135条の8第1項,法別表第3)


天空率算定の範囲 例1,2

壁面後退(セットバック)した場合の道路斜線適合建築物と計画建築物の天空率算定

適合建築物を壁面後退したものとして天空率を算定する場合,壁面後退緩和措置を適用した適合建築物となるため,計画建築物についても適合建築物の後退距離以上後退させる(道路または隣地高さ制限に限る)。言い換えると,壁面後退緩和措置を適用した適合建築物は計画建築物の後退距離までのどの位置にも設定できるということである。
ただし,東京都では計画建築物と適合建築物の後退距離は同じでなければならないようである(令第135条の6第1項2号,第135条の7第1項2号)。

天空率算定の範囲 例1 (2004JAICより) 天空率算定の範囲 例2 (2004JAICより)


参考).天空率斜線(造語)内の計画建築物について 
(2004JAICより)

天空率斜線(造語)内の計画建築物について

部分は,計画建築物を奥の位置では天空率斜線(造語)勾配までとすると,適合建築物よりも天空率が下回ることがなく,建築可能となり,シュミレーションする必要がなくなる。



敷地と前面道路に高低差がある場合の天空率算定位置

敷地と前面道路に高低差がある場合の例 (2004JAICより)



敷地と前面道路の最大高低差が1m以内の住居系敷地の天空率算定位置 (2004JAICより)

敷地と前面道路の最大高低差が1m以内の住居系敷地の天空率算定位置 例

敷地に対して前面の道路に高低差がある場合,測定点の高さは道路中心高さなので,それぞれの測定点の高さも変化する。

建物ボリュームの高さの基準は,最も低いところで作成する。つまり,
地盤も建物ボリュームとして作図することになる。地盤のボリュームを作図しておかなければ,正しい計算結果にはならない。
なお,前面の道路が地盤より高い場合は,測定点の高さ入力を間違えない限り,通常の操作と同じである。

     ↓
  下図参照

 

敷地と前面道路の最大高低差が1m以内の住居系敷地の天空率算定位置 例

適合建物は,壁だけではなく,
奥行きも作図する。高低差によっては斜壁部分が測定点から見えるためである。作図の基準高さは,天空率測定点の最も低い高さを±0として測定する。
地盤も建物ボリュームとして作図する。測定点No.5の天空図は,測定点と地盤面が同じ高さなので,建物だけの図になる。



敷地と前面道路の最大高低差が1m以上の住居系敷地の天空率算定位置 (2004JAICより)

敷地と前面道路の最大高低差が1m以上の住居系敷地の天空率算定位置 例

次に,地盤に対して前面道路が1m以上の高低差がある場合を考える。この場合の測定点高さは,道路斜線制限と同様に,
1m引いた残りの1/2の高さになる。

作図方法は「1m以内の高低差」と同じだが,
緩和のために道路の勾配が途中(No.3)で変わるので,適合建物も同様に作図する。

高低差は最大2mとした,この場合,1m以上下がったところの高さが緩和される。No1とNo2が実際より高くなる。



注意).道路斜線制限が緩和されるので,適合建物も形状が変わることに注意が必要。

     ↓
  下図参照

 

敷地と前面道路の最大高低差が1m以上の住居系敷地の天空率算定位置 例

適合建物の壁は,No.3の所で折れるので,No.1からNo.5までを1本の線で描かずに,No.1からNo.3,No.3からNo.5を別々に作図。奥行きも同様に作図。



道路面又は隣地と敷地の地盤面に高低差がある場合(令第135条の9第4項,第5項)

道路面と敷地の地盤面に高低差がある場合の天空率算定

道路面と敷地の地盤面に1m以上の高低差がある場合の例 (2004JAICより)

道路面と敷地の地盤面に高低差がある場合の天空率算定

@ 敷地の地盤面が前面道路の路面の中心の高さより1m以上高い場合においては,当該高低差から1mを減じたものの2分の1だけ高い位置とする。

A 特定行政庁が,地形の特殊性により@の規定をそのまま適用することが著しく不適当であると認め,規則で@に規定する高さと建築物の敷地の地盤面の位置との間において適当と認める高さに定めている場合は,その高さとする。

※ なお,前面道路と建築物の敷地の地盤面に高低差がある場合,適合建築物と計画建築物の天空率を同一の条件で評価するために,建築物の敷地の地盤を含めて天空率の算定・比較を行う。



天空率の測定点

敷地内に高低差がある場合の道路斜線制限の取扱い

地盤面ごとに区域区分を行わずに,適合建築物を設定する。敷地の地盤面が前面道路の中心の高さより1m以上高い場合においては,算定位置は,当該高低差からlm減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなされる(令135条の2)ことから,平面図の敷地の場合は,算定位置の高さは,断面図,南西図のとおり,'前面道路の中心の高さと,前面道路の中心の高さから1mの2つの高さとなる。

なお,「道路制限勾配が異なる地域等」の場合のみその区域ごとに区分して適合建築物を設定する。この場合,道路制限勾配は同一のため,区域区分は行わない。

道路斜線制限については,隣地斜線制限や北側斜線制限における「高低差区分区域」の規定がないため,地盤面ごとに区域を区分する必要はないこととなる。したがって,算定位置の高さが複数となる場合でも,地盤面ごとに区域区分は行わず,一体の適合建築物を設定する。


敷地内に高低差がある場合の道路斜線制限の取扱い 例 (2009JCBAより)

敷地内に高低差がある場合の道路斜線制限の取扱い 例1

敷地の状況(敷地の奥側の部分は道路中心から3m高い位置にある)



@制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 基本 (2007W)

敷地が制限勾配の異なる地域等にわたる場合の天空率の算定・比較の仕方
(令第135条の6第2項,第135条の7第2項,第135条の8第2項)

敷地が制限勾配の異なる地域等にわたる場合例1 敷地が制限勾配の異なる地域等にわたる場合例2

道路側に制限勾配の大きい地域A,その奥に制限勾配の小さい地域Bがあるケース

区域Aと区域Bに分けて算定する

道路側に制限勾配の小さい地域A,その奥に制限勾配の大きい地域Bがあるケース

区域Aと区域Bに分けて算定する



A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 01
 (2004JAICより)

制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 01

制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合の天空率算定

制限勾配が異なる2つの地域にわたる場合は,地域ごとに建築物の部分を分けて天空率を算定する(令第135条の6第2項,第135条の7第2項,第135条の8第2項)。

(用途地域が異なっても制限勾配が同じ場合は建築物を分割する必要はない。また道路斜線の適用距離が異なる場合は建築物の部分を限定する範囲が変わるのみであり区域を分ける必要はない。)
A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 01 南西図
適合建築物の全体的なボリューム


A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 02 (2004JAICより)

