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建築士法及びその他の法律 (耐震改修促進法〕/〔品確法〕/住宅瑕疵担保履行法/省エネ法)

「 目 次 」

■  k_001 業務の報酬
         第T編 国土交通省告示第十五号(告示)
          建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準
           別添一 
           
別添二 建築物の類型 ・用途
           
別添三 建築物の類型,用途,床面積別 人・時間
           
別添四  1 設計に関する標準業務に附随する標準外の業務
 
                 2 工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務に附随する標準外の業務
        第U編 国土交通省  住宅局長 通知
          建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準
           
【留意事項 1】 「標準業務に含まれない業務の取扱いについて」のまとめ

  k_002 設計業務委託等技術者年度別単価<標準日額>(国土交通省調査)経年推移 (2011.7.26作成) (〜平成23年度 参考)

  k_002-2 設計業務委託等技術者年度別単価<標準日額>(国土交通省調査)経年推移 (22.02.11作成) (〜令和3年度 参考)

  k_003 新しい業務報酬基準を活用した業務報酬の算定事例
        @ 「略算方法による業務量の算定イメージ」
          例 1 本社ビルの場合
          例 2 戸建住宅の場合
          【留意事項 2】
        A 「実費加算方法による業務量の算定」
          例 3 分譲共同住宅の場合〈設計業務のみ〉

■  k_004  建築士事務所の管理

■ 
k_005 
定期講習

■ 
k_006 
定期講習の受講期間

■ 
k_007 
業務に必要な表示行為

■ 
k_008 
構造設計に関する特例

■ 
k_009 
構造設計1級建築士への法適合確認

■  k_010 
構造耐力(建築基準法)
        要約
        高度な専門能力を必要とする一定の建築物における法適合確認等のイメージ

■  k_011 
設備設計に関する特例(建築基準法)

■  k_012  設備設計1級建築士への法適合確認
        
設備設計一級建築士が設計を行う場合
        
設備設計一級建築士が法適合確認を行う場合

■  k_013 
重要事項の説明等
        
重要事項説明書 記入例

■  k_014 
重要事項の説明(施工規則)

■ 
k_015 
書面の交付

■ 
k_016 
非建築士等に対する名義貸しの禁止

■ 
k_017 
名義貸しの禁止

■ 
k_018 
再委託の制限

■ 
k_019 
その設計等の業務が再委託の制限の対象となる多数の者が利用する建築物及びその規模

■ 
k_020 
名簿

■ 
k_021 
1級建築士名簿の閲覧

■ 
k_022 
設計及び工事監理

■ 
k_023 
その他の業務

■ 
k_024 
設計等の業務に関する報告書

■ 
k_025 
設計等の業務に関する報告書(施行規則)

■ 
k_026 
帳簿の備付け等及び図書の保存

■ 
k_027 
帳簿の備付け等及び図書の保存(施行規則)

■ 
k_028 
標識の掲示

■ 
k_029 
書類の閲覧

■ 
k_030 
書類の閲覧(施行規則)

■ 
k_031 
報告及び検査

■ 
k_032 
建築士事務所協会及び建築士事務所協会連合会

■ 
k_033 
苦情の解決

■ 
k_034 
1級建築士でなければできない設計又は工事監理

■ 
k_035 
1級建築士又は2級建築士でなければできない設計又は工事監理

■ 
k_036 
1級建築士,2級建築士又は木造建築士でなければできない設計又は工事監理

■ 
k_037 
建築物の建築等に関する申請及び確認(建築基準法)



■  k_001 業務の報酬

はじめに

新しい設計業務報酬基準について

新しい業務報酬基準は,従来の業務報酬基準と同様に,第一〜第三の
実費加算方式に関する項と第四の略算方法に関する項で構成されている。
略算方法に関し,別添三の
略算表については,建築物の類型が4類型から15類型へ詳細化されるとともに,標準業務量について,構造・設備等の専門分野別の表示の追加,工事費ベースから床面積ベースの表示への変更,人・日から人・時間への単位の変更等の見直しが行われた。


〔建築士法〕
業務の報酬
第25条 国土交通大臣は,中央建築士審査会の同意を得て,建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準を定め,これを勧告することができる。


T 国土交通省告示第十五号(告示)

○ 国土交通省告示第十五号
建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第二十五条の規定に基づき,
建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準を次のように定める。
平成二十一年一月七日
国土交通大臣 金子 一義

第一 業務報酬の算定方法
建築士事務所の開設者が建築物の設計,工事監理,建築工事契約に関する事務又は建築工事の指導監督の業務(以下「設計等の業務」という。)に関して請求することのできる報酬は,複数の建築物について同一の設計図書を用いる場合その他の特別の場合を除き,
第二の業務経費第三の技術料等経費及び消費税に相当する額を合算する方法により算定することを標準とする。

第二 業務経費
業務経費は,次の
からまでに定めるところによりそれぞれ算定される直接人件費特別経費直接経費及び間接経費の合計額とする。この場合において,これらの経費には,課税仕入れの対価に含まれる消費税に相当する額は含まないものとする。

イ 直接人件費
直接人件費は,設計等の業務に直接従事する者のそれぞれについての当該業務に関して必要となる給与,諸手当,賞与,退職給与,法定保険料等の人件費の一日当たりの額に当該業務に従事する
延べ日数を乗じて得た額の合計とする。

ロ 特別経費
特別経費は,出張旅費,特許使用料その他の建築主の特別の依頼に基づいて必要となる費用の合計額とする。

ハ 直接経費
直接経費は,印刷製本費,複写費,交通費等蒙計等の業務に関して直接必要となる費用(ロに定める経費を除く。)の合計額とする。

ニ 間接経費
間接経費は,設計等の業務を行う建築士事務所を管理運営していくために必要な人件費,研究調査費,研修費,減価償却費,通信費,消耗品費等の費用(イからハまでに定める経費を除く。)のうち,当該業務に関して必要となる費用の合計額とする。

第三 技術料等経費
技術料等経費は,設計等の業務において発揮される技術力,創造力等の対価として支払われる費用とする。

第四 直接人件費等に関する略算方法による算定
業務経費のうち直接人件費並びに直接経費及び間接経費の合計額の算定については,第二のイ,ハ又は二にかかわらず,次の
又はに定める算定方法を標準とした略算方法によることができるものとする。ただし,建築物の床面積の合計が,別添二に掲げる建築物の類型ごとに別添三に掲げる床面積の合計の欄に掲げる値のうちの最も小さい値を下回る建築物又は最も大きい値を上回る建築物にあっては,その略算方法によることができないものとする。

イ 直接人件費
設計等の業務でその内容が
別添一に掲げる標準業務内容であるものに係る直接人件費の算定は,別添二に掲げる建築物の類型に応じて,通常当該業務に従事する者一人について一時間当たりに要する人件費別添三に掲げる標準業務人・時間数を乗じて算定する方法

ロ 直接経費及び間接経費の合計額
直接経費及び間接経費の合計額の算定は,
直接人件費の額に1.0を標準とする倍数を乗じて算定する方法

2 前項イに定める算定方法において,標準業務内容のうち一部の業務のみ行う場合は,別添三に掲げる標準業務人・時間数から行われない業務に対応した業務人・時間数を削減することにより算定するものとする。

3 第一項イに定める算定方法において,別添四に掲げる業務内容など標準業務内容に含まれない追加的な業務を行う場合は,別添三に掲げる標準業務人・時間数に当該業務に対応した業務人・時間数を付加することにより算定するものとする。

4 第一項ロに定める算定方法において,直接経費及び間接経費が通常の場合に比べ著しく異なる場合は,乗ずる倍数を調整することにより算定するものとする。

附則
1 この告示は,公布の日から施行する。
2 昭和五十四年建設省告示第千二百六号は,廃止する。


別添一

標準業務は,設計又は工事監理に必要な情報が提供されている場合に,一般的な設計受託契約又は工事監理受託契約に基づいて,その債務を遂行するために行う業務とし,その内容を以下に掲げる。

1 設計に関する標準業務

一 基本設計に関する標準業務
建築主から提供された要求その他の諸条件を設計条件として整理した上で,建築物の配置計画,平面と空間の構成,各部の寸法や面積,建築物として備えるべき機能,性能,主な使用材料や設備機器の種別と品質,建築物の内外の意匠等を検討し,それらを総合して,別添二第一号から第十二号までに掲げる建築物並びに第十三号及び第十四号に掲げる建築物(木造のものを除く。)にあってはロ(1)に,別添二第十三号及び第十四号に掲げる建築物(木造のものに限る。)並びに第十五号に掲げる建築物にあってはロ(2)に掲げる
成果図書を作成するために必要なイに掲げる業務をいう。

イ 業務内容
(省略)

ロ 成果図書
(1)戸建木造住宅以外の建築物に係る成果図書
(省略)

(注)
1 建築物の計画に応じ,作成されない図書がある場合がある。
2 
「総合」とは,建築物の意匠に関する設計並びに意匠,構造及び設備に関する設計をとりまとめる設計を,「構造」とは,建築物の溝造に関する設計を,「設備」とは建築物の設備に関する設計をいう。
3 (2)及び(3)に掲げる成果図書は,(1)に掲げる成果図書に含まれる場合がある。
4 「昇降機等」には,機械式駐車場を含む。
5 「計画説明書」には,設計主旨及び計画概要に関する記載を含む。
6 「設計概要書」には,仕様概要及び計画図に斐する記載を含む。

(2)戸建木造住宅に係る成果図書
(省略)

(注)
1 建築物の計画に応じ,作成されない図書がある場合がある。
2 「総合」とは,建築物の意匠に関する設計並びに意匠,構造及び設備に関する設計をとりまとめる設計を,「構造」とは,建築物の溝造に関する設計を,「設備」とは建築物の設備に関する設計をいう。
3 (2)及び(3)に掲げる成果図書は,(1)に掲げる成果図書に含まれる場合がある。

二 実施設計に関する標準業務
工事施工者が設計図書の内容を正確に読み取り,設計意図に合致した建築物の工事を的確に行うことができるように,また,工事費の適正な見積りができるように,基本設計に基づいて,設計意図をより詳細に具体化し,その結果として,別添二第一号から第十二号までに掲げる建築物並びに第十三号及び第十四号に掲げる建築物(木造のものを除く。)にあってはロ(1)に,別添二第十三号及び第十四号に掲げる建築物(木造のものに限る。)並びに第十五号に掲げる建築物にあってはロ(2)に掲げる
成果図書を作成するために必要なイに掲げる業務をいう。

イ 業務内容
(省略)

ロ 成果図書
(1)戸建木造住宅以外の建築物に係る成果図書
(省略)

(注)
1 建築物の計画に応じ,作成されない図書がある場合がある。
2 「総合」とは,建築物の意匠に関する設計並びに意匠,構造及び設備に関する設計をとりまとめる設計を,「構造」とは,建築物の溝造に関する設計を,「設備」とは建築物の設備に関する設計をいう。
3 「昇降機等」には,機械式駐車場を含む。

(2)戸建木造住宅に係る成果図書
(省略)

(注)
1 建築物の計画に応じ,作成されない図書がある場合がある。
2 「総合」とは,建築物の意匠に関する設計並びに意匠,構造及び設備に関する設計をとりまとめる設計を,「構造」とは,建築物の溝造に関する設計を,「設備」とは建築物の設備に関する設計をいう。
3 別添二第十五号に該当する建築物については,確認申請に必要な図書のみとする。

三 工事施工段階で設計者が行うことに合理性がある実施設計に関する標準業務
工事施工段階において,設計者が,設計意図を正確に伝えるため,前号ロに掲げる成果図書に基づき,質疑応答,説明,工事材料,設備機器等の選定に関する検討,助言等を行う次に掲げる業務をいう。
(省略)


2 工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務

一 工事監理に関する標準業務
前項第二号ロに定める成果図書に基づき,工事を設計図書と照合し,それが設計図書のとおりに実施されているかいなかを確認するために行う次に掲げる業務をいう。

二 その他の標準業務
前項に定める業務と一体となって行われる次に掲げる業務をいう。
(省略)



別添二

建築物の類型

建築物の用途等

第1類
(標準的なもの)
第2類
(複雑な設計等を必要とするもの)
一 物流施設 車庫,倉庫,立体駐車場等 立体倉庫,物流ターミナル等
二 生産施設 組立工場等 化学工場,薬品工場,食品工場,特殊設備を付帯する工場等
三 運動施設 体育館,武道館,スポーツジム等 屋内プール,スタジアム等
四 業務施設 事務所等 銀行,本社ビル,庁舎等
五 商業施設 店舗,料理店,スーパーマーケット等 百貨店,ショッピングセンター,ショールーム等
六 共同住宅 公営住宅,社宅,賃貸共同住宅,寄宿舎等 分譲共同住宅等
七 教育施設 幼稚園,小学校,中学校,高等学校等
八 専門的教育研究施設 大学,専門学校等 大学(実験施設等を有するもの),専門学校(実験施設等を有するもの),研究所等
九 宿泊施設 ホテル,旅館等 ホテル(宴会場等を有するもの),保養所等
十 医療施設 病院,診療所等 総合病院等
十一 福祉・厚生施設 保育園,老人ホーム,老人保健施設,リハビリセンター等 多機能福祉施設等
十二 文化・交流・公益施設 公民館,集会場,コミュティセンター等 映画館,劇場,美術館,博物館,図書館,研修所,警察署,消防署等
十三 戸建住宅(詳細設計及び構造計算を必要とするもの) 戸建住宅

