「建築基準法及び関連法解説」
全ページ
→
遠山英雄都市建築設計事務所 - HOMEへ
__________________________________________________
品確法・住宅瑕疵担保履行法
「 目 次
」
■
s_003
品確法 (住宅品質確保促進法) (2001年
制度スタート)
〔住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例〕
〔新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例〕
■ s_004 住宅瑕疵担保履行法
■ s_005 品確法による事実上義務化の地盤調査について (2024.03.11追記)
■
s_003
品確法 (住宅品質確保促進法) (2001年
制度スタート) (施行 2000年4月1日
通称:品確法 略称:住宅品質確保法 関連法令:民法)
〔住宅の品質確保の促進等に関する法律〕
・
(一部省略)
・
「耐震等級」,品確法住宅性能について以下に記してあります。参照してください。
左フレームINDEXの「耐震基準の改正の変遷,他」の以下
建物の耐震性能を表す指標「耐震等級」について
建築基準法と品確法住宅性能表示の比較
【耐震性能】 (2024.03.22
New)
建築基準法と品確法住宅性能表示の比較 【検討項目】 (2024.03.22
New)
第94条 2017年民法改正に伴い,適用する民法条項の対応を改正。下線部が改正箇所。 (Webサイト
WIKIBOOKS より抜粋)
(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例)
第94条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては,請負人は,注文者に引き渡した時から10年間,住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について,民法(明治29年法律第89号)第634条第1項
及び第2項 前段に規定する担保の責任を負う。
政令 ⇒ 令第5条 「住宅の構造耐力上主要な部分等」
2.
前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは,無効とする。
3. 第1項の場合における民法第638条第2項の規定の適用については,同項中「前項」とあるのは,「住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条第1項」とする。
第1項 補足
).
改正前は新築住宅の請負契約に関する「瑕疵」については,旧民法第634条(請負人の担保責任)が適用され,かつ,その有効期間は特約がなければ,旧民法第638条第1項に定める「石造,土造,れんが造,コンクリート造,金属造その他これらに類する構造の工作物」同様に10年が適用される(第2項で短縮不可)旨定められていた。2017年民法改正に伴い,旧来の瑕疵担保責任について,「契約不適合責任」一般に,効果として「損害賠償請求権」「解除権」「追完請求権」及び「代金減額請求権」の発生が明確に概念されたことにより,適用条項等につき改正された。
第3項 補足
).
旧民法第634条に定めた「瑕疵修補請求権」は,瑕疵により滅失又は損傷が生じた時から一年以内の行使が求められていた。本項は民法第637条に継承されている。
解説
住宅については,居住は生活の重要な要素であり,かつ,一般市民にとっては人生最大の買い物と言われるほど家計に大きな影響を与える巨額な支出を伴うものであることが一般的である。また,買主・注文主に比べ売主・請負人は継続的な事業としている場合がほとんどであり,買主・注文主と売主・請負人の経験格差が大きい業務である。このような事情を鑑み,一種消費者保護の観点も加え,「住宅の構造耐力上主要な部分等」の瑕疵については,一定期間(瑕疵担保期間),品質を担保する義務を認め,その期間も一般的な契約不適合責任期間の1年よりも相当に長期期間である10年を定めるものである。
本条において,新築建物を請負契約で建設するときの規律を定める。
瑕疵が発見されたときに認められる権利は以下のもの。適用については,瑕疵の度合い及びそれに対する売主の態様により,各々認められる。
民法第415条(債務不履行による損害賠償) 〜
(一部省略します) 〜 民 民法第559条(有償契約への準用)
特約がなければ,瑕疵担保期間は,注文主に引き渡した時から10年間である。なお,この期間は特約により変えることができるが,第2項により買主に不利となる短縮はできないため,10年以上となる一方で,第97条で20年を超えることはできない。
注文者はその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは,その不適合を理由として,履行の追完の請求,報酬の減額の請求,損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない(民法第637条)。
参照条文
・ 住宅の品質確保の促進等に関する法律第97条(瑕疵担保責任の期間の伸長等の特例)
・ 住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条(住宅の構造耐力上主要な部分等)
第95条 2017年民法改正に伴い,適用する民法条項の対応を改正。下線部が改正箇所。 (Webサイト
WIKIBOOKS より抜粋)
(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
第95条 新築住宅の売買契約においては,売主は,買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては,その引渡しの時)から10年間,住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について,民法第570条において準用する同法第566条第1項
並びに同法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において,同条第1項及び第2項前段中「注文者」とあるのは「買主」と,同条第1項中「請負人」とあるのは「売主」とする。
2
前項の規定に反する特約で買主に不利なものは,無効とする。
3 第1項の場合における民法第566条第3項の規定の適用については,同項中「前2項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条第1項」と,「又は」とあるのは「,瑕疵修補又は」とする。
第1項 補足
).
改正前は新築住宅の売買契約に関する「隠れた瑕疵(引き渡し時に「買主・注文主」が認識していなかった瑕疵)」については,旧民法第570条(瑕疵担保責任)及び旧民法第634条(請負人の責任)が適用され,かつ,その有効期間は特約がなければ,旧第570条が準用する旧民法第566条第3項に定める1年間ではなく,10年が適用される(第2項で短縮不可)旨定められていた。2017年民法改正に伴い,旧来の瑕疵担保責任について,対象は,「隠