A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 02
A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 02 住居系領域 A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 02 商業系領域


A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 03 (2004JAICより)

A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 03
A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 03 住居系領域 A制限勾配が異なる地域にわたる敷地の場合 例 03 商業系領域



B住居系用途地域・前面道路12m以上・制限勾配が異なる区域にわたる敷地の場合の天空率算定 (2004JAICより)
(法56条第3項,2項,4項)

敷地図
B住居系用途地域・前面道路12m以上・制限勾配が異なる区域にわたる敷地の場合の天空率算定
(法56条第3項,2項,4項)
断面図


住居系用途地域(低層住居専用地域を除く)で前面道路が12m以上ある場合,前面道路の幅員の1.25倍を超える区域においては,制限勾配を1,25から1.5に緩和することとされている。
この場合も,制限勾配が異なる区域(A,B)ごとに建築物の部分に分けて,天空率の算定を行う。



B住居系用途地域・前面道路12m以上・制限勾配が異なる区域にわたり,かつ壁面後退(セットバック)した場合の天空率算定 (2004JAICより)
(法56条第3項,2項,4項)

敷地図
B住居系用途地域・前面道路12m以上・制限勾配が異なる区域にわたり,かつ壁面後退(セットバック)した場合の天空率算定
(法56条第3項,2項,4項)
断面図


この場合も,制限勾配が異なる区域(A,B)ごとに建築物の部分に分けて,天空率の算定を行う。
計画建築物が後退した場合は,勾配1.5の適用区域は後退してもしなくてもよい(選択制)。




参考 :傾斜地と道路高さ制限の天空率の検証と反証 (傾斜地の天空率を扱う上での参考) (2004C.Sより)

問題とする傾斜地は下図のような敷地とします。
用途地域は商業地域,敷地内の勾配は0mから5mで一定勾配,道路幅員は一定としています。





まずは,道路高さ制限を用いて計画建築物を計画することから考えてみましょう。傾斜地で道路高さ制限を用いる場合は,計画建築物の高さを制限する基準を求める必要があります。この計画建築物の高さの基準を『地盤面』と言い,計画建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面(令2条第1項6号および 令2条第2項)とします。
下図で,計画建築物(
緑色)の接地高さ(赤色部)の平均の高さを求めてみましょう。





接地高さ(赤色部)の平均の高さを計算
(1m+1m+4m+4m)÷4頂点=2.5mとなる。
※実作業では「計画建築物の部分の接地面積の合計を計画建築物の部分の周長で割る」などの方法で求めます。

計算の結果,
2.5mの地盤面(青色部)となり,敷地内高低差は水平な単一の地盤面にモデル化されました。
この計画建築物の周囲の地面と接する位置の平均の高さは3mの高低差を越えていないので(1m〜4m),地盤面は唯一となります。





計画建築物の高さの基準が決まったので,道路高さ制限をチェックしてます。
前面道路の中心高さは0mです。
地盤面と道路中心との高低差が2.5mもあるので,令135条の2を適用 します。(1m以内の高低差の場合は緩和されません。)
令135条の2第1項文末『・・・とみなす。』とあることから,道路中心の高 さは1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなさなければなりません。
(令135条の2第2項の『・・・行政庁は,・・・』により,この高低差緩和を適用しないケースもあるようです。)
(2.5m−1m)÷2=
0.75m
結果,この計画建築物は道路高さ制限をクリアしていました。道路に勾配がある場合(坂道)も同様に,緩和した高さから道路高さ制限をかけていきます。




検証

「天空率」使ったら?
では,上図の計画建築物に天空率による緩和を適用し,さらに計画建築物 の建築高さを稼ぐには,どのようにしたら良いのでしょうか。
それには,まず『敷地を区分した区域』を作らなければなりません。道路高さ制限を,天空率により緩和する場合の『区分区域』は,令135条の6で規定されており,『道路高さ制限の勾配の違う区域等』と『令132条または令134条第2項により区分される区域』でしか区分することができません。(『高低差区分区域ごとの部分ごと』とは記されていません。)今回の敷地は商業地域単一ですので道路斜線の勾配は一定です。また,道路幅員も一定で令132条,令134条第2項は適用されません。『高低差区分区域』は存在しますが,令135条の6には適用する内容は記されていません。そのため,今回の傾斜地の地盤面は一体として扱い,道路高さ制限適合建築物や計画建築物を区分区域で区切らない(地盤面ごとではない)必要があ ります。

適合建築物を造ってはみたが・・・
さて,区分区域内に道路高さ適合建築物を造ってみました。道路高さ制限適合建築物(
黄色)は道路高さ制限内で自由に設計できます。下図は計画建築物の地盤面2.5m(青色部)をもとに道路高さ適合建築物を造りました。





下図は道路高さ適合建築物の形状から求めた地盤面をもとに道路高さ適合建築物を造りました。
計画建築物と道路高さ適合建築物とで地盤面の高さや平面的な位置が異なってしまいました。
では,どちらの道路高さ適合建築物を使って天空率を比較すれば良いのでしょうか?




地盤面はどちらを使う?
2.5mの地盤面(
青色部)は,計画建築物が道路高さ制限を受ける場合の高さの基準です。
令2条第2項や令135条の2で規定されている『地盤面』は,『高さを制限をするための基準』です。道路高さ制限を天空率によって緩和(適用除外)された計画建築物には,道路高さ制限の高さの基準が存在しません。(実際は2.5mです。)
よって,傾斜地での道路高さ制限を天空率により緩和する場合は,道路高さ適合建築物の地盤面を用いて天空率の比較計算を行うことも可能です。





また,地盤面を複数に取った場合,道路高さ制限では『高低差区分区域ごとの部分ごと』で天空率を算定することが規定されていないので,道路高さ制限適合建築物を一体で天空率を算定することになります。(当然,比較対象の計画建築物も一体で天空率を算定します。) 

ここで再び問題が発生します。
『道路高さ制限適合建築物と計画建築物は一体で天空率を比較するとして,天空率を算定する位置はどちらの地盤面を基準にするか?』

緩和は使わなくてもいい?
道路高さ制限を天空率で緩和する場合の算定する位置は令135条の9に記 してあり,その4項では道路高さ制限と同様に高低差による緩和を使わなければならない,となっています。(道路斜線とは違い,『・・・行政庁は・・・』の一 文はありません。)
高さ制限での壁面線の後退距離による緩和や2Aかつ35mの道路幅員の緩和,道路が低い場合の1mを減いた1/2の高低差緩和などは法56条第6項 に起因します。
法56条第6項では,『建築物の敷地が2以上の道路に接し,又は公園,広場,川若しくは海その他これらに類するものに接する場合,建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措は,政令で定める。』と記されています。
しかし,「天空率」は法56条第7項であり,「前各項・・・」ではありません。(代わりと言ってはなんですが,令135条の9第5項で,道路高さ制限と同様でない旨をわざわざ記してあります。したがって,高さ制限では緩和規定であっても,天空率(法56条第7項)には適用されません。