十四 戸建住宅(詳細設計を必要とするもの) 戸建住宅
十五 その他の戸建住宅
戸建住宅

(注)
1.社寺,教会堂,茶室等の特殊な建築物及び複数の類型の混在する建築物は,本表には含まれない。
2.第1類は,標準的な設計等の建築物が通常想定される用途を,第2類は,複雑な設計等が必
要とされる建築物が通常想定される用途を記載しているものであり,略算方法による算定にあたっては,設計等の内容に応じて適切な区分を適用すること。



別添三

1 別添一第1項に掲げる業務内容に係る標準業務人・時間数は,別添二に掲げる建築物の類型ごとに,別表第1の1から別表第15までの表の
(一)設計の欄に掲げるものとする。

2 別添一第2項に掲げる業務内容に係る標準業務人・時間数は,別添二に掲げる建築物の類型ごとに,別表第1の1から別表第15までの表の
(二)工事監理等の欄に掲げるものとする。

3 次に掲げる表において,総合の欄に掲げる標準業務人・時間数は,
(一)設計の欄においては別添一第1項第一号ロ及び第二号ロの各表の(1)総合の欄に掲げる成果図書に係る標準業務人・時間数と,(二)工事監理等の欄においては別添一第1項第二号ロの各表の(1)総合の欄に掲げる成果図書に係る標準業務人・時間数とする。

4 次に掲げる表において,構造の欄に掲げる標準業務人・時間数は,
(一)設計の欄においては別添一第1項第一号ロ及び第二号ロの各表の(2)構造の欄に掲げる成果図書に係る標準業務人・時間数と,(二)工事監理等の欄においては別添一第1項第二号ロの各表の(2)構造の欄に掲げる成果図書に係る標準業務人・時間数とする。ただし,平面及び立面が不整形であるなど特殊な形状の建築物にあっては1.3,軟弱な地盤であるなど特殊な敷地上の建築物にあっては1.2,特殊な敷地上の特殊な形状の建築物にあっては1.4を標準とする倍数を,それぞれ該当する業務人・時間数に乗じたものを標準業務人・時間数とする。

5 次に掲げる表において,設備の欄に掲げる標準業務人・時間数は,
(一)設計の欄においては別添一第1項第一号ロ及び第二号ロの各表の(3)設備の欄に掲げる成果図書に係る標準業務人・時間数と,(二)工事監理等の欄においては別添一第1項第二号ロの各表の(3)設備の欄に掲げる成果図書に係る標準業務人・時間数とする。ただし,中央管理方式の空気調和設備,スプリンクラー設備等の自動式の消火設備などの機能水準が高い設備が設けられる建築物にあっては,1.4を標準とする倍数を該当する業務人・時間数に乗じたものを標準業務人・時間数とする。

6 次に掲げる表において,標準業務人・時間数は,
一級として建築士2年又は二級建築士として7年の建築に関する業務経験を有する者が設計又は工事監理等を行うために必要な業務人・時間数の標準を示したものである。

7 次に掲げる表において,床面積の算定は,建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の
水平投影面積によるものとする。

  別表第1の1 物流施設  (別添二第一号(第1類)関係)                                     (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u

20,000u

(一) 設計 総合 450 550 630 760 880 1,100 1,400 1,600 1,900 2,300 2,600
構造 240 300 350 440 510 640 850 1,100 1,200 1,600 1,800
設備 220 260 290 350 400 470 590 710 800 950 1,100
 (二) 工事
   監理等
総合 250 280 310 350 380 430 500 570 620 710 770
構造 100 110 130 140 160 180 210 240 270 300 330
設備 96 100 110 120 130 140 160 170 180 200 210

 

  別表第1の2 物流施設  (別添二第一号(第2類)関係)                                      (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 1,200 1,400

1,600

2,000 2,500 3,000 3,500 4,200 4,800
構造 350 440 510 640 850 1,100 1,200 1,600 1,800
設備 290 350 400 470 590 710 800 950 1,100
 (二) 工事
   監理等
総合 760 860 940 1,100 1,200 1,400 1,500 1,800 1,900
構造 130 140 160 180 210 240 270 300 330
設備 110 120 130 140 160 170 180 200 210

 

  別表第2の1 生産施設  (別添二第二号(第1類)関係)                                      (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 460 570 670 840 980 1,200 1,600 2,000 2,400 3,000 3,500
構造 270 350 420 540 660 850 1,200 1,500 1,900 2,400 2,900
設備 140 200 250 340 420 570 850 1,200 1,400 2,000 2,500
 (二) 工事
   監理等
総合 380 420 450 500 530 590 670 740 800 880 950
構造 84 110 120 160 180 230 310 390 460 580 680
設備 48 63 76 99 120 160 220 280 340 440 540

 

  別表第2の2 生産施設  (別添二第二号(第2類)関係)                                       (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 1,500 1,800 2,200 2,700 3,600 4,500 5,300 6,600 7,700
構造 420 540 660 850 1,200 1,500 1,900 2,400 2,900
設備 250 340 420 570 850 1,200 1,400 2,000 2,500
 (二) 工事
   監理等
総合 1,100 1,200 1,300 1,400 1,600 1,800 1,900 2,100 2,300
構造 120 160 180 230 310 390 460 580 680
設備 76 99 120 160 220 280 340 440 540

 

  別表第3の1 運動施設  (別添_第二号(第1類)関係)                                          (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 1,300 1,600 1,900 2,300 2,700 3,300 4,300 5,300 6,200
構造 540 630 700 820 920 1,100 1,300 1,500 1,700
設備 490 570 650 760 860 1,000 1,200 1,500 1,600
 (二) 工事
   監理等
総合 710 840 940 1,100 1,300 1,500 1,800 2,200 2,400
構造 250 260 260 270 280 290 310 320 330
設備 190 220 250 290 320 380 460 540 600

 

  別表第3の2 運動施設  (別添_第二号(第2類)関係)                           (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計

総合

2,200 2,700 3,200 3,900 5,100 6,200 7,200
構造 700 820 920 1,100 1,300 1,500 1,700
設備 650 760 860 1,000 1,200 1,500 1,600
 (二) 工事
   監理等
総合 940 1,100 1,300 1,500 1,800 2,200 2,400
構造 260 270 280 290 310 320 330
設備 250 290 320 380 460 540 600


  別表第4の1 業務施設  (別添二第四号(第1類)関係)                                    (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 1,000 1,200 1,400 1,700 1,900 2,300 2,800 3,400 3,800
構造 460 560 640 790 910 1,100 1,400 1,700 2,000
設備 340 450 540 700 850 1,100 1,500 2,000 2,400
 (二) 工事
   監理等
総合 460 520 560 630 690 780 900 1,000 1,100
構造 160 180 190 220 240 260 310 340 370
設備 83 110 140 190 240 330 490 660 830

 

  別表第4の2 業務施設  (別添二第四号(第2類)関係)                                  (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u

20,000u

(一) 設計 総合 2,000 2,400 2,700 3,300 3,700 4,400 5,500 6,500 7,400 8,800 10,000
構造 460 560 640 790 910 1,100 1,400 1,700 2,000 2,500 2,800
設備 340 450 540 700 850 1,100 1,500 2,000 2,400 3,100 3,800
 (二) 工事
   監理等
総合 890 1,000 1,100 1,200 1,300 1,500 1,700 2,000 2,100 2,400 2,600
構造 160 180 190 220 240 260 310 340 370 420 460
設備 83 110 140 190 240 330 490 660 830 1,100 1,400


  別表第5の1 商業施設  (別添二第五号(第1類)関係)                                  (単位  人・時間)

床面積の合計 300u 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 910 1,100 1,200 1,400 1,500 1,700 1,900 2,300 2,600 2,900
構造 310 380 460 520 620 700 840 1,100 1,300 1,400
設備 280 340 400 450 530 590 690 840 990 1,100
 (二) 工事
   監理等
総合 620 660 700 730 770 800 850 910 960 1,000
構造 110 130 150 160 190 200 230 270 300 330
設備 110 130 150 170 190 220 250 300 350 390


  別表第5の2 商業施設  (別添二第五号(第2類)関係)                                     (単位  人・時間)

床面積の合計 300u 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 1,200 1,400 1,600 1,700 2,000 2,200 2,500 3,000 3,400 3,700 4,300 4,700
構造 310 380 460 520 620 700 840 1,100 1,300 1,400 1,700 1,900
設備 280 340 400 450 530 590 690 840 990 1,100 1,300 1,500
 (二) 工事
   監理等
総合 1,200 1,300 1,400 1,400 1,500 1,600 1,700 1,800 1,900 2,000 2,100 2,200
構造 110 130 150 160 190 200 230 270 300 330 370 400
設備 110 130 150 170 190 220 250 300 350 390 450 490

 

  別表第6の1 共同住宅  (別添二第六号(第1類)関係)                           (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 1,100 1,300 1,600 1,900 2,200 2,800 3,600 4,500 5,200
構造 510 630 730 910 1,100 1,300 1,700 2,100 2,500
設備 350 440 510 640 760 950 1,300 1,600 1,900
 (二) 工事
   監理等
総合 570 680 780 940 1,100 1,300 1,600 1,900 2,200
構造 160 200 240 300 360 460 620 790 940
設備 150 180 200 240 270 330 410 490 550

 

  別表第6の2 共同住宅  (別添二第六号(第2類)関係)                           (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 2,400 3,000 3,400 4,300 5,600 6,900 8,100 10,000 12,000
構造 730 910 1,100 1,300 1,700 2,100 2,500 3,000 3,500
設備 510 640 760 950 1,300 1,600 1,900 2,300 2,700
 (二) 工事
   監理等
総合 1,100 1,300 1,500 1,800 2,300 2,700 3,100 3,700 4,200
構造 240 300 360 460 620 790 940 1,200 1,400
設備 200 240 270 330 410 490 540 660 750

 

  別表第7 教育施設  (別添二第七号関係)                                                 (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u

20,000u

(一) 設計 総合 1,100 1,500 1,800 2,300 2,800 3,700 5,200 6,900 8,400 11,000 13,000
構造 400 520 630 830 1,000 1,300 1,900 2,500 3,000 3,900 4,700
設備 420 550 670 880 1,100 1,400 2,000 2,600 3,100 4,100 4,900
 (二) 工事
   監理等
総合 480 650 800 1,100 1,300 1,800 2,700 3,600 4,500 6,100 7,500
構造 120 160 200 280 360 500 760 1,100 1,300 1,900 2,300
設備 170 230 290 390 490 660 970 1,300 1,600 2,200 2,700

 

  別表第8の1 専門的教育・研究施設  (別添二第八号(第1類)関係)                   (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 2,400 2,800 3,100 3,500 4,200 4,800 5,200 6,000 6,600
構造 550 690 820 1,000 1,400 1,700 2,000 2,600 3,000
設備 470 650 820 1,100 1,700 2,400 3,000 4,100 5,200
 (二) 工事
   監理等
総合 790 890 960 1,100 1,300 1,400 1,500 1,700 1,900
構造 220 260 300 350 440 520 590 710 800
設備 200 230 260 310 390 470 530 630 710

 

  別表第8の2 専門的教育・研究施設  (別添二第八号(第2類)関係)                   (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 2,700 3,100 3,400 3,800 4,500 5,200 5,700 6,500 7,200
構造 550 690 820 1,000 1,400 1,700 2,000 2,600 3,000
設備 470 650 820 1,100 1,700 2,400 3,000 4,100 5,200
 (二) 工事
   監理等
総合 1,300 1,500 1,600 1,800 2,100 2,300 2,500 2,800 3,100
構造 220 260 300 350 440 520 590 710 800
設備 200 230 260 310 390 470 530 630 710

 

  別表第9の1 宿泊施設  (別添二第九号(第1類)関係)                             (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計

総合

1,700 2,100 2,500 3,100 4,100 5,100 5,900
構造 990 1,100 1,300 1,400 1,700 1,900 2,100
設備 690 850 990 1,200 1,600 2,000 2,300
 (二) 工事
   監理等
総合 880 990 1,100 1,200 1,400 1,600 1,700
構造 210 260 310 380 500 630 740
設備 210 260 300 360 450 550 620

 