一般的に,2Aかつ35mや道路が低い場合の1mを減いた1/2などは緩和と捉え,「適用しなくても良い。」,とすることも可能ですが,法56条第7項では政令 として令135条の6第3項や令135条の9第4項などで別途規定しています。よって,令135条の9第1項第1号にある『当該建築物の敷地の前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置』で算定するのですから,下図のように面する部分(
赤色の線上)となります。
また,算定する位置の高さは,令135条の9第1項第1号の冒頭『当該建築物の ・・・』とあり,暗に計画建築物の地盤面を基準にする旨が謳われています。さらに,令135条の9第1項第2号の規定により,『当該位置の間の境界線上に当該前面道路の幅員の2分の1以内の間隔で均等に配置した位置』で天空率を 算定します。





ここで,「算定する位置は道路高さ制限建築物の地盤面ごとでは?(下図)」という疑問も浮かんできます。

算定する位置は地盤面ごと?
運用上,地盤面ごとの方が算定位置が重ならず煩雑になりにくいのですが,地盤面ごとの道路に面する位置で算定位置を取れない
反証が存在します。

反証その1
下図では道路高さ制限適合建築物の地盤面が敷地より小さい場合,算定位置 が敷地の面する位置よりも短くなります。これは令135条の9に規定されている『敷地の前面道路に面する部分』が途中で止まってしまっていることにもなります。高低差区分区域ごとの地盤面ごとに算定する位置の両端を決める場合,必ず 敷地全体を区分していなければならないことになりますが,地盤面の位置や広 さについての規定はないので(建築物の外周という規定はあります。),設計者が『前面道路に面する部分』よりも狭い(小さい)地盤面を設定することも考えら れます。





反証その2
前記でもお話ししたように,天空率を算定する位置の高さは計画建築物の地盤面で決定します。
仮に,下図のように敷地の両端にしか高さ制限適合建築物を設計しなかった場合,敷地内の建築物のない部分の地盤面の高さは「不定」になります。そのような場合,天空率を算定する位置の高さも「不定」になります。計画建築物の地盤面を用いて算定することにより「不定」となることを回避することができますが,道路高さ制限適合建築物の地盤面は無視しなければなりません。

● 地盤面が決まらない例
下図は,傾斜地を三つの地盤面で区分し道路高さ適合建築物を設計した例です。
中央の地盤面には安全側の考慮から,道路高さ制限適合建築物を設計しませんでした。(天空率の高い道路高さ適合建築物を設計したことになります。)この場合,中央の道路高さ適合建築物の地盤面の高さは求めることはできません。





計画建築物は,あえて道路高さ適合建築物を設計しなかった中央の地盤面を用いて設計しました。
この場合,中央の地盤面の天空率を算定する高さは,地盤面の高さが不定であることから算定位置も不定,測定不能となります。





結論
上記のことからわかるように,傾斜地の道路高さ制限を天空率により緩和・適応する場合には「道路高さ制限適合建築物を地盤面ごとに区分して,算定位置は道路高さ制限 適合建築物の地盤ごとに面する位置を別々に求める。」のではなく,「道路高さ制限適合建築物や計画建築物を地盤面ごとに区分せず一体とし,算定位置は計画建築物の地盤面からの高さの応じた複数の算定位置が同じ位置に重なって存在する。」とすることを推奨します(下図)。
(道路高さ制限のかかる範囲内全域に道路高さ適合建築物が配置されている場合は,地盤面ごとに区分して,地盤ごとに面する位置を別々に求めての処理方法も可能です。)







■  003 隣地高さ制限を適用しない建築物の天空率制度の利用

関連法令

隣地高さ制限を適用しない建築物の基準 (令第135条の7関係)

【隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等】

第135条の7  法第56条第7項の政令で定める基準で同項第二号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一  当該建築物(法第56条第7項第二号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「
隣地高さ制限」という。)が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)の第135条の10に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において隣地高さ制限に適合するものとして想定する建築物(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限り、階段室等及び棟飾等を除く。以下この章において「隣地高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること

二  当該建築物(法第56条第1項第二号イ又はニに定める数値が
1.25とされている建築物にあっては高さが20mを、同号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあっては高さが31mを超える部分に限る。)の隣地境界線からの後退距離(同号に規定する水平距離のうち最小のものに相当する距離をいう。以下この号において同じ。)が、前号の隣地高さ制限適合建築物と同一の隣地高さ制限適合建築物(同項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている隣地高さ制限適合建築物にあっては高さが20mを、同号イからニまでに定める数値が2.5とされている隣地高さ制限適合建築物にあっては高さが31mを超える部分に限る。)の隣地境界線からの後退距離以上であること

2  当該建築物の敷地が、隣地高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「
隣地制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。

 3  当該建築物が
周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合における第1項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の周囲の地面と接する位置の高低差が3m以内となるようにその敷地を区分した区域(以下この章において「高低差区分区域」という。)ごとの部分」と、「地盤面」とあるのは「高低差区分区域ごとの地盤面」と、「という。)の」とあるのは「という。)の高低差区分区域ごとの部分の」とする。



隣地高さ制限に適合する建築物(以下「
隣地高さ制限適合建築物」という。)の天空率及び計画建築物の天空率を,法第56条第7項第2号及び令第135条の10に定める位置においてそれぞれ算定比較し当該位置の全てにおいて計画建築物の天空率が隣地高さ制限適合建築物の天空率以上となること

また,
計画建築物(隣地高さ制限の立上げ高さを超える部分に限る。)の隣地境界線からの後退距離法第56条第1項第2号に規定する水平距離のうち最小のものに相当する距離をいう。以下同じ。)隣地高さ制限適合建築物(隣地高さ制限の立上げ高さを超える部分に限る。)の当該基準線からの後退距離以上とすること

斜線制限と天空率の適用について
それぞれ…,全て…」とは,文字通り全ての算定位置ごとに天空率を検討しなければなりません隣地斜線のみを除外(天空率の検討)したい場合は道路斜線及び北側斜線は天空率の適用をしなくてもよい



令第135条の7の適用の詳細等については,以下のとおりであること。

「1」 計画建築物及び隣地高さ制限適合建築物の天空率については,それぞれ法第56条第1項第2号かっこ書の区域外の部分に限って算定・比較するものであること。

「2」 隣地高さ制限適合建築物の天空率については,1(1)「2」及び「3」と同様の取扱いであること。

「3」 隣地高さ制限適合建築物を想定する際には,当該建築物の地盤面を計画建築物の地盤面と同一となるように想定すること。さらに,計画建築物が周囲の地面と接する位置の
高低差が3mを超える場合には,計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3m以内となるようにその敷地を区分した区域(以下「高低差区分区域」という。)を想定した上で,高低差区分区域ごとの隣地高さ制限適合建築物の部分について,周囲の地面と接する位置の高低差が3m以内であり,かつ高低差区分区域の地盤面と同一となるよう想定すること

「4」 法第56条第1項第2号に掲げる隣地境界線からの水平距離に乗ずべき数値(以下「
隣地制限勾配」という。)が異なる地域,地区又は区域(以下「隣地制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合には,隣地制限勾配が異なる地域等ごとの計画建築物及び隣地高さ制限適合建築物の部分について,それぞれ天空率を算定・比較すること。

「5」 計画建築物が周囲の地面と接する位置の
高低差が3mを超える場合には,高低差区分区域ごとの計画建築物及び高さ制限適合建築物の部分について天空率を算定・比較すること。

「6」 
隣地境界線が2以上ある場合には,各々の隣地境界線ごとにその面する方向における隣地高さ制限適合建築物を想定すること。この場合に,一部の隣地境界線についてのみ隣地高さ制限を適用除外とすることはできないこと。



天空率の算定位置 (法第56条第7項第2号,令第135条の10関係)

法第56条第7項第2号

・(前述参照)


【法第56条第7項第二号の政令で定める位置】
第135条の10  法第56条第7項第二号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。

・(省略)


天空率の算定位置は,建築物の敷地の地盤面の高さにある,隣地制限勾配が
1.25とされている区域内の建築物にあっては隣地境界線から16mだけ外側の線の,隣地制限勾配が2.5とされている区域内の建築物にあっては隣地境界線から12.4mだけ外側の線の,計画建築物(隣地高さ制限が適用される地域,地区又は区域内にある部分に限る。)の敷地に面する部分の両端上の位置であり,当該位置の間の法第56条第7項第2号に規定する外側の線(以下「隣地基準線」という。)の延長(延べ長さ)が,隣地制限勾配が1.25とされている場合には8m又は隣地制限勾配が2.5とされている場合には6.2mを超える場合にあっては,当該位置の間の隣地基準線上にそれぞれ8m又は6.2m以内の間隔で均等に配置した位置であることとした。

天空率の算定位置の配置については,以下の点に留意すること。

「1」 隣地制限勾配が1.25とされている建築物で高さが
20mを超える部分又は隣地制限勾配が2.5とされている建築物で高さが31mを超える部分が隣地境界線から後退して計画される場合においても,天空率の算定位置は隣地基準線上であること。

「2」 建築物の敷地が隣地制限勾配が異なる地域等にわたる場合には,建築物の敷地を隣地制限勾配の
異なる地域等ごとの部分に分け,当該部分について令第135条の10第1項の規定を適用して,各々天空率の算定位置を配置すること。

「3」 
令第135条の3第1項第1号の規定が適用される場合の天空率の算定位置は,隣地基準線上に配置することとされており,同号の規定によりみなされる隣地境界線の16m又は12.4mだけ外側の線上に配置するのではないこと

「4」 計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合においては,
高低差区分区域ごとの敷地の部分に面する基準線上に天空率の算定位置を配置すること。

「5」 建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合においては,天空率の算定位置の高さは,当該高低差から
1mを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなすこと。また,令第135条の3第2項の規則で建築物の敷地の地盤面の位置の高さが別に定められている場合にあっては,当該高さを天空率の算定位置の高さとみなすこと。



隣地高さ制限の場合の天空率算定の墓準留意事項及び要約

算定位置は,隣地境界線からの水平距離が16m(商業地域は12.4m)外側の線上(基準線と呼ぶ)を8m以内(商業地域は6.2m以内)の間隔で,均等に配置した位置。
基準線上の測定点間隔の8mおよび6.2m以内というのは,道路斜線で最小道路幅員の1/2以内とすることと同じである。

高さは,建築物の敷地の地盤面の高さ。(法第56条第7項第2号,令第135条の10第1項第1号,第2号)

隣地斜線は隣地境界線ごとに領域を分け計算を行う。

天空率による建築物の隣地高さ制限を適用する場合は,すべての隣地境界線の天空率を検討しなければならない。



隣地高さ制限の場合の天空率算定位置 例 (2004JAICより)

隣地高さ制限の場合の天空率算定位置 例 (用途地域:商業地域以外の場合)

例).
用途地域:商業地域以外
敷地条件:幅30m×奥行21m


算定位置の計算方法

敷地幅は,隣地境界線から水平距離16m外側の線上を8m以内の間隔での均等配置なので,上記の算定の条件では,(敷地幅)30m÷8m=3,75 → 分割数は整数なので4(敷地幅)30m÷(上式の解)4=7.5mとなり,7.5mの間隔で,隣地境界に面する敷地の両端を含む5カ所に配置することになる。



敷地が変形している場合の天空率算定位置 例 (2004JAICより)

敷地が変形している場合の天空率算定位置 例



制限勾配が異なる2つの地域などにわたる場合の天空率算定 (2004JAICより)

制限勾配が異なる2つの地域などにわたる場合の天空率算定 例

制限勾配または制限高さの異なる地域ごとに,敷地の部分に分けて算定する。なお,道路斜線・隣地斜線・北側斜線について,以下のような規定がある。


道路斜線

高さの制限として,水平距離に乗ずべき数値が異なる場合。
斜線勾配が異なる2つの地域・地区・区域にわたる場合。
住居系用途地域で前面道路が12m以上ある場合に,異なる制限勾配緩和区域が存在する場合。


隣地斜線

斜線勾配が異なる2つの地域・地区・区域にわたる場合。


北側斜線

高さの限度として加える高さ(5mもしくは10m)が異なる2つの地域にわたる場合。

(令第135条の9第2項,第135条の10第2項,第135条の11第2項)



隣地に高低差がある場合の隣地斜線制限の取扱い (2009JCBAより)

隣地に高低差がある場合の隣地斜線制限の取扱い 例

隣地斜線制限の高低差区分区域は,一敷地内の計画建物が周囲の地盤面と接する位置の高低差が3mを超える場合」に設定するものであり,下図の場合は区域区分の必要はない。



後退を考慮した適合建築物の天空率 (2004JAICより)

後退を考慮した適合建築物の天空率 (商業地域の例)











隣地斜線制限では,31m(または20m)より上部で,敷地より建物が後退していれば,緩和がある。天空率計算においても,適合建築物を,後退による緩和を反映した形状とすることができる。

なお,道路斜線の場合と同様に,測定点が配置される基準線の位置は,後退の有無に関係なく一定である。天空率の基準線の位置は変わらない。



隣地と敷地の地盤面に高低差がある場合の天空率算定 (2004JAICより)