  別表第9の2 宿泊施設  (別添二第九号(第2類)関係)                                    (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 3,200 4,000 4,700 5,800 7,700 9,600 11,000 14,000 16,000
構造 990 1,100 1,300 1,400 1,700 1,900 2,100 2,500 2,700
設備 690 850 990 1,200 1,600 2,000 2,300 2,900 3,300
 (二) 工事
   監理等
総合 2,000 2,300 2,500 2,800 3,200 3,600 3,900 4,400 4,800
構造 210 260 310 380 500 630 740 920 1,100
設備 210 260 300 360 450 550 620 750 860

 

  別表第10の1 医療施設  (別添二第十号(第1類)関係)                              (単位  人・時間)

床面積の合計 300u 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 960 1,300 1,600 1,800 2,300 2,700 3,300 4,400 5,500 6,400
構造 370 480 600 690 850 980 1,200 1,600 1,900 2,200
設備 330 460 600 720 940 1,100 1,500 2,000 2,600 3,200
 (二) 工事
   監理等
総合 490 630 760 870 1,100 1,200 1,500 1,900 2,200 2,600
構造 94 120 140 160 190 220 260 330 390 450
設備 97 130 170 200 260 310 390 530 680 810

 

  別表第10の2 医療施設  (別添二第十号(第2類)関係)                                 (単位  人・時間)

床面積の合計 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u 20,000u
(一) 設計 総合 2,500 3,100 3,600 4,500 5,900 7,400 8,600 11,000 13,000
構造 690 850 980 1,200 1,600 1,900 2,200 2,700 3,100
設備 720 940 1,100 1,500 2,000 2,600 3,200 4,100 4,900
 (二) 工事
   監理等
総合 1,000 1,200 1,400 1,700 2,200 2,600 3,000 3,700 4,200
構造 160 190 220 260 330 390 450 540 610
設備 200 260 310 390 530 680 810 1,000 1,200

 

  別表第11の1 福祉・厚生施設  (別添二第十一号(第1類)関係)                    (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 1,100 1,400 1,700 2,300 2,800 3,600 5,200 6,900 8,400
構造 340 440 530 690 830 1,100 1,500 2,000 2,400
設備 350 480 610 850 1,100 1,500 2,300 3,200 4,000
 (二) 工事
   監理等
総合 760 830 890 970 1,000 1,100 1,300 1,400 1,500
構造 130 150 180 220 250 300 390 470 540
設備 180 220 250 310 360 450 580 720 830

 

  別表第11の2 福祉・厚生施設  (別添二第十一号(第2類)関係)                     (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 1,700 2,200 2,700 3,500 4,300 5,700 8,100 11,000 13,000
構造 340 440 530 690 830 1,100 1,500 2,000 2,400
設備 350 480 610 850 1,100 1,500 2,300 3,200 4,000
 (二) 工事
   監理等
総合 1,600 1,700 1,800 2,000 2,100 2,300 2,600 2,900 3,100
構造 130 150 180 220 250 300 390 470 540
設備 180 220 250 310 360 450 580 720 830

 

  別表第12の1 文化・交流・公益施設  (別添二第十二号(第1類)関係)                          (単位  人・時間)

床面積の合計 300u 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u
(一) 設計 総合 850 1,200 1,500 1,900 2,400 2,900 3,800 5,300 6,900 8,300
構造 430 590 760 920 1,200 1,400 1,800 2,500 3,300 3,900
設備 230 360 510 650 930 1,200 1,700 2,700 3,900 5,000
 (二) 工事
   監理等
総合 380 530 690 840 1,100 1,300 1,700 2,400 3,100 3,800
構造 130 170 210 250 310 370 460 610 770 910
設備 180 250 320 380 500 600 770 1,100 1,400 1,700

 

  別表第12の2 文化・交流・公益施設  (別添二第十二号(第2類)関係)                         (単位  人・時間)

床面積の合計 500u 750u 1,000u 1,500u 2,000u 3,000u 5,000u 7,500u 10,000u 15,000u

20,000u

(一) 設計 総合 1,800 2,300 2,800 3,600 4,400 5,700 7,900 10,000 12,000 16,000 19,000
構造 590 760 920 1,200 1,400 1,800 2,500 3,300 3,900 5,000 6,000
設備 360 510 650 930 1,200 1,700 2,700 3,900 5,000 7,100 9,100
 (二) 工事
   監理等
総合 970 1,300 1,500 2,000 2,400 3,100 4,400 5,700 6,900 9,000 11,000
構造 170 210 250 310 370 460 610 770 910 1,100 1,300
設備 250 320 380 500 600 770 1,100 1,400 1,700 2,100 2,600

 

  別表第13 戸建住宅(詳細設計及び構造計算を必要とするもの)
  (別添二第十三号(第1類)関係)

                                    (単位  人・時間)

床面積の合計 100u 150u 200u 300u
(一) 設計 総合 710 760 800 860
構造 140 180 220 290
設備 110 130 140 150
 (二) 工事
   監理等
総合 180 240 290 390
構造 30 48 66 100
設備 38 49 59 77

 

  別表第14 戸建住宅(詳細設計を必要とするもの)
  (別添二第十四号(第1類)関係)

                                   (単位  人・時間)

床面積の合計 100u 150u 200u 300u
(一) 設計 総合 350 490 610 850
構造 81 97 110 130
設備 110 130 140 150
 (二) 工事
   監理等
総合 180 240 290 390
構造 30 48 66 100
設備 38 49 59 77

 

  別表第15 その他の戸建住宅  (別添二第十五号(第1類)関係)
                               (単位  人・時間)

床面積の合計 100u 150u 200u 300u
(一) 設計 270 360 430 570
 (二) 工事監理等 120 170 210 290



別添四

1 設計に関する標準業務に附随する標準外の業務

設計受託契約に基づき,別添一第1項に掲げる設計に関する標準業務に附随して実施される業務は,次に掲げるものとする。

一 住宅の品質の確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する
住宅性能評価に係る業務
二 エネルギーの使用の合理化に関する法律第73条第1項に規定する建築物の外壁,窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備等に係る
エネルギーの効率的利用のための判断に係る業務
三 建築物の断熱性や快適性など建築物の環境性能の総合的な評価手法(
建築物総合環境性能評価システム(CASBEE))等による評価に係る業務
四 建築物の耐震改修の促進に関する法律第2条第1項に規定する
耐震診断その他建築物の地震に対する安全性の評価に係る業務
五 建築物の
防災に関する計画の作成に係る業務
六 建築主が第三者に有償で委託した
設計の代替案に関する評価に係る業務
七 設計に係る成果図書に基づく
詳細工事費の算定に係る業務

2 工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務に附随する標準外の業務

工事監理受託契約に基づき,別添一第2項に掲げる工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務に附随して実施される業務は,次に掲げるものとする。

一 住宅の品質の確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する
住宅性能評価に係る業務
二 建築物の断熱性や快適性など建築物の環境性能の総合的な評価手法(
建築物総合環境性能評価システム)等による評価に係る業務
三 建築主と工事施工者の
工事請負契約の締結に関する協力に係る業務



U編 建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準について
住宅局長 通達

国住指第3932号
平成21年1弓7日
都道府県知事あて  国土交通省住宅局長

建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準について

建築士法第二十五条の規定に基づき,建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準が国土交通大臣により定められ,平成二十一年一月七日付けで別添のとおり告示されたところであるが,下記事項に留意のうえ,この基準が業務報酬の合理的かつ適正な算定に資するよう,貴管内の建築士事務所,発注者等に対して,関係団体を通じる等によって周知徹底を図られたい。
なお,建築士事務所による設計等の業務の適切かつ円滑な実施の推進にあたっては,
建築士法に基づく重要事項の説明や書面の交付による契約内容等の明確化が求められているので,建築士事務所の適切な業務実施体制が整備されるよう,より一層の指導を推進されるよう併せてお願いする。


1 業務報酬基準の趣旨・目的
業務報酬の基準を定める目的は,業務報酬の合理的かつ適正な算定に資することにより,ひいては,建築士事務所による設計等の業務の適切かつ円滑な実施の推進に資することである。
なお,この基準は,当事者間の契約に基づいて,
個別の事情に応じた業務報酬の算定を行うことを妨げるものではない。

2 業務報酬算定方法
この基準は,業務報酬の算定基礎を明確にするため,業務の具体的な内容と数量的に対応する経費(
業務経費)及び建築士事務所の業務経験や情報の蓄積等に基づいて発揮される技術力,創造力等の対価としての経費(技術料等経費)によって構成する方法を標準としている。
なお,この基準は,設計,工事監理,建築工事契約に関する事務又は建築工事の指導監督の業務を対象としており,
建築物に関する調査又は鑑定,建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理その他の業務は対象外である。
また,この基準は,個別の業務内容に対応して経費を算定することができる一般的な業務を前提とするものであり,いわゆる標準設計による場合,複数の建築物について同一の設計図書を用いる場合,設計内容が特に芸術的性格が強い場合,極めて特殊な構造方法等を採用する場合等で,
この算定方法が必ずしもなじまない場合においては,他の合理的な算定方法によることが適切である。

3 技術料等経費
技術料等経費は,建築士事務所の業務経験や情報の蓄積等に基づいて発揮される技術力,創造力等の対価であり,個別の事情に応じて,契約前に当事者間の協議を行い,定められるのが適切である。

4 直接人件費等に関する略算方法による算定

(1)直接人件費等に関する略算方法
直接人件費又は直接経費及び間接経費の算定については,業務に従事する者の構成が複雑な場合,並行して他の業務に従事していて当該業務に従事する時間数を区分して算定することが困難な場合,当該業務に係る経費を他の業務に係る経費と区分して算定することが困難な場合等が多い実情にかんがみ,
略算方法を示すこととした。
標準業務人・時間数は,実態調査に基づき,床面積の合計が別添三に記載されている値の建築物に係る標準業務人・時間数を定めるものであり,床面積の合計が,別添三に掲げる値のうちの最も小さい値を下回る建築物又は最も大きい値を上回る建築物にあっては,調査対象外の規模であることから,略算方法によることができないものとしている。
なお,標準業務人・時間数は,建築物を新築する場合を前提としているので,建築物の増改築又は修繕・模様替え,設計変更などに係る業務量の算定に際しては,標準業務人・時間数をそのまま適用することは不適切であり,別途適切な方法により算定する必要がある。これは,複数の類型の混在する建築物に係る業務量の算定にあっても,同様である。
また,各建築士事務所において略算方法を用いる場合には,この基準で定める標準業務内容等を参考として,各建築士事務所ごとに,直接人件費の算定については業務内容及び業務人・時間数表を,直接経費及び間接経費の算定についてはその合計と直接人件費との割合を,あらかじめ定めておく等の措置をとることが望ましい。

(2)直接人件費
直接人件費については,設計等の業務の個別の実態にかかわらず,標準業務内容に対応する標準業務人・時間数に基づいて算定することができることとしたものである。標準業務内容のうち
一部のみを行う場合や標準業務内容に含まれない追加的な業務を行う場合は,標準業務人・時間数に一定の業務人・時間数を加減することにより,個別の建築物に係る業務人・時間数を算定することとしている。

(イ)標準業務内容
標準業務は,設計又は工事監理に必要な情報が提示されている場合に,一般的な設計受託契約又は工事監理受託契約に基づいて,その債務を履行するために行う業務である。従って,標準業務は,建築物の
敷地の選定に係る企画業務,資金計画等の事業計画の策定に係る企画業務土質や埋蔵文化財に係る調査業務など設計に必要な情報を得るための調査,企画等に係る業務が,別途実施されていることを前提としている。

(ロ)標準業務人・時間数
標準業務人・時間数は,別添二に掲げるそれぞれの類型の建築物について,設計等の業務でその内容が標準業務内容であるものを行う場合に必要となる業務人・時聞数を示すものである。

(ハ)標準業務内容に含まれない追加的な業務
標準業務に附随する標準外の業務については,
別添四に掲げる業務内容のほか,成果図書以外の資料(別添一及び別添四に掲げるものを除く法令手続のための資料竣工図等)の作成,風洞実験等の実施,第三者への説明など,建築主から特に依頼された業務を標準業務に附随して行う場合には,標準業務人・時間数に当該業務に対応した業務人・時間数を付加することにより算定することとしている。
これらの追加的な業務については,個別の事例において,契約前に当事者間の協議を行い,適切な合意を得た上で,その業務内容や報酬額について,契約等として明らかにしておくことが適切である。また,契約後に当初想定されなかった業務を建築主から依頼された場合にあっても,速やかに当事者間の協議を行い,予め適切な合意を得た上で,その業務内容や報酬額について明らかにしておくことが適切である。



【留意事項 1】

「標準業務に含まれない業務の取扱いについて」のまとめ

標準業務人・時間数は,標準業務内容を実施した場合の標準的な業務量です。業務報酬基準に定める標準業務は,建築士(建築士事務所)が行う多岐にわたる業務の中から,一般的な場合に共通性の高い業務を抽出したものであり,標準業務内容に含まれない業務については,
標準業務人・時間数とは別に,業務量や業務報酬を考慮する必要があります。
標準業務人・時間数に業務量が含まれていないものとしては,具体的に以下のようなものがあります。

別添四(設計及び工事監理に関する標準業務に附随する標準外の業務)の標準業務内容に付随して行われる追加的な業務
業務報酬基準上,追加的な業務として泣置づけられ,略算方法において,標準業務入・時間数を付加することにより算定します。
住宅性能評価に係る業務
・ 省エネルギー法に基づく省エネルギーのための判断に係る業務
・ 建築物総合環境性能評価システム
(CASBEE)等による評価に係る業務
・ 耐震診断等の評価に係る業務
・ 建築物の防災に関する計画の作成に係る業務
・ 建築主が第三者に有償で委託した設計の代替案に関する評価に係る業務
・ 設計に係る成果図書に基づく詳細工事費の算定に係る業務
・ 建築主と工事施工者の工事請負契約の締結に関する協力に係る業務
など

標準業務内容に含まれない追加的な業務
業務報酬基準上,追加的な業務として泣置づけられ,略算方法において,標準業務入・時間数を付加することにより算定します。
・ 成果図書以外の資料(別添一及び別添四に掲げるものを除く法令手続のための資料,竣工図等)の作成
・ 風洞実験等の実施
・ 第三者への説明
など 

標準業務内容以外の設計に必要な情報を得るための調査,企画等に係る業務
業務報酬基準の対象外です。
・ 敷地の選定に係る企画業務
・ 資金計画等の事業計画の策定に係る企画業務
・ 土質や埋蔵文化財に係る調査業務
など

標準的な規模の単一用途の新築建築物でない場合の設計等の業務
業務報酬基準上,略算方法によることができない(なじまない)業務として位置づけられています。
・ 規模が著しく大きい又は小さい場合(床面積の合計が別添三の最大値超又は最小値未満である場合)の設計等の業務
・ 建築物の増改築,修繕・模様替え又は設計変更の場合の設計等の業務
・ 複合建築物(複数の類型が混在する建築物)である場合の設計等の業務
など

個別の業務に応じて経費を算定することが適当でない場合等の設計等の業務
業務報酬基準上,実費加算方法がなじまない業務として位置づけられています。
・ いわゆる標準設計による場合の設計等の業務
・ 複数の建築物について同一の設計図書を用いる場合の設計等の業務
・ 設計内容が特に芸術的性格が強い場合の設計等の業務
・ 極めて特殊な構造方法等を採用する場合の設計等の業務
など



  k_002 設計業務委託等技術者年度別単価<標準日額>(国土交通省調査)経年推移 (2011.7.26作成) (〜平成23年度 参考)

技術者の職種 業務経験年数等による技術者の区分モデル 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 建築士等の資格 ・ 業務経験等による区分
円/日 換算率 円/日 換算率 円/日 換算率 円/日 換算率 円/日 換算率 円/日 換算率 円/日 換算率
主任技術者

57,300

55,200 52,800 54,100 55,800 56,900 56,600

理事・技師長 技術者A 53,800 2.14 53,000 2.05 51,400 1.98 51,600 1.98 52,400 2.00 52,100 1.97 51,800 1.98 一級建築士取得後18年以上,または二級建築士取得後23年以上の業務経験のあるもの,及び大学卒業後23年以上相当の能力のあるもの
主任技師 技術者B 47,700 1.90 46,300 1.79 45,800 1.76 45,900 1.77 47,100 1.80 45,900 1.73 45,300 1.73 一級建築士取得後13年以上18年未満,または二級建築士取得後18年以上23年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後18年以上相当の能力のあるもの
技師(A) 技術者C 42,100 1.68 40,100 1.55 38,300 1.47 38,300 1.47 39,300 1.50 38,900 1.47 38,900 1.48 一級建築士取得後8年以上13年未満,または二級建築士取得後13年以上18年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後13年以上相当の能力のあるもの
技師(B) 技術者D 31,300 1.25 32,100 1.24 30,300 1.17 30,500 1.17 31,300 1.19 31,300 1.18 31,600 1.21 一級建築士取得後3年以上8年未満,または二級建築士取得後8年以上13年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後8年以上相当の能力のあるもの
技師(C) 技術者E 25,100 1.00 25,900 1.00 26,000 1.00 26,000 1.00 26,200 1.00 26,500 1.00 26,200 1.00 一級建築士取得後3年未満,または二級建築士取得後5年以上8年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後5年以上相当の能力のあるもの
技術員 技術者F 21,200 0.84 21,500 0.83 22,100 0.85 22,100 0.85 22,400 0.85 23,000 0.87 22,700 0.87 上記各欄に該当しないもの

換算率とは「業務経験年数等による技術者の区分モデル」のうち「技術者E」「1」としたときの業務能力の換算係数
例1 ・・・技術者Eが「技術者Bの行う業務内容(業務量:a人・日)」を行う場合に要する業務量は「
a人・日×1.73」となる(平成23年度の換算率使用)
例2 ・・・技術者Bが「技術者Eの行う業務内容(業務量:b人・日)」を行う場合に要する業務量は「
b人・日÷1.73」となる(平成23年度の換算率使用)



  k_002-2 設計業務委託等技術者年度別単価<標準日額>(国土交通省調査)経年推移 (22.02.11作成) (〜令和3年度 参考)

技術者の職種 業務経験年数等による技術者の区分モデル 平成31年度 令和2年度 令和3年度 建築士等の資格 ・ 業務経験等による区分
円/日 換算率 円/日 換算率 円/日 換算率
主任技術者

68,800

69,800 <69,800>

理事・技師長 技術者A 63,500 1.98 64,800 1.98 65,500 2.00 一級建築士取得後18年以上,または二級建築士取得後23年以上の業務経験のあるもの,及び大学卒業後23年以上相当の能力のあるもの
主任技師 技術者B 53,800 1.68 55,300 1.69 57,400 1.75 一級建築士取得後13年以上18年未満,または二級建築士取得後18年以上23年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後18年以上相当の能力のあるもの
技師(A) 技術者C 47,500 1.48 48,700 1.49 51,200 1.47 一級建築士取得後8年以上13年未満,または二級建築士取得後13年以上18年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後13年以上相当の能力のあるもの
技師(B) 技術者D 39,100 1.22 40,600 1.24 <40,600> 1.24 一級建築士取得後3年以上8年未満,または二級建築士取得後8年以上13年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後8年以上相当の能力のあるもの
技師(C) 技術者E 32,000 1.00 32,700 1.00 32,800 1.00 一級建築士取得後3年未満,または二級建築士取得後5年以上8年未満の業務経験のあるもの,及び大学卒業後5年以上相当の能力のあるもの
技術員 技術者F 26,400 0.83 27,900 0.85 29,000 0.88 上記各欄に該当しないもの

注) < >書きは、特別措置によりコロナ禍の影響を考慮した単価を示している。

換算率とは「業務経験年数等による技術者の区分モデル」のうち「技術者E」「1」としたときの業務能力の換算係数
例1 ・・・技術者Eが「技術者Bの行う業務内容(業務量:a人・日)」を行う場合に要する業務量は「
a人・日×1.73」となる(平成23年度の換算率使用)
例2 ・・・技術者Bが「技術者Eの行う業務内容(業務量:b人・日)」を行う場合に要する業務量は「
b人・日÷1.73」となる(平成23年度の換算率使用)



  k_003 新しい業務報酬基準を活用した業務報酬の算定事例

「人件費単価」について,「誤解」,「誤認に基づく解説」等がインターネットの投稿等に散見されますので,告示第15号の正しい理解による活用をしていただくために,@「略算方法による業務量の算定イメージ」及びA「実費加算方法による業務量の算定」の説明(留意点)をします。

@ 「略算方法による業務量の算定イメージ」

略算方法による算定における,「略算表」の「標準業務量(人・時間)」は
「一級建築士として2年又は二級建築士として7年の建築に関する業務経験を有する者(以下「技術者Eという。)」が「標準業務(設計又は工事監理等)」を「すべて一人」で行うと仮定した場合(ランクの異なる技術者が業務を行う場合には,技術者ランクの換算率等を用いて換算した数値を用います。)に必要な業務量(人・時間)の標準を示したものです。(告示別添三の6)したがって,直接人件費を算定する際の「人件費の単価」は,国土交通省が毎年度公示している業務経験年数等による技術者のモデル区分による技術者Eの単価であり,この単価を準用するか,Eランクに相当する技術者の人件費を各々の建築士事務所が適切に,かつ,任意に設定する単価によることになります。


略算方法による業務報酬の算定例

例 1 本社ビルの場合

◇建築物の概要

敷地 整形・平坦な敷地
用途 本社ビル
延べ面積 10,000u
構造種別 RC造
階数 地上7階 地下1階
構造 平面及び立面が不整形
設備 中央管理万式の空調設備等


1.建築物の15類型から該当する用途を探し,対象となる略算表を選択する。

2.該当する床面積に記載された業務人・時間数を引き出す。

別表第4の2 業務施設  (別添二第四号(第2類)関係)
     (単位  人・時間)

床面積の合計 10,000u
(一) 設計 総合 7,400
構造 2,000
設備 2,400
(二) 工事
   監理等
総合 2,100
構造 370
設備 830


3.構造,設備の標準業務量を建物形状や敷地特性,設備の機能水準など難易度に応じて調整()し,業務量を算定する。
ここでは構造1.3倍,設備1.4倍

◇標準業務量(人・時間)の算定 〈略算表(別表第4の2(業務施設第2類))〉より

設計 工事監理等
総合 7,400 2,100
構造 2,000×1.3=2,600 370×1.3=481
設備 2,400×1.4=3,360 830×1.4=1,162
小計

13,360

3,743

合計

17,103

※この数値は技術者E(総合,構造,設備)がすべて1人で行うのに必要な業務量(人・時間)です。


◇業務報酬の算定 (国土交通省告示第十五号の略算方法)

業務報酬=

@「a.直接人件費」+「b.直接経費+間接経費」
=(17,103人・時間+A人・時間)×
単価B円/人・時間×2.0

A特別経費
a,直接人件費

b.直接経費+間接経費の合計額
標準業務量
     17,103人・時間

×

 人件費単価
B円/人・時間
B技術料等経費
追加的な業務量
(実施する場合)A人・時間


4.こうして求めた業務人・時間数に建築士の人件費単価を乗算し,さらに2倍し,業務報酬を算定する。
ここでは,参考として「平成23年度設計業務委託等技術者単価」の職種別基準日額に基づき算定すると,上表@算定式における人件費単価Bは技術者Eの単価26,200円/人・日÷8時間=3,275円/人・時間となります。
直接経費と間接経費の合計は直接人件費の100%として算出するため,2倍している。(国土交通省告示第十五号の略算方法による)

設計 工事監理等
総合 7,400×3,250×2
=48,100,000円
2,100×3,250×2
=13,650,000円
構造 2,600×3,250×2
=16,900,000円
481×3,250×2
=3,126,500円
設備 3,360×3,250×2
=21,840,000円
1,162×3,250×2
=7,553,000円
小計

86,840,000円

24,329,500円

合計

11,1169,500円

5.さらに,「合計」に「特別経費や技術料等経費」及び「消費税」を加え,報酬総合計を算定する

注意).
標準業務人・時間数とは別に,業務量や業務報酬を考慮する必要があ
る業務があります。
参照 →
【留意事項 1】



例 2 戸建住宅の場合

◇建築物の概要

敷地 整形・平坦な敷地
用途 戸建住宅(詳細設計を必要とするもの)
延べ面積 150u
構造種別 木造
階数 地上2階
構造 一般的な水準
設備 一般的な水準


略算表

  別表第14 戸建住宅(詳細設計を必要とするもの)
  (別添二第十四号(第1類)関係)

                                         (単位  人・時間)

床面積の合計 100u 150u 200u 300u
(一) 設計 総合 350 490 610 850
構造 81 97 110 130
設備 110 130 140 150
 (二) 工事
   監理等
総合 180 240 290 390
構造 30 48 66 100
設備 38 49 59 77


◇標準業務量(人・時間)の算定 〈略算表(別表第14(詳細設計を必要とするもの))〉より

設計 工事監理等
総合 490 240
構造 97 48
設備 130 49
小計

717

337

合計

1,054

※この数値は技術者E(総合,構造,設備)がすべて1人で行うのに必要な業務量(人・時間)です。

◇業務報酬の算定 (国土交通省告示第十五号の略算方法)