隣地と敷地の地盤面に高低差がある場合の天空率算定 (隣地より低い場合)

@ 当該建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合においては,当該高低差から1mを減じたものの2分の1だけ高い位置とする。

A 特定行政庁が,地形の特殊性により@の規定をそのまま適用することが著しく不適当であると認め,規則で当該建築物の敷地の地盤面の位置と隣地の地盤面の位置との間において適当と認める高さに定めている場合は,その高さとする。

(令第135条の10第4項,第5項,第135条の11第4項,第5項)





地盤の高低差が3mを超える敷地の天空率

計画建物が地面と接する部分の高低差が3mを超える場合は,3mごとに敷地を分割し(高低差区分区域),それぞれの区域ごとに,敷地の隣地境界線に対して天空率を計算する。



隣地高さ制限の場合の天空率算定位置 例 

入隅及び出隅がある場合 
(2007W)

敷地図  入隅及び出隅がある場合 (2007W)

例 : 下図の住居系用途地域の敷地Aの隣地高さ制限の天空率を検討
基準線16m
測定点8m

敷地Aには入隅も出隅もあります。まず,入隅部分の隣地境界線a−b,b−cの隣地高さ制限を確かめてみましょう。

1 隣地高さ制限による建築物の高さの限度は,隣地境界線a−b,b−cからの水平距離で決まります。また,水平距離のとれない入隅部分ではbを中心とした円弧によって処理します。

2 次に入隅部分を2等分(
※1)します。これでb−c−d−e−hの範囲は隣地境界線b−cの高さ制限が適用され,残りの部分は隣地境界線a−bの高さ制限が適用されることになります。

3 このように入隅部分を2等分する理由は,隣地高さ制限の「後退距離」は隣地境界線の辺ごとに算定するためです。

4 a−b,b−cの後退距離が異なる場合は,b−hを境に異なる等高線が描かれる(
※2)ことになります。


※1 :JCBA/横浜市の取扱いも同じ
入隅敷地の場合,入隅部は,敷地境界線の入隅の角度の二等分線で区画し,適合建築物を設定する。

※2 :横浜市の取扱いも同じ
(建建企第332号 建築局長 平成15年11月20日)/(まち建企第2287号 まちづくり調整局長 平成20年3月4日)
隣地境界線a−bの測定点(01,02,03)と窓 隣地境界線b−cの測定点(04,05,06)と窓

隣地境界線c−dの測定点(07,09,09)と窓 隣地境界線d−eの測定点(10,11,12)と窓
出隅部分の隣地高さ制限はそれぞれ重なる部分ができる。
隣地境界線e−fの測定点(13,14,15)と窓
出隅部分の隣地高さ制限はそれぞれ重なる部分ができる。
隣地境界線f−gの測定点(16,17)と窓
敷地Aのすべての基準線,測定点と窓を通した天空率の算定方向



隣地境界線の突出部と天空率 (東京のまちづくり情報より)
(法56条第7項第2号)

図の住居系用途地域の敷地の隣地高さ制限の天空率を検討
突出部の高さが1mを超える場合
基準線16m
測定点8m
隣地境界線に突出部がある場合の敷地図 (突出部の高さが1mを超える場合)

隣地境界線に突出部(b-c-d-e)がある場合の天空率を検討

まず,この敷地の隣地高さ制限に対応した基準線と測定点は図のように配置されます。
この基準線と測定点は施行令に基づいて隣地境界線の辺ごとに配置されているものですから,これらの位置を操作することはできません。

隣地境界線c-dの天空率は,測定点04,06から窓c-dを通して算定することになります。
隣地境界線c-dの適合建築物と窓c-dを通して見える計画建築物の天空率を比較すると,次のようなことが分かります。

1 適合建築物と計画建築物の方位角は同じであり,天空率に差はでない。

2 適合築物は後退距離の割り増しがあるので,その分だけ天空率が小さくなる。

3 適合建築物と計画建築物の天空率の差は後退距離の分だけになる。

4 したがって,隣地境界線c-dでは隣地境界線a-bのように,計画建築物と隣地境界線の間の空間が天空率に反影されないため,計画建築物の高さは低くなる。



小区間の隣地境界線に凸凹がある場合の取扱い (東京のまちづくり情報より)

突出部の高さが1m以下の場合

隣地境界線の突出部と天空率 (突出部(b-c,d-e)の高さが1m以下の場合)


天空率による高さ制限は,隣地高さ制限との比較によって成り立つのですから,隣地高さ制限を無視するような比較方法は避けなければなりません。図の取扱いは,小区間の出っ張りあるいは引っ込みを無視しているわけですが,これ以上の簡略化は考えていません。

隣地境界線a−f間を一つの測定区間にしたのですから,測定点はa−fに対応する基準線の両端と8m(または6.4m)以内の間隔で配置しなければなりません。

東京都では,このように小区間の隣地境界線に凸凹がある場合の取扱いを決めています。

天空率の審査方法(試案)0504 簡略化の例
前面道路の反対側の境界線及び隣地境界線について,おおむね20メートル以内の屈曲は,一つの窓として取扱うことができることとする。

この敷地でも突出部の高さが1m以下の場合は図のように処理することができます。

1 隣地境界線a-fを一つの窓として取扱う。1m以下のグループ化(
※1)は道路斜線の場合でも有効である。
2 基準線,測定点は施行令の定めるとおりとする。測定点位置はグルーブ化の前と変わらないので注意。
3 適合建築物は隣地境界線と計画建築物の間に設定する。

※1 グループ化は,斜線方向がおおむね同じ境界線どうしで行わなければ,隣地斜線制限との乖離が生じると思われる。

突出部の高さが1mを超える場合は,最初の前図のように算定することになります。




入り角隣地斜線の天空率
東京都の運用基準 「放射型(窓方式)」 領域を分ける考え方 (横浜市は異なる)

入り角隣地斜線の天空率入り角敷地の隣地斜線

入り角隣地斜線の天空率入り角敷地の隣地斜線 (東京の運用基準)
入り角敷地の隣地斜線 入り角敷地の天空率01

入り角敷地の後退距離(隣地斜線制限) (東京の運用基準)

入り角敷地の後退距離は,敷地境界線ごとに後退距離を設定する。
入り角敷地における適合建築物の回り込み部分の後退距離は図のように設定する。

入り角敷地の後退距離(隣地斜線制限) (東京の運用基準)
敷地A 部分の高さ制限適合建築物の後退距離 敷地B 部分の高さ制限適合建築物の後退距離




■  004 北側高さ制限を適用しない建築物の天空率制度の利用

関連法令

北側高さ制限を適用しない建築物の基準 (令第135条の8関係)