業務報酬=

@「a.直接人件費」+「b.直接経費+間接経費」
=(1,054人・時間+A人・時間)×
単価B円/人・時間×2.0

A特別経費
a,直接人件費

b.直接経費+間接経費の合計額
標準業務量
     1,054人・時間

×

 人件費単価
B円/人・時間
B技術料等経費
追加的な業務量
(実施する場合)A人・時間


この例では,某アトリ工事務所の直接人件費の算出における
単価Bについて説明します。某アトリ工の独自の「人件費単価」を一級建築士取得18年以上(技術者A)相当分の単価(51,500円/人・日)と仮定しますと,技術者Aは「技術者区分モデル」の業務能力の換算率が1.98(技術者Eの業務効率の1.98倍)であるので,某アトリエの人件費単価を換算率1.98で除した数値(下表)が上表@の算定式の人件費単価Bとなります。

         (某アトリエの人件費単価) (換算率)(1日当たり就労時間〉             (技術者Eの人件費単価)
人件費単価B = 51,500円/人・日 ÷ 1.98 ÷ 8時間 ≒ 26,000円/人・日 ÷ 8 ≒ 3,250円/人・時間


こうして求めた業務人・時間数に建築士の人件費単価を乗算し,さらに2倍し,業務報酬を算定する。
直接経費と間接経費の合計は直接人件費の100%として算出するため,2倍している。(国土交通省告示第十五号の略算方法による)

設計 工事監理等
総合 490×3,250×2
=3,185,000円
240×3,250×2
=1,560,000円
構造 97×3,250×2
=630,500円
48×3,250×2
=312,000円
設備 130×3,250×2
=845,000円
49×3,250×2
=318,500円
小計

4,660,500円

2,190,500円

合計

6,851,000円

さらに,「合計」に「特別経費や技術料等経費」及び「消費税」を加え,報酬総合計を算定する

注意).
標準業務人・時間数とは別に,業務量や業務報酬を考慮する必要がある業務があります。

参照 →
【留意事項 1】



【留意事項 2】

略算方式による算定における直接人件費の考え方は,
業務内容が同じ場合に技術者の業務能力に関係なく一定金額ということを原則としています。したがって,略算方法で算出する場合は技術者Eがすべて一人で業務を行うのに要する業務人・時間数を標準として技術者Eの人件費単価を乗じることにより算出します。つまり告示の業務量を実際に業務を行った人数倍したり,他の技術者区分のモデル技術者の単価を用いることは出来ません。

換算率とは,国士交通省の「設計業務委託等技術者年度別単価」(別紙1)の技術者の職種別墓準日額に基づき,技術者Eを1としたときの換算係数のこと。



A 「実費加算方法による業務量の算定」

実費加算方法による直接人件費の考え万は,当該業務を遂行するために必要な
建築士事務所の担当技術者の人件費の合計であり,各々の技術者の業務量に各々の人件費単価を乗じた額の総和として算定するものです。つまり,建築士事務所の実績に基づく積み上げ方法と言い換えることができます。

例 3 分譲共同住宅の場合〈設計業務のみ〉

◇建築物の概要

敷地 整形・平坦な敷地
用途 分譲共同住宅
延べ面積 5,000u
構造種別 RC造
階数 地上7階
構造 ピロティを有し,かつ液状化対策が必要な地盤
設備 一般的な水準

                                                         

 ◇業務量(人・時間)及び直接人件費の算定 〈 表−1 〉

 略算方法との比較 〈 表−2 〉

担当技術者

〈 区分モデル 〉
人件費単価
(ハ)
〈 円/時間 〉
業務量
(イ)
〈 人・時間 〉
人件費
(イ)×(ハ)
〈 円 〉
技術者E
換算率
(ロ)
換算後の
業務量
(イ)×(ロ)
〈 人・時間 〉
略算表
別表第6の2
共同住宅2類
〈 人・時間 〉
総合 技術者A a 350 350 × a 1.98 693

5,600

技術者C c 1,350 1,350 × c 1.48 1,998
技術者E e 3,000 3,000 × e 1.00 3,000

小計(1)

4,700 350a+1,350c+3,000e 小計 5,691
構造 技術者B b 200 200 × b 1.73 346

1,700×1.4(※)=2,380


※:難易度補正係数

技術者E e 1,200 1,200 × e 1.00 1,200
技術者F f 1,000 1,000 × f 0.87 870

小計(2)

2,400 200b+1,200e+1,000f 小計 2,416
設備 技術者A a 50 50 × a 1.98 99

1,300

技術者B b 200 200 × b 1.73 346
技術者E e 900 900 × e 1.00 900

小計(3)

1,150 50a+200b+900e

小計

1,345
合計

8,250

400a+400b+1,350c
+5,100
e+1,000f

合計

9,452

9,280

実費加算方法における直接人件費は,〈 表−1 〉のように,担当技術者の各業務量(イ)に人件費単価(ハ)を乗じた数値の総和として算定します。

なお,「換算率」の活用と理解のために〈表−2 〉において,各担当技術者の行う業務内容を技術者Eが行うために要する業務量(人・時間)に換算したときの数値(換算後の業務量)を算出し,略算表による業務量との比較をしています。これは,
「実費加算万法による業務量」と「略算万法による業務量」の概ねの違いを検討するために「技術者E」に換算するとも言えます。当然,このときの乗じる人件費単価は技術者Eの単価となります。

また,〈 表−2 〉の構造欄において,「換算後の業務量」を使って逆算による「
難易度補正係数」の検証にも活用できます。ここでは,2,416÷1,700≒1.42ということになります。

注意).
標準業務人・時間数とは別に,業務量や業務報酬を考慮する必要がある業務があります。

参照 →
【留意事項 1】



■  k_004 建築士事務所の管理

〔建築士法〕
建築士事務所の管理

第24条 建築士事務所の開設者は,1級建築士事務所,2級建築士事務所又は木造建築士事務所ごとに,それぞれ当該1級建築士事務所,2級建築士事務所又は木造建築士事務所を管理する専任の1級建築士,2級建築士又は木造建築士を置かなければならない。

2 前項の規定により置かれる建築士事務所を管理する建築士(以下「
管理建築士」という。)は,建築士として3年以上の設計その他の国土交通省令で定める業務に従事した後,第26条の5第1項の規定及び同条第2項において準用する第10条の23から第10条の25までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(以下この章において「登録講習機関」という。)が行う別表第3講習の欄に掲げる講習の課程を修了した建築士でなければならない
国土交通省令で定める業務 ⇒ 規第20条の5 「管理建築士の業務要件」
別表第3 ⇒ 法別表第3 「第24条,第26条の5関係」 → 「管理建築士講習」

3 管理建築士は,その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括し,その者と建築士事務所の開設者が異なる場合においては,建築士事務所の開設者に対し,技術的観点からその業務が円滑かつ適正に行われるよう必要な意見を述べるものとする。



■  k_005  定期講習

〔建築士法〕
定期講習

第22条の2 次の各号に掲げる建築士は,
3年以上5年以内(3年ごと)において国土交通省令で定める期間ごとに,次条第1項の規定及び同条第2項において準用する第10条の23から第10条の25までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(次条において「登録講習機関」という。)が行う当該各号に定める講習を受けなければならない
別表第2 ⇒ 法別表第2 「第22条の2,第22条の3関係」
国土交通省令で定める期間 ⇒ 規第17条の36 「定期講習の受講期間」
一 1級建築士(第23条第1項の
建築士事務所に属するものに限る。)  別表第2(1)の項講習の欄に掲げる講習
二 2級建築士(第23条第1項の建築士事務所に属するものに限る。)  別表第2(2)の項講習の欄に掲げる講習
三 木造建築士(第23条第1項の建築士事務所に属するものに限る。)  別表第2(3)の項講習の欄に掲げる講習
四 構造設計1級建築士  別表第2(4)の項講習の欄に掲げる講習
五 設備設計1級建築士  別表第2(5)の項講習の欄に掲げる講習


参考)
定期講習は,1日間(一級建築士の場合,6時間程度)です。
一級建築士の場合,5時間の講義の後,1時間の○×式の修了考査が実施されます。
構造設計一級建築士/設備設計一級建築士についても,定期講習の受講が義務づけられます。




■  k_006  定期講習の受講期間

〔建築士法施行規則〕
定期講習の受講期間

第17条の36 法第22条の2の国土交通省令で定める期間は,法第22条の2各号に掲げる建築士が同条各号に規定する講習のうち直近のものを受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して
3年とする。



■  k_007  業務に必要な表示行為

〔建築士法〕
業務に必要な表示行為

第20条 1級建築士,2級建築士又は木造建築士は,設計を行った場合においては,その設計図書に1級建築士,2級建築士又は木造建築士である旨の表示をして
記名及び押印をしなければならない。設計図書の一部を変更した場合も同様とする。

2 1級建築士,2級建築士又は木造建築士は,
構造計算によって建築物の安全性を確かめた場合においては,遅滞なく,国土交通省令で定めるところにより,その旨の証明書(安全証明書)を設計の委託者に交付(※1)しなければならない。ただし,次条第1項又は第2項の規定の適用がある場合は,この限りでない。
国土交通省令で定める ⇒ 規第17条の14の2 「構造計算によって建築物の安全性を確かめた旨の証明書(安全証明書)
(以下,3〜5項 省略)

※1 交付の義務は構造計算を行った建築士にある。したがって,下請け建築士事務所の建築士が構造計算を行った場合は,下請け建築士事務所の建築士のみに交付の義務があり,当該建築士から,元請け建築士事務所に対して証明書が交付されることになる。
ただし,建築基準法施行規則の改正により,確認申請書の添付書類に該当証明書の写しが位置づけられている。そのため元請建築士事務所は,下請け建築士事務所から受領した証明書を,建築主に引き渡す必要があると規定された。

安全証明書 → 第四号の二書式(第十七条の十四の関係)(A4) 構造計算によって建築物の安全性を確かめた旨の証明書



■  k_008  構造設計に関する特例

〔建築士法〕
構造設計に関する特例

第20条の2 
構造設計1級建築士は,第3条第1項に規定する建築物のうち建築基準法第20条第一号又は第二号に掲げる建築物に該当するものの構造設計を行った場合においては,前条第1項の規定によるほか,その構造設計図書に構造設計1級建築士である旨の表示をしなければならない。構造設計図書の一部を変更した場合も同様とする。

2 
構造設計1級建築士以外の1級建築士は,前項の建築物の構造設計を行った場合においては,国土交通省令で定めるところにより,構造設計1級建築士に当該構造設計に係る建築物が建築基準法第20条(第一号又は第二号に係る部分に限る。)の規定及びこれに基づく命令の規定(以下「構造関係規定」という。)に適合するかどうかの確認を求めなければならない。構造設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
国土交通省令で定める ⇒ 規第17条の17の2 「構造設計1級建築士への法適合確認

3 
構造設計1級建築士は,前項の規定により確認を求められた場合において,当該建築物が構造関係規定に適合することを確認したとき又は適合することを確認できないときは,当該構造設計図書にその旨を記載するとともに,構造設計1級建築士である旨の表示をして記名及び押印をしなければならない。
4 
構造設計1級建築士は,第2項の規定により確認を求めた1級建築士から請求があったときは,構造設計1級建築士証を提示しなければならない。



■  k_009  構造設計1級建築士への法適合確認

〔建築士法施行規則〕
構造設計1級建築士への法適合確認

第17条の17の2 法第20条の2第2項の規定による確認は,次に掲げる図書及び書類の審査により行うものとする。
一 建築基準法施行規則第1条の3第1項の表1の各項に掲げる図書
二 構造設計図書
三 建築基準法第20条第二号イの認定を受けたプログラムによる構造計算によって安全性を確かめた場合にあっては,当該認定に係る認定書の写し,当該プログラムによる構造計算を行うときに電子計算機(入出力装置を含む。)に入力した構造設計の条件並びに構造計算の過程及び結果に係る情報を記録した磁気ディスク等
四 建築基準法施行規則第1条の3第1項の表4の各項の(い)欄に掲げる建築物の区分に応じそれぞれ当該各項の(ろ)欄に掲げる書類及び同条第4項の表2の各項の(い)欄に掲げる建築設備の区分に応じそれぞれ当該各項の(ろ)欄に掲げる書類(いずれも構造関係規定に係るものに限る。)
2 法第20条の2第2項の確認を受けた建築物の構造設計図書の変更の場合における確認は,前項に掲げる図書及び書類のうち変更に係るものの審査により行うものとする。



■  k_010  構造耐力(建築基準法)

〔建築基準法〕
構造耐力

第20条 建築物は,自重,積載荷重,積雪荷重,風圧,土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして,次の各号に掲げる建築物の区分に応じ,それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。

一 
高さが60mを超える建築物  当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において,その構造方法は,荷重及び外力によって建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
政令で定める技術的基準 ⇒ 令第36条第1項 「構造方法に関する技術的基準」令第129条の2の4
その他の政令で定める基準 ⇒ 令第81条第1項

二 
高さが60m以下の建築物のうち,第6条第1項第二号に掲げる建築物(高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの(木造)に限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物,高さが20mを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。)  次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
政令 ⇒ 令第36条の2 「地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物等に準ず ... 」
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において,その構造方法は,地震力によって建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従った構造計算で,国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによって確かめられる安全性を有すること。
政令で定める技術的基準 ⇒ 令第36条第2項 「構造方法に関する技術的基準」
令第129条の2の4
その他の政令で定める基準 ⇒ 令第81条第2項
国土交通大臣が定めた方法 ⇒ 告平19年 592号 「建築物の構造方法が安全性を有することを確かめるため ... 」

ロ  前号に定める基準に適合すること。

三 
高さが60m以下の建築物のうち,第6条第1項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床,屋根及び階段を除く。)を石造,れんが造,コンクリートブロック造,無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。)  次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において,その構造方法は,構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従った構造計算で,国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによって確かめられる安全性を有すること。
政令で定める技術的基準 ⇒ 令第36条第3項 「構造方法に関する技術的基準」
令第129条の2の4
その他の政令で定める基準 ⇒ 令第81条第3項
国土交通大臣が定めた方法 ⇒
告平19年 592号 「建築物の構造方法が安全性を有することを確かめるため ... 」
ロ 前2号に定める基準のいずれかに適合すること。

四 前3号に掲げる建築物以外の建築物  次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
政令で定める技術的基準 ⇒ 令第36条第3項 「構造方法に関する技術的基準」
令第129条の2の4

ロ 前3号に定める基準のいずれかに適合すること。


要約

・ 一級建築士の業務独占に係る建築物(※1)のうち,構造方法について大臣認定が義務づけられている高さ60m超の建築物(建築基準法第20条第1号)及びルート2(許容応力度等計算)ルート3(保有水平耐力計算),限界耐力計算による構造計算を行うことにより構造計算適合性判定(ピアチェック)が義務づけられている高さ60m以下の建築物(建築基準法第20条第2号)(※2)について,原則として,構造設計一級建築士による設計への関与が義務づけられます。
・ 図書省略認定を受けた建築物や型式適合認定を受けた建築物は,対象とはなりません。

※1  〔建築士法〕 【1級建築士でなければできない設計又は工事監理】 第3条
2 〔建築基準法〕 【構造耐力20条2号該当する建築物 … (以下)

20条2号のまとめ
建築基準法第20条第2号に該当する建築物
高さ60m以下の建築物で以下に該当するもの
・木造の建築物(高さ13m超又は軒高9m超)
・鉄筋コンクリート造の建築物(高さ20m超)
・鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物(高さ20m超)
・鉄骨造の建築物(4階建て以上,高さ13m超又は軒高9m超)
・組積造の建築物(4階建て以上)
・補強コンクリートブロック造の建築物(4階建て以上)
・柱間隔が一定以上ある建築物や耐力壁が少ない建築物等これらの建築物に準ずるものとして国土交通大臣が指定したもの(平成19年国土交通省告示第593号に位置づけているもの)等

(注)非木造建築物については,上記のうち階数が2以上又は延べ面積
200u超のものに限られます。


増改築等の場合の考え方
増築,改築,大規模な修繕・大規模な模様替(以下「増改築等」という)の後に建築基準法第20条第1号又は第2号に該当する建築物について,当該増改築等を行う部分が※1となる場合に,構造設計一級建築士による設計への関与が必要となります。


参考).

構造設計一級建築士/設備設計一級建築士制度の創設
一級建築士として
5年以上構造設計/設備設計に従事した後,所定の講習を修了し,構造設計一級建築士証/設備設計一級建築士証の交付を受けた者を構造設計一級建築士/設備設計一級建築士とします。

・ 構造設計一級建築士講習は3日間,設備設計一級建築士講習は4日間となります。このうち1日は,設計と法適合確認の修了考査が実施されます。


一定の建築物について法適合確認等の義務づけ
高度な専門能力を必要とする一定の建築物の構造設計/設備設計に関し,構造設計一級建築±/設備設計一級建築士の関与(
自ら設計する,または,法適合確認を行う)を義務づけます。


・ 平成21年5月27日以降の建築確認申請から適用されます。対象となる建築物の設計に構造設計一級建築士/設備設計一級建築士が関与していない場合は,建築確認申請が受理されず,また,工事着工も禁止されます。


高度な専門能力を必要とする一定の建築物における法適合確認等のイメージ

高度な専門能力を必要とする一定の建築物における法適合確認等のイメージ

建築主事など
建築確認申請

法適合確認を
行う場合

確認済証の
交付

建築確認申請

自ら設計
する場合

確認済証の
交付

建築主

建築主

設計を依頼

設計図書
一式を納付

設計を依頼

設計図書
一式を納付

建築士事務所

構造/設備設計一級建築士
以外の一級建築士

建築士事務所

構造/設備設計一級建築士

法適合確認を
依頼

構造/設備関係
規定の法適合
確認がされた
構造/設備設計
図書を納付

建築士事務所

構造/設備設計一級建築士



■  k_011  設備設計に関する特例(建築基準法)

〔建築士法〕
設備設計に関する特例

第20条の3 
設備設計1級建築士は,階数が3以上で床面積の合計が5,000uを超える建築物の設備設計を行った場合においては,第20条第1項の規定によるほか,その設備設計図書に設備設計1級建築士である旨の表示をしなければならない。設備設計図書の一部を変更した場合も同様とする。

2 設備設計1級建築士以外の1級建築士は,前項の建築物の設備設計を行った場合においては,国土交通省令で定めるところにより,
設備設計1級建築士に当該設備設計に係る建築物が建築基準法第28条第3項,第28条の2第三号(換気設備に係る部分に限る。),第32条から第34条まで,第35条(消火栓,スプリンクラー,貯水槽その他の消火設備,排煙設備及び非常用の照明装置に係る部分に限る。)及び第36条(消火設備,避雷設備及び給水,排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限る。)の規定並びにこれらに基づく命令の規定(以下「設備関係規定」という。)に適合するかどうかの確認を求めなければならない。設備設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
国土交通省令で定める ⇒ 規第17条の17の3 「設備設計1級建築士への法適合確認」

3 
設備設計1級建築士は,前項の規定により確認を求められた場合において,当該建築物が設備関係規定に適合することを確認したとき又は適合することを確認できないときは,当該設備設計図書にその旨を記載するとともに,設備設計1級建築士である旨の表示をして記名及び押印をしなければならない。

4 
設備設計1級建築士は,第2項の規定により確認を求めた1級建築士から請求があったときは,設備設計1級建築士証を提示しなければならない。

増改築等の場合の考え方
増改築等を行う部分が,階数が3以上,かつ,床面積5,000u超となる場合に,設備設計一級建築士による設計への関与が必要となります。




■  k_012  設備設計1級建築士への法適合確認

〔建築士法施行規則〕
設備設計1級建築士への法適合確認

第17条の17の3 法第20条の3第2項の規定による確認は,次に掲げる図書及び書類の審査により行うものとする。
一 建築基準法施行規則第2条の2第1項の表に掲げる図書
二 設備設計図書
三 建築基準法施行規則第1条の3第4項の表2の各項の(い)欄に掲げる建築設備の区分に応じそれぞれ当該各項の(ろ)欄に掲げる書類(設備関係規定に係るものに限る。)

2 法第20条の3第2項の確認を受けた建築物の設備設計図書の変更の場合における確認は,前項に掲げる図書及び書類のうち変更に係るものの審査により行うものとする。


建築士法では,設備設計一級建築士が法適合確認を行うことを前提に,設備設計一級建築士以外の一級建築士が設計行為を行うことを認めています。
こうした場合を含め,設備設計一級建築士による設計への関与が義務づけられる場合の業務実施体制や建築設備士の位置づけについては,以下のパターンが想定されます。

設備設計一級建築士が設計を行う場合

設備設計一級建築士が設計を行う場合

建築主

建築主

設計を依頼

設計図書
一式を納付

設計を依頼

設計図書
一式を納付

建築士事務所

設備設計を
再委託

設備設計
図書を納付

建築士事務所

設備設計一級建築士

意見を聴く
(建築士法
第20条第5項)

建築士事務所

設備設計一級建築士

意見を聴く
(建築士法
第20条第5項)
←→ 建築
設備士
←→ 建築
設備士


設備設計一級建築士が法適合確認を行う場合

設備設計一級建築士が法適合確認を行う場合

建築主

建築主

設計を依頼

設計図書
一式を納付

設計を依頼

設計図書
一式を納付

建築士事務所

設備設計一級建築士
以外の一級建築士

@意見を聴く
(建築士法第20条第5項)




建築士事務所

←→ 設備設計を
再委託
設備設計
図書を納付

法適合確認
を依頼

設備関係規
定の法適合
確認がされ
設備設計
図書を納付

建築士事務所

設備設計一級建築士
以外の一級建築士

@意見を聴く
(建築士法第20条第5項)




←→
法適合確認
を依頼
設備関係規
定の法適合
確認がされ
設備設計
図書を納付

建築士事務所

設備設計一級建築士

←→

建築士事務所

設備設計一級建築士

←→
A意見を聴く A意見を聴く

(注) 建築設備士の意見を聴く場合,
@,Aいずれかの場合のみ意見を聴くことも想定されます。
@,Aの建築設備士が別の者となる場合も想定されます。
分野別に建築設備士の意見を聴くことも想定されます.
なお,@の場合において,建築士は,建築士法第20条第5項に基づき,設計図書又は工事監理報告書等において建築設備士の意見を聴いた旨を明らかにする必要があります。また,Aの場合においても,同様に建築設備士の意見を聴いた旨を明らかにすることが望ましいと考えられます。


※ 建築設備士の活用の必要性について

◎ 設備設計一級建築士制度の創設や再委託の制限により,建築士法上の建築設備士の位置づけや業務の取り扱いが変わるものではありません。むしろ,建築設計の専門分化が進むなか,建築設備のスペシャリストとしての建築設備士の積極的活用が必要と考えられます。
◎ 改正建築士法の施行に当たっては,設備設計一級建築士制度や建築設備士の活用についての誤解が生じないよう,地方公共団体や関係団体に対し周知徹底を図っています。




■  k_013  重要事項の説明等

〔建築士法〕
重要事項の説明等

第24条の7 
建築士事務所の開設者は,設計又は工事監理の委託を受けることを内容とする契約(以下それぞれ「設計受託契約」又は「工事監理受託契約」という。)を建築主と締結しようとするときは,あらかじめ,当該建築主に対し,管理建築士その他の当該建築士事務所に属する建築士(次項において「管理建築士等」という。)をして,設計受託契約又は工事監理受託契約の内容及びその履行に関する次に掲げる事項について,これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
一 設計受託契約にあっては,作成する
設計図書の種類
二 工事監理受託契約にあっては,
工事と設計図書との照合の方法及び工事監理の実施の状況に関する報告の方法
三 当該設計又は工事監理に従事することとなる
建築士の氏名及びその者の1級建築士,2級建築士又は木造建築士の別並びにその者が構造設計1級建築士又は設備設計1級建築士である場合にあっては,その旨
四 
報酬の額及び支払の時期(※1)
五 
契約の解除に関する事項(※2)
六 前各号に掲げるものの
ほか,国土交通省令で定める事項
国土交通省令で定める事項 ⇒ 規第22条の2の2 「重要事項説明

2 管理建築士等は,前項の説明をするときは,当該建築主に対し,1級建築士免許証,2級建築士免許証若しくは木造建築士免許証又は1級建築士免許証明書,2級建築士免許証明書若しくは木造建築士
免許証明書を提示しなければならない

(※1)報酬の額について具体的な金額を記載する。また,支払の時期については,具体的な時期や回数について記載する。
重要事項説明の時点で報酬の額が確定できていない場合についても,具体的な算定方法(業務報酬基準(※)に基づき算定するなど)を示した上で,概算など目安となる金額を記載する。
「未定」「実費」など金額の範囲が明らかとならない記載は適切ではない

(※2)契約の解除に関する特約等


その他

重要事項説明は,建築士事務所の
開設者に対する義務づけです。
重要事項説明を行わなかった,もしくは虚偽の説明を行った場合には,建築士事務所の開設者及び建築士が監督処分や懲戒処分の対象となり得ます。

説明が義務づけられる重要事項は,作成する設計図書の種類,工事と設計図書との照合の方法等です。
・法令では最低限の説明事項を定めています。これに加えて,建築主への説明内容をより充実させることは妨げられていません。例えば,法適合確認を行う
構造設計一級建築士又は設備設計一級建築士の氏名,当該建築士事務所に所属する建築設備士以外で建築設備に関し意見を聴く建築設備士の氏名等について説明することが望ましいと考えられます。

第24条の7では,元請けの建築士事務所から,委託者(建築主)に対して書面を交付し説明することを義務づけたもので,設計・工事監理業務の一部を受託した建築上事務所から,元請けの建築士事務所に対して重要事項の説明をすることを求めてはいない。これは専門家同士の契約については,事前説明を義務づける必要が認められていないことによる。


参考).