【北側の隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等】

第135条の8  法第56条第7項の政令で定める基準で同項第三号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、当該建築物(同号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「北側高さ制限」という。)が適用される地域内の部分に限る。)の第135条の11に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において北側高さ制限に適合するものとして想定する建築物(北側高さ制限が適用される地域内の部分に限り棟飾等を除く。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であることとする

2  当該建築物の敷地が、北側高さ制限による高さの限度として加える高さが異なる地域(以下この章において「
北側制限高さが異なる地域」という。)にわたる場合における前項の規定の適用については、同項中「限る。)」とあるのは「限る。)の北側制限高さが異なる地域ごとの部分」と、「除く。)」とあるのは「除く。)の北側制限高さが異なる地域ごとの部分」とする。

3  当該建築物が
周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合における第1項の規定の適用については、同項中「限る。)」とあるのは「限る。)の高低差区分区域ごとの部分」と、「地盤面」とあるのは「高低差区分区域ごとの地盤面」と、「除く。)」とあるのは「除く。)の高低差区分区域ごとの部分」とする。



北側高さ制限に適合する建築物(以下,「
北側高さ制限適合建築物」という。)の天空率及び計画建築物の天空率を,法第56条第7項第3号及び令第135条の11に定める位置においてそれぞれ算定比較し当務位置の全てにおいて計画建築物の天空率が北側高さ制限適合建築物の天空率以上となること

この場合,北側高さ制限は真北方向に適用されるものであることから,隣地境界線へ面する方向に高さが制限される建築物は必ずしも北側高さ制限適合建築物とはならず,2以上の隣地境界線から制限されることもあり得る。

斜線制限と天空率の適用について
それぞれ…,全て…」とは,文字通り全ての算定位置ごとに天空率を検討しなければなりません北側斜線のみを除外(天空率の検討)したい場合は道路斜線及び隣地斜線は天空率の適用をしなくてもよい



令第135条の8の適用の詳細等については,以下のとおりであること。

「1」 計画建築物及び北側高さ制限適合建築物の天空率については,北側高さ制限が適用される部分に限って算定・比較するものであること。

「2」 北側高さ制限適合建築物の天空率については,1(1)「4」と同様の取扱いであること。

「3」 北側高さ制限適合建築物を想定する際には,2(1)「3」及び「5」と同様の取扱いであること。

「4」 法第56条第1項第3号に掲げる高さの限度として加える高さ(以下「
北側立上げ高さ」という。)が異なる地域にわたる場合には,北側立上げ高さが異なる地域等ごとの計画建築物及び北側高さ制限適合建築物の部分について,それぞれ天空率を算定・比較すること。



天空率の算定位置 (法第56条第7項第3号,令第135条の11関係)

法第56条第7項第3号

・(前述参照)


【法第56条第7項第三号の政令で定める位置】
第135条の11  法第56条第7項第三号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。

・(省略)


天空率の算定位置は,計画建築物の敷地の地盤面の高さにある,第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物にあっては敷地境界線から真北方向へ4mだけ外側の線,第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあっては敷地境界線から真北方向へ8mだけ外側の線の,計画建築物の敷地の真北に面する部分の両端上の位置であり,隣地境界線と法第56条第7項第3号に規定する外側の線(以下「北側基準線」という。)の真北方向への水平距離が4m若しくは8mの場合においては,当該位置の間の北側基準線上に,それぞれ1m以内又は2m以内の間隔で均等に配置した位置であることとした。

算定位置の配置については,以下の点に留意すること。

「1」 北側立上げ高さが異なる地域にわたる場合には,建築物の敷地を北側立上げ高さの異なる地域ごとの建築物の敷地の部分に分け,当該部分について令第135条の11第1項の規定を適用して,各々天空率の算定位置を配置すること。

「2」 令第135条の4第1項第1号の規定が適用される場合の天空率の算定位置は,北側基準線上に配置することとされており,同号の規定によりみなされる隣地境界線の真北方向への水平距離が4m又は8mだけ外側の線上に配置するのではないこと。

「3」 計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場今においては,高低差区分区域ごとの敷地の部分の真北方向へ面する北側基準線上に天空率の算定位置を配置すること。

「4」 建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合においては,天空率の算定位置の高さは,当該高低差から1mを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなすこと。また,令第135条の4第2項の規則で建築物の敷地の地盤面の位置の高さが別に定められている場合にあっては,当該高さを天空率の算定位置の高さとみなすこと。





北側高さ制限の場合の天空率算定の墓準の要約

隣地境界線から真北方向の水平距離が,低層住居専用地域内では,4m外側の線上を1m以内の間隔で均等に配置した位置で,中高層住居専用地域内では8外側の線上を2m以内の間隔で均等に配置した位置

高さは,建築物の敷地の地盤面の高さ。(法第56条第7項第3号,令第135条の10第1項第1号,第2号)



北側高さ制限の場合の天空率算定の位置と高さ 例 (2004JAICより)

北側高さ制限の場合の天空率算定の位置と高さ 例

例).

用途地域:第二種低層住居専用地域
敷地条件:幅11.5m×奥行8.5m

算定位置の計算方法

隣地境界線から真北方向の水平距離4m外側の線上を1m以内の間隔で均等配置なので,上記の算定の条件では,(敷地幅+敷地奥行11.5m+8.5m)20m÷1=20※ 敷地幅・敷地奥行それぞれで計算しないでトータルの長さを等分することから,20m÷20=1mの間隔で,北側に面する敷地境界の両端を含む21ヶ所に配置することになる


又例えば,敷地幅が8,6mの場合は,(敷地幅+敷地奥行8.6m+8.5m)17.1m÷1=17.1となるが,分割数は整数なので18となり,17.1m÷18=0.95mの問隔で,北側に面する敷地境界の両端を含む19カ所に配置することになる。



北側隣地と敷地の地盤に高低差(1m以上)がある場合の取扱い (2004JAICより)

北側隣地と敷地の地盤の高低差が1m以上ある場合の天空率 (隣地より低い場合

当該建築物の敷地の地盤面が北側隣地の地盤面より1m以上低い場合においては,当該高低差から1mを減じたものの2分の1だけ高い位置とする。
























高低差が3mを超える場合

計画建物が地面と接する部分の高低差が3mを超える場合は,3mごとに敷地を分割し(高低差区分区域),それぞれの区域ごとに敷地の北側斜線制限が発生する境界線に対して天空率を計算する。



北側隣地と敷地の地盤に高低差(一部3m超え)がある場合の取扱い 
(2009JCBAより)