重要事項説明の方法
書面を交付して説明を行う必要があります。
具体的な様式等については,建築関係団体が作成しています。
サイト → http://www.icas.or.jp/kenchikushiho/juyo.html


以下,重要事項説明書 記入例

                          
                      重 要 事 項 説 明 書
                                                      平成
241025

  
建 山 太 郎  様
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

本重要事項説明は,建築士法第24条の7に基づき,設計受託契約又は工事監理受託契約に先立って,あらかじめ契約の内容及びその履行に関する事項を説明するものです。本説明内容は最終的な契約内容とは必ずしも同一になるとは限りません。

受託業務名称 :
建山太郎邸新築工事設計・工事監理業務
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

建築士事務所の名称    :○○次郎一級建築上事務所
建築士事務所の所在地 :
○○県○○市△町○−▲−×
開設者氏名                :
○○次郎
(法人の場合は開設者の名称及び代表者氏名)

1.対象となる建築物の概要

建設予定地 :○○県○○市△○町×−〇−●
主要用途    :
専用住宅
工事種別    :
新築
規模等       :
木造2階建 約165u

2.作成する設計図書の種類(設計契約受託の場合)

案内図,配置図,求積図,仕上げ表,平面図,立面図,断面図,基礎伏図,その他建築確認申請図書一式

3.工事と設計図書との照合の方法及び工事監理の実施の状況に関する報告の方法
(工事監理契約受託の場合)

@工事と設計図書との照合の方法 :
請負業者からの施工報告及びサンプリングによる現場立会検査により照合します。
サンプリングによる現場立会検査は期間中5回程度行います。

A工事監理の実施の状況に関する報告の方法 :
文書による工事監理報告書を月ごとに提出します。また,工事監理完了後に建築士法に基づいて法定様式による工事監理報告書を提出します。

4.設計又は工事監理の一部を委託する場合の計画

@設計又は工事監理の一部を委託する予定 : □あり □なし (← チェックを入れる)
A委託する業務の概要及び委託先(ありの場合の計画)
委託する業務の概要     :
設備設計
建築士事務所の名称    :
一級建築士事務所(株)×●設備研究所
建築士事務所の所在地 :
○○県○○市1−×−○,××ビル
開設者氏名                :
(株)×●設備研究所 代表取締役 ××住夫
(法人の場合は開設者の名称及び代表者氏名)

(四会推奨)重要事項説明書様式01



■  k_014  重要事項説明施行規則

〔建築士法施行規則〕
重要事項説明

第22条の2の2 法第24条の7第1項第六号の国土交通省令で定める事項は,次に掲げるものとする。
一 建築士事務所の名称及び所在地
二 建築士事務所の開設者の氏名(当該建築士事務所の開設者が法人である場合にあっては,当該開設者の名称及びその代表者の氏名)
三 設計受託契約又は工事監理受託契約の対象となる建築物の概要
四 業務に従事することとなる建築士の登録番号
五 業務に従事することとなる建築設備士がいる場合にあっては,その氏名
六 
設計又は工事監理の一部を委託する場合にあっては,当該委託に係る設計又は工事監理の概要並びに受託者の氏名又は名称及び当該受託者に係る建築士事務所の名称及び所在地



■  k_015  書面の交付

〔建築士法〕
書面の交付

第24条の8 建築士事務所の開設者は,
設計受託契約又は工事監理受託契約を締結したときは,遅滞なく,国土交通省令で定めるところにより,次に掲げる事項を記載した書面を当該委託者に交付しなければならない。
一 前条第1項各号に掲げる事項
二 設計又は工事監理の種類及び内容(前号に掲げる事項を除く。)
三 設計又は工事監理の実施の期間及び方法(第一号に掲げる事項を除く。)
四 前3号に掲げるもののほか,設計受託契約又は工事監理受託契約の内容及びその履行に関する事項で国土交通省令で定めるもの
国土交通省令で定める ⇒ 規第22条の3 「書面の交付」

2 第20条第4項の規定は,前項の規定による書面の交付について準用する。この場合において,同条第4項中「建築士」とあるのは「建築士事務所の開設者」と,「建築主」とあるのは「委託者」と,「当該結果」とあるのは「当該書面に記載すべき事項」と,「報告する」とあるのは「通知する」と,「文書での報告をした」とあるのは「書面を交付した」と読み替えるものとする。

書面の交付は,建築士事務所の開設者に対する義務づけであり,書面には開設者の記名押印(又は署名)が必要となります。
重要事項説明の実施と併せ,記載内容が充実されています。

・重要事項説明の項目に加え,以下の事項を記載する必要があります。
設計又は工事監理の種類及び内容,設計又は工事監理の実施の期間及び方法,契約の年月日,契約の相手方の氏名又は名称




■ 
k_016  非建築士等に対する名義貸しの禁止

〔建築士法〕
非建築士等に対する名義貸しの禁止

第21条の2 建築士は,次の各号のいずれかに該当する者に自己の名義を利用させてはならない。
(以下,一,二号 省略)



■  k_017  名義貸しの禁止

〔建築士法〕
名義貸しの禁止

第24条の2 建築士事務所の開設者は,自己の名義をもって,他人に建築士事務所の業務を営ませてはならない。



■  k_018 再委託の制限

〔建築士法〕
再委託の制限

第24条の3 建築士事務所の開設者は,
委託者の許諾を得た場合においても,委託を受けた設計又は工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外の者(※1)に委託してはならない

2 建築士事務所の開設者は,
委託者の許諾を得た場合においても,委託を受けた設計又は工事監理(いずれも共同住宅その他の多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のものの新築工事に係るものに限る。)の業務を,それぞれ一括して他の建築士事務所の開設者に委託(※2)してはならない
政令 ⇒ 令第8条 「その設計等の業務が再委託の制限の対象となる多数の者 ... 」

※1 建築士事務所登録を行っていない個人の建築士等

※2 いわゆる丸投げ
注1.元請けが意匠で,構造,設備を下請けに出すことは丸投げではない。又,元請けが構造(又は設備)で,意匠・設備(又は構造)を下請けに出す場合も丸投げではない。



■  k_019 その設計等の業務が再委託の制限の対象となる多数の者が利用する建築物及びその規模

〔建築士法施行規則〕
その設計等の業務が再委託の制限の対象となる多数の者が利用する建築物及びその規模

第8条 法第24条の3第2項の政令で定める建築物は,
共同住宅とする。

2 法第24条の3第2項の政令で定める規模は,
階数が3で,かつ,床面積の合計が1,000uのものとする。



■  k_020 名簿

〔建築士法〕
名簿

第6条 1級建築士名簿は国土交通省に,2級建築士名簿及び木造建築士名簿は都道府県に,これを備える。

2 国土交通大臣は1級建築士名簿を,都道府県知事は2級建築士名簿及び木造建築士名簿を,それぞれ
一般の閲覧に供しなければならない
一般の閲覧 ⇒ 規第9条の2 「1級建築士名簿の閲覧」



■  k_021 1級建築士名簿の閲覧

〔建築士法施行規則〕
1級建築士名簿の閲覧

第9条の2 国土交通大臣は,法第6条第2項の規定により1級建築士名簿を一般の閲覧に供するため,登録簿閲覧所(以下「
閲覧所」という。)を設けなければならない。
(登録事務及び名簿の閲覧事務については,中央指定登録機関として指定された(社)日本建築士会連合会が行います。なお,登録等の申請窓口は,都道府県建築士会となります。)

2 国土交通大臣は,前項の規定により閲覧所を設けたときは,当該閲覧所の閲覧規則を定めるとともに,当該閲覧所の場所及び閲覧規則を告示しなければならない。


参考).

新しい登録制度のイメージ

 

登録実施主体

改正前 改正後(機関を指定した場合)
一級建築士 国土交通大臣 中央指定登録機関
〈 (社)日本建築士会連合会 〉
二級建築士・木造建築士 都道府県知事 都道府県指定登録機関
一級・二級・木造建築士事務所 都道府県知事 指定事務所登録機関



■  k_022 設計及び工事監理

〔建築士法〕
設計及び工事監理

第18条 建築士は,
設計を行う場合においては,設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。

2 建築士は,設計を行う場合においては,設計の委託者に対し,設計の内容に関して
適切な説明を行うように努めなければならない。

3 建築士は,
工事監理を行う場合において,工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは,直ちに,工事施工者に対して,その旨を指摘し,当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め,当該工事施工者がこれに従わないときは,その旨を建築主に報告しなければならない
工事監理 ⇒ 法第2条第7項 「定義」



■  k_023 その他の業務

〔建築士法〕
その他の業務

第21条 建築士は,
設計(第20条の2第2項又は前条第2項の確認を含む。第22条及び第23条第1項において同じ。)及び工事監理を行うほか,建築工事契約に関する事務,建築工事の指導監督,建築物に関する調査又は鑑定及び建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理その他の業務(木造建築士にあっては,木造の建築物に関する業務に限る。)を行うことができる。ただし,他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については,この限りでない。

解説).

建築士が設計・工事監理以外のことを「建築士の業務」として行う場合においても,建築士事務所を開設して業務を行わなければならない。また,当該業務において不誠実な行為を行えば行政処分の対象になる。
「その他の業務」として,
建築確認申請手続きの代理業務が一般的に行われているが,この代理業務は,当然,委託者から代理する業務について委任を得ていなければならない。委託者との紛争を防止するためにも,委任される代理業務の範囲を明確にしたほうがよい。例えば,設計変更などは,依頼主の了解を得ずに変更確認申請が行われないよう留意する必要がある。
手続きの代理その他の業務の内容としては,
許可申請業務(建築基準法第3章関係,都市計画法関係),各種届出に関する業務(建築基準法に基づく着工届,除却届,完了届),浄化槽法に基づく屎尿浄化槽の設置届など,建築物の建築に関する法令などに基づく手続きが当てはまる。

また,「建築工事の指導監督」とは,工事監理や施工管理,現場監督ではなく,委託者(建築主)の依頼により第三者的な立場から建築工事に関する指導監督を行うことを指す。

平成18年6月改正において,
他の法律でその業務を行うことを制限されている事項については,本条によって建築士が行えないことが,ただし書きで確認的に規定されている。他の法律とは,不動産登記法,測量法,土地家屋調査士法,宅地建物取引業法,不動産の鑑定評価に関する法律などを指す。それらの法律に基づく調査,鑑定業務などを行う者への制限は,建築士法の規定にかかわらず,それぞれの法律の定めるところによるものとされる。
なお,そうした法令の制限事項のない建築物の建築に関する法令の手続きの代行業務は,当然,建築士が行うことができる。




■  k_024 設計等の業務に関する報告書

〔建築士法〕
設計等の業務に関する報告書

第23条の6 建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,事業年度ごとに,次に掲げる事項を記載した
設計等の業務に関する報告書を作成し,毎事業年度経過後3月以内に当該建築士事務所に係る登録をした都道府県知事に提出しなければならない。
一 当該事業年度における当該建築士事務所の業務の実績の概要
二 当該建築士事務所に属する建築士の氏名
三 前号の建築士の当該事業年度における業務の実績(当該建築士事務所におけるものに限る。)
四 前3号に掲げるもののほか,国土交通省令で定める事項
国土交通省令で定める事項 ⇒ 規第20条の3 「設計等の業務に関する報告書」



■  k_025 設計等の業務に関する報告書

〔建築士法施行規則〕
設計等の業務に関する報告書

第20条の3 法第23条の6第四号に規定する国土交通省令で定める事項は,次のとおりとする。
一 当該建築士事務所に属する建築士の1級建築士,2級建築士又は木造建築士の別,その者の登録番号及びその者が受けた法第22条の2第一号から第三号までに定める講習のうち直近のものを受けた年月日並びにその者が管理建築士である場合にあっては,その旨
二 当該建築士事務所に属する1級建築士が構造設計1級建築士又は設備設計1級建築士である場合にあっては,その旨,その者の構造設計1級建築士証又は設備設計1級建築士証の交付番号並びにその者が受けた法第22条の2第四号及び第五号に定める講習のうちそれぞれ直近のものを受けた年月日
三 当該事業年度において法第24条第3項の規定により意見が述べられたときは,当該意見の概要

2 法第23条の6に規定する設計等の業務に関する報告書は,第6号の2書式によるものとする。

3 法第23条の6各号に掲げる事項が,電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され,必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは,当該記録をもって同条に規定する設計等の業務に関する報告書への記載に代えることができる。

4 
都道府県知事は,法第23条の6に規定する設計等の業務に関する報告書(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。)を,その提出を受けた日から起算して5年間保存しなければならない。



■  k_026 帳簿の備付け等及び図書の保存

〔建築士法〕
帳簿の備付け等及び図書の保存

第24条の4 
建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,その建築士事務所の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け,これを保存しなければならない。
国土交通省令で定める ⇒ 規第21条第1項 「帳簿の備付け等及び図書の保存」

2 前項に定めるもののほか,建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,その建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
国土交通省令で定める ⇒ 規第21条第4項 「帳簿の備付け等及び図書の保存」



■  k_027 帳簿の備付け等及び図書の保存(施行規則)

〔建築士法施行規則〕
帳簿の備付け等及び図書の保存

第21条 法第24条の4第1項に規定する国土交通省令で定める事項は,次のとおりとする。
一 契約の年月日
二 契約の相手方の氏名又は名称
三 業務の種類及びその概要
四 業務の終了の年月日
五 報酬の額
六 業務に従事した建築士及び建築設備士の氏名
七 業務の一部を委託した場合にあっては,当該委託に係る業務の概要並びに受託者の氏名又は名称及び住所
八 法第24条第3項の規定により意見が述べられたときは,当該意見の概要

2 前項各号に掲げる事項が,電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され,必要に応じ当該建築士事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは,当該記録をもって法第24条の4第1項に規定する帳簿への記載に代えることができる。
3 建築士事務所の開設者は,法第24条の4第1項に規定する
帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。)を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし,当該閉鎖をした日の翌日から起算して15年間当該帳簿を保存しなければならない。

4 法第24条の4第2項に規定する建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものは,建築士事務所に属する建築士が建築士事務所の業務として作成した設計図書のうち次に掲げるもの又は工事監理報告書で,法第3条から第3条の3までの規定により建築士でなければ作成することができないものとする。
一 配置図,各階平面図,2面以上の立面図及び2面以上の断面図
(原本)
二 当該設計が建築基準法第6条第1項第二号又は第三号に係るものであるときは,前号に掲げるもののほか,基礎伏図,各階床伏図,小屋伏図,構造詳細図及び構造計算書
(原本)

5 
建築士事務所の開設者は,法第24条の4第2項に規定する図書を作成した日から起算して15年間当該図書を保存しなければならない。



■  k_028 標識の掲示

〔建築士法〕
標識の掲示

第24条の5 建築士事務所の開設者は,その建築士事務所において,公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
国土交通省令で定める標識 ⇒ 規第22条 「標識の書式」



■  k_029 書類の閲覧

〔建築士法〕
書類の閲覧

第24条の6 建築士事務所の開設者は,国土交通省令で定めるところにより,次に掲げる書類を,当該
建築士事務所に備え置き,設計等を委託しようとする者の求めに応じ,閲覧させなければならない
一 当該建築士事務所の業務の実績を記載した書類
二 当該建築士事務所に属する建築士の氏名及び業務の実績を記載した書類
三 設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講じている場合にあっては,その内容を記載した書類
四 その他建築士事務所の業務及び財務に関する書類で国土交通省令で定めるもの
国土交通省令で定める ⇒ 規第22条の2 「書類の閲覧」



■  k_030 書類の閲覧(施行規則)

〔建築士法施行規則〕
書類の閲覧

第22条の2 法第24条の6第四号に規定する建築士事務所の業務及び財務に関する書類で国土交通省令で定めるものは,次に掲げる事項を記載した書類とする。
一 建築士事務所の名称及び所在地,当該建築士事務所の開設者の氏名(当該建築士事務所の開設者が法人である場合にあっては,当該開設者の名称及びその代表者の氏名),当該建築士事務所の1級建築士事務所,2級建築士事務所又は木造建築士事務所の別並びに当該建築士事務所の登録番号及び登録の有効期間
二 建築士事務所に属する建築士の氏名,その者の1級建築士,2級建築士又は木造建築士の別,その者の登録番号及びその者が受けた法第22条の2第一号から第三号までに定める講習のうち直近のものを受けた年月日並びにその者が管理建築士である場合にあっては,その旨
三 建築士事務所に属する1級建築士が構造設計1級建築士又は設備設計1級建築士である場合にあっては,その旨,その者の構造設計1級建築士証又は設備設計1級建築士証の交付番号並びにその者が受けた法第22条の2第四号及び第五号に定める講習のうちそれぞれ直近のものを受けた年月日

2 建築士事務所の開設者は,法第24条の6第一号及び第二号に定める書類並びに前項各号に掲げる事項を記載した書類を,第7号の2書式により,事業年度ごとに当該事業年度経過後3月以内に作成し,遅滞なく建築士事務所ごとに備え置くものとする。

3 建築士事務所の開設者は,法第24条の6第三号に規定する措置を講じたときは,同号に定める書類を,遅滞なく作成し,建築士事務所ごとに備え置くものとする。当該措置の内容を変更したときも,同様とする。

4 前2項の書類に記載すべき事項が,電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され,必要に応じ当該建築士事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは,当該記録をもって同条に規定する書類に代えることができる。この場合における法第24条の6の規定による閲覧は,当該ファイル又は磁気ディスク等に記録されている事項を紙面又は入出力装置の映像面に表示する方法で行うものとする。

5 
建築士事務所の開設者は,第2項の書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。)を,当該書類を備え置いた日から起算して3年を経過する日までの間,当該建築士事務所に備え置くものとする。



■  k_031 報告及び検査

〔建築士法〕
報告及び検査

第26条の2 都道府県知事は,この法律の施行に関し必要があると認めるときは,建築士事務所の開設者若しくは管理建築士に対し,必要な報告を求め,又は当該職員をして建築士事務所に立ち人り,図書その他の物件を検査させることができる。

2 第10条の13第2項及び第3項の規定は,前項の規定による立入検査について準用する。
関連 ⇒ 規第23条 「立入検査をする職員の証明書の書式」



■  k_032 建築士事務所協会及び建築士事務所協会連合会

〔建築士法〕
建築士事務所協会及び建築士事務所協会連合会

第27条の2 その名称中に建築士事務所協会という文字を用いる一般社団法人(次項に規定するものを除く。)は,建築士事務所の業務の適正な運営及び建築士事務所の開設者に設計等を委託する建築主(以下単に「建築主」という。)の利益の保護を図ることを目的とし,かつ,建築士事務所の開設者を社員(以下この章において「協会会員」という。)とする旨の定款の定めがあるものでなければならない。
(以下,2〜8項 省略)



■  k_033 苦情の解決

〔建築士法〕
苦情の解決

第27条の5 
建築士事務所協会は,建築主その他の関係者から建築士事務所の業務に関する苦情について解決の申出があったときは,その相談に応じ,申出人に必要な助言をし,その苦情に係る事情を調査するとともに,当該建築士事務所の開設者に対しその苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。

2 建築士事務所協会は,前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは,当該建築士事務所の開設者に対し,文書若しくは口頭による説明を求め,又は資料の提出を求めることができる。

3 協会会員は,建築士事務所協会から前項の規定による求めがあったときは,正当な理由がないのに,これを拒んではならない。

団体による自立的な監督体制の確立

建築士事務所協会,日本建築士事務所協会連合会の法定化
都道府県の建築士事務所協会,日本建築士事務所協会連合会が
法律に位置づけられ,苦情解決,研修等を実施します。
なお,都道府県の建築士会,日本建築士会連合会は従来より
建築士法に位置づけられ,研修などを実施しています。


その他
工事監理業務の充実
工事監理業務に関し,ガイドラインを策定します。




以下,おさらい


■  k_034 1級建築士でなければできない設計又は工事監理

〔建築士法〕
1級建築士でなければできない設計又は工事監理

第3条 次の各号に掲げる建築物(建築基準法第85条第1項又は第2項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては,1級建築士でなければ,その設計又は工事監理をしてはならない。
一 学校,病院,劇場,映画館,観覧場,公会堂,集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で,延べ面積が
500uをこえるもの
二 木造の建築物又は建築物の部分で,高さが
13m又は軒の高さが9mを超えるもの
三 鉄筋コンクリート造,鉄骨造,石造,れん瓦造,コンクリートブロック造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で,延べ面積が
300u,高さが13m又は軒の高さが9mをこえるもの
四 延べ面積が
1,000uをこえ,且つ,階数が2以上の建築物

2 建築物を増築し,改築し,又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合においては,当該増築,改築,修繕又は模様替に係る部分を新築するものとみなして前項の規定を適用する。

(注)上記のうち,建築基準法第85条第1項又[ま第2項に定める応急仮設建築物を除く



■  k_035 1級建築士又は2級建築士でなければできない設計又は工事監理

〔建築士法〕
1級建築士又は2級建築士でなければできない設計又は工事監理
第3条の2 前条第1項各号に掲げる建築物以外の建築物で,次の各号に掲げるものを新築する場合においては,1級建築士又は2級建築士でなければ,その設計又は工事監理をしてはならない。
一 前条第1項第三号に掲げる構造の建築物又は建築物の部分で,延べ面積が
30uを超えるもの
二 延べ面積が
100u(木造の建築物にあっては,300u)を超え,又は階数が3以上の建築物

2 前条第2項の規定は,前項の場合に準用する。

3 都道府県は,土地の状況により必要と認める場合においては,第1項の規定にかかわらず,条例で,区域又は建築物の用途を限り,同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)を別に定めることができる。



■  k_036 1級建築士,2級建築士又は木造建築士でなければできない設計又は工事監理

〔建築士法〕
1級建築士,2級建築士又は木造建築士でなければできない設計又は工事監理
第3条の3 前条第1項第二号に掲げる建築物以外の木造の建築物で,延べ面積が
100uを超えるものを新築する場合においては,1級建築士,2級建築士又は木造建築士でなければ,その設計又は工事監理をしてはならない。

2 第3条第2項及び前条第3項の規定は,前項の場合に準用する。この場合において,同条第3項中「同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)」とあるのは,「次条第1項に規定する延べ面積」と読み替えるものとする。



■  k_037 建築物の建築等に関する申請及び確認(建築基準法)

〔建築基準法〕
建築物の建築等に関する申請及び確認
第6条  建築主は,第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては,・・・・・・ (省略) ・・・・・・ ,これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も,同様とする。


要約

確認を受けた建築物の計画を変更したり,大規模の修繕,大規模の模様替えを行う場合も同様に,確認済証の交付を受ける必要があると規定されている。

第1項の第1号から第3号までに係る申請書における,建築主事の確認審査期間は,平成18年6月改正により,21日から
35日に延長された。
また,第1項第4号に係るものは,受理した日から7日以内に審査し,確認済証が交付されると規定されている。

許容応力度等計算(ルート2),保有水平耐力計算(ルート3)など政令で定める基準に従った構造計算を行った建築物については,都道府県知事の構造計算適合性判定を求めなければならない(確認申請とは別に)。

部道府県知事は,構造計算適合性判定を求められた場合,
14日以内に判定を行い,建築主事に判定結果を通知しなければならない。

都道府県知事は,
構造計算適合性判定を行う際,審査に日数を要する含理的な理由がある場合には,35日の範囲で期間の延長を行うことが可能である。(つまり最大で14+35=49日)その場合,知事は建築主事に対して,延長の理由を記した通知書を交付する必要がある。

建築主事は,
構造計算適合性判定で適正であると判定された建築物でなければ,確認をしてはならない。

建築主事が確認を行うにあたって,期間内に確認済証を交付できない合理的な理由がある場合は,
35日の範囲で期間を延長することができる。(つまり最大で35+35=70日)この際,建築主事は期間を延長することを記した通知書を申請者に交付しなければならない。


建築物に関する検査

一定の共同住宅に対する中間検査の義務付け
階数が3以上の共同住宅の床およびはりに鉄筋を配置する工事の工程(特定工程)について,特定行政庁に実施範囲を委ねてきた従来のやり方に加え,全国一律に中聞検査を行うこととした。

建築主は,工事完了した目から
4日以内に建築主事に到達するように,省令(規則)に基づいた申請をすることが義務づけられている。そのため建築士は,このことを建築主に伝えることが求められる。また,建築主事らは受理した日から7日以内に検査し,適合していることを認めた場合に,検査済証を交付することが規定されている。

完了検査申請書は,建築基準法施行規則第4条に,完了検査の申請書として
別記第19号様式の申請書と必要な添付書類が定められている。
また,下記の添付書類を提出することが求められている。

・ 当該建築物の計画に係る建築確認に要した図書
・ 内装仕上げに用いる建築材料の取り付けなどの工事の終了時における,当該建築材料を用いた内装仕上げの部分の写真
・ 構造耐力上,主要な部分の軸組や仕口,その他の接合部,鉄筋部分などの写真(特定工程に係る建築物にあっては,直前の中間検査後に行われた工事に係るものに限る)
・ 都市緑地法の認定を受けた場合はその認定書の写し(緑化施設の工事の認定)
・ 軽微な変更が生じた場合は,その内容を記載した書類
・ その他特定行政庁が規則で定める書類
・ 代理者が申請する場合は建築主の委任状
・ 設計者または工事監理者に変更があったときには,建築士の免許証の写し









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