北側 隣地と敷地の地盤に高低差(一部3m超え)がある場合の取扱い

北側斜線制限の高低差区分区域は,一敷地内の計画建物が周囲の地盤面と接する位置の高低差が3mを超える場合」に設定するものであり,図の場合は区域区分の必要はない。




参考).北側に前面道路がある場合の天空率の取扱いに関する考察 (東京のまちづくり情報,他より)

“法文を改正 ! ”との声が聞かれ,敷地の北側に道路がある場合の天空率(北側斜線)の適用は法改正案として隣地境界線を「敷地境界線」に改正や「道路境界線を隣地境界線とみなす」案が出ていますが,取扱いを示すことはできていないようです。たまに行政によっては仕方がなく認めているという情報があるとのことですが,今の表記方法だと法的には認められていません。

参考).天空率(法第56条)運用基準及び具体の審査に係る検討(2009年)より
条文「北側高さ(斜線)制限(法56条第7項第3号)」では,隣地境界線に対する4mまたは8mの算定位置を定めています。が,道路境界線や前面道路の反対側の境界線についての規定はありません。規定が無いことから,天空率の算定位置を配置できない(当該各号に定める位置に当てはまらない)ということだが,逆に「北面に道路が接している場合は天空率制度は利用できない」との規定もありません。
論理解釈としては,北側の前面道路に対応する基準線の有無に関わらず,「隣地境界線から真北方向への水平距離が4mまたは8mだけ外側の政令で定める位置」で算定すればよいことになります。何らかの形で利用可能とするべきと考え,国へ照会を行ったが,過年度と同様「適用できない」との回答で,運用指針集への掲載は見送られた。今後も,法制度上の観点を含めた天空率規制のより合理的な活用のあり方等について検討を進める必要があることから,課題として挙げておくこととなった。


以下,「
東京のまちづくり情報より」の北側に前面道路がある場合の天空率の取扱いに関する考察です。認められているわけではないので,ご参考までに

北側に前面道路がある場合の審査方法 01 (東京のまちづくり情報より)

図は,前面道路が真北に対して45度振れたケースです。
このケースでは北側の隣地境界線に対応する基準線上の算定位置から北側の前面道路の境界線を見渡せます。この算定位置で適合建築物と計画建築物の天空率を比較することができます。

 

北側に前面道路がある場合の審査方法 02 (東京のまちづくり情報より)

図は,前面道路が真北に対して直交している場合です。この場合は,基準線が点になってしまいますが,これは直線が限りなく短くなったものと解釈します。

このように,北側の前面道路が真北に対してどのような角度になっていても,北側の隣地境界線に対応する基準線上の算定位置において,天空率を算定することができます。この算定方法が不合理であって,天空率を適用することができないというのであれば,北側の前面道路に対する基準線を規定するなり,天空率を適用させないなりの条文の整備が必要になります。





隣地斜線適合建築物および北側斜線適合建築物の地盤面の天空率算定

計画建築物は,隣地または北側斜線適合建築物と同一の地盤面の高さにある算定位置で天空率を算定する(計画建築物および高さ適合建築物の地盤面を同一とする)。なお,計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合,地盤面はその高低差3m以内ごとの平均の高さの水平面となり,2つ以上の地盤面が存在することになるが,この場合においても各部分ごとの地盤面が同一となるように想定しなければならない(令第135条の7第1項第1号,第135条の8第1項)。

上記要約計
隣地および北側斜線適合建築物は,敷地が区分された区域ごとに,計画建築物の地盤面と同一の地盤面となるように想定する。
天空率の算定・比較は,隣地および北側斜線適合建築物と計画建築築物のそれぞれを,区分された区域ごとに分けて行う。


計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合の天空率算定
 (2004JAICより)

計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合の天空率算定


高低差3mを超える隣地および北側高さ制限適合建築物及び計画建築物の例

高低差3mを超える隣地および北側高さ制限適合建築物及び計画建築物の例

計画建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合は,接する位置の高低差が3m以内となるように敷地を区分する。

(図は,第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内の場合)


高低差3mを超える隣地および北側高さ制限適合建築物及び計画建築物の例 (南東図)

高低差3mを超える隣地および北側高さ制限適合建築物及び計画建築物の例 (南東図)





■  005 
補足).高度地区での利用について (各Webサイトより抜粋)

高度地区の規制を天空率で緩和することができるか。
法第58条の高度地区内でも天空率を適用することができますが,高度地区規制そのものは天空率を適用することができません。計画建築物は高度地区規制に適合させる必要があります。高度斜線制限を超えてなならないということ。
天空率を適用できるのは,建築基準法第56条(以下,法56条)による「
道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」のみです。

適合建築物は高度地区規制に適合させる(規制を守る)必要があるか。
適合建築物は法56条による斜線制限に基づいて決められるため,高度地区規制を超えて設定しても構いません(※1)。ただし,先でも述べましたが当然ながら計画建築物は高度地区規制に適合させる必要があります。
法第56条第7項に道路斜線,隣地斜線,北側斜線についての記載がありますが,高度斜線の記載はありません。

※1 京都市や京都府下の一部では,高度地区に適用除外の規定があります。法56条による北側斜線のみが残るので,天空率を適用して緩和することが可能になります。






■ 
006 参考 :横浜市 Web より申請の取扱い

以下,参考
横浜市 Web より申請の取扱い (2007)

平成14年7月の建築基準法改正(平成15年1月1日施行)により,天空率を指標とした斜線制限の特例制度が導入されました。本市では,法第58条の高度地区による斜線制限を適用しているため,法第56条第7項第一号(道路斜線)と第二号(隣地斜線)が対象となります

本制度による建築物の確認申請を提出する方法は,以下の項目についてチェックをお願いします。
(チェックリストをダウンロードすることができます)

■ 添付図書
添付図書 備考
天空図用図面(配置図等) 前面道路が2以上ある場合は、道路の回り込みによるエリア及び前面道路ごとにそれぞれ図面を作成
道路制限勾配が異なる区域がある場合は、エリアごとにそれぞれ図面を作成
内容半径10cmの天空図 最も厳しい測定点(適合建築物・計画建築物両方)

 

■ 図面記載事項
  記載事項 備考
施行規則
によるもの
方位・縮尺 1/200以上
敷地境界線  
敷地内における適合建築物の位置  
擁壁の位置  
土地の高低 最も厳しい測定点の高さ(高低差緩和を活用する場合は緩和後の高さ)を±0とした場合の高さも記入
高低差区分区域の境界線 隣地高さ制限のみ
適合建築物の各部分の高さ 最も厳しい測定点の高さ(高低差緩和を活用する場合は緩和後の高さ)を±0とした場合の高さも記入
敷地の接する道路の位置・幅員 幅員は道路高さ制限のみ
天空率の測定点  
測定点ごとに算定した天空率 計画建築物、適合建築物の両方
その他 測定点の両端間の距離  
測定点の間隔距離  
各測定点の高さ 高低差緩和後を活用する場合は、緩和後の高さ最も厳しい測定点の高さ(高低差緩和を活用する場合は緩和後の高さ)を±0とした場合の高さも記入
計画建築物の各部分の高さ 最も厳しい測定点の高さ(高低差緩和を活用する場合は緩和後の高さ)を±0とした場合の高さも記入
前面道路の境界線からの後退距離 道路高さ制限のみ
隣地境界線からの後退距離(31m超部分) 隣地高さ制限のみ
道路制限高さの適用距離 計画建築物及び適合建築物が後退している場合は、法56条第2項及び第4項の規定による適用距離
道路制限勾配が異なる区域の境界線 道路高さ制限のみ
前面道路が2以上ある場合等の区域の境界線 道路高さ制限のみ
測定点ごとに算定した天空図 方位を記入

 

■ 適合建築物・計画建築物
  チェック項目
適合 建ぺい率制限、容積率制限、及び絶対高さ制限など他の形態規制は考慮しない
計画 測定点より高い敷地地盤、擁壁、門塀等は、天空率算定の対象。ただし、開放性のあるフェンス等は対象外
階段室等の屋上部分は、建築面積の1/8以下の面積、かつ高さ12m以下でも、天空率算定の対象
棟飾等の屋上突出物は、天空率算定の対象
開放性の大きい屋上手すり、看板、広告塔は対象外
適合建築物よりも後退
後退緩和距離は、施行令第130条の12による算定の特例あり
共通 天空率算定の対象は、道路高さ制限の適用距離の範囲内に限る

まちづくり調整局 建築・宅地指導センター  2006年4月1日作成
ご意見・お問い合わせ
建築・宅地指導センター 建築審査課
審査係  TEL:045-210-9857  FAX:045-681-2437




(参考 : 法第五十六条 全文 (一部斜線制限解説)

【建築物の各部分の高さ】
法第56条  建築物の各部分の高さは,次に掲げるもの以下としなければならない。
一 
別表第3(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域,地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ,前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表()欄に掲げる距離以下の範囲内においては,当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に,同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
(道路高さ(斜線)制限)
別表第3 ⇒ 法別表第3 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」
容積率 ⇒ 法第52条 「容積率」


二 当該部分から隣地境界線までの水平距離に,次に掲げる区分に従い,イ若しくはニに定める数値が1.25とされている建築物で高さが20メートルを超える部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が2.5とされている建築物(ロ及びハに掲げる建築物で,特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあるものを除く。以下この号及び第7項第二号において同じ。)で高さが31メートルを超える部分を有するものにあつては,それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに,イからニまでに定める数値を乗じて得たものに,イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては20メートルを,イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては31メートルを加えたもの
(隣地高さ(斜線)制限)
関連 ⇒ 令第135条の3 「隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限の ... 」

イ 第1種中高層住居専用地域若しくは第2種中高層住居専用地域内の建築物又は第1種住居地域,第2種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。)  1.25(第五十二条第一項第二号の規定により容積率の限度が30/10以下とされている第1種中高層住居専用地域及び第2種中高層住居専用地域以外の地域のうち,特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては,2.5)

ロ 近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。)又は商業地域,工業地域若しくは工業専用地域内の建築物  2.5

ハ 高層住居誘導地区内の建築物であつて,その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の2/3以上であるもの  2.5

ニ 用途地域の指定のない区域内の建築物1.25又は2.5のうち,特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

三 第1種低層住居専用地域若しくは第2種低層住居専用地域内又は第1種中高層住居専用地域若しくは第2種中高層住居専用地域(次条第1項の規定に基づく条例で別表第4の2の項に規定する(一),(二)又は(三)の号が指定されているものを除く。以下この号及び第7項第三号において同じ。)内においては,当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じて得たものに,第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内の建築物にあつては5メートルを,第1種中高層住居専用地域又は第2種中高層住居専用地域内の建築物にあつては10メートルを加えたもの
(北側高さ(斜線)制限)
関連 ⇒ 令第135条の4 「北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各 ... 」
別表第4 ⇒ 法別表第4 「日影による中高層の建築物の制限 (第56条,第56条の2 ... 」

2 前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については,同号中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは,「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。
(道路斜線の後退距離に関する緩和既定)
政令 ⇒ 令第130条の12 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」

3 第1種中高層住居専用地域,第2種中高層住居専用地域,第1種住居地域,第2種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12メートル以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については,同表(に)欄中「1.25」とあるのは,「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては,1.5)」とする。
(前面道路幅員による道路斜線適用範囲の緩和既定)
別表第3 ⇒ 法別表第3 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」

4 前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については,同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と,「前面道路の幅員に」とあるのは「,前面道路の幅員に,当該建築物の後退距離に2を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。
(第3項に関する後退距離の緩和既定)
政令 ⇒ 令第130条の12 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」

5 建築物が第1項第二号及び第三号の地域,地区又は区域の2以上にわたる場合においては,これらの規定中「建築物」とあるのは,「建築物の部分」とする。
(2以上の地区等にまたがる場合の隣地高さ制限及び北側高さ制限)

6 建築物の敷地が2以上の道路に接し,又は公園,広場,川若しくは海その他これらに類するものに接する場合,建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における
前各項の規定の適用の緩和に関する措置は,政令で定める。
(特殊な敷地に対する道路高さ制限,隣地高さ制限及び北側高さ制限の緩和既定)
政令 ⇒ 令第131条 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」
令第135条の3 「隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限の ... 」
令第135条の4 「北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各 ... 」



( 以下「7」:天空率による建築物の高さ制限 )

7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される
採光,通風等と同程度以上の採光,通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については,それぞれ当該各号に掲げる規定は,適用しない。
政令(第一号関連) ⇒ 令第135条の6 「前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制 ... 」
政令(第二号関連) ⇒ 令第135条の7 「隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限を ... 」
政令(第三号関連) ⇒ 令第135条の8 「北側の隣地との関係についての建築物の各部分の高さの ... 」


一 第1項第一号,第2項から第4項まで及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
(道路高さ制限)
政令 ⇒ 令第135条の9 「法第56条第7項第一号の政令で定める位置」

二 第1項第二号,第5項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)隣地境界線からの水平距離が,第1項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16メートル,第1項第二号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
(隣地高さ制限)
政令 ⇒ 令第135条の10 「法第56条第7項第二号の政令で定める位置」

三 第1項第三号,第5項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)隣地境界線から真北方向への水平距離が,第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内の建築物にあつては4メートル,第1種中高層住居専用地域又は第2種中高層住居専用地域内の建築物にあつては8メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
(北側高さ制限)
政令 ⇒ 令第135条の11 「法第56条第7項第三号の政令で定める位置」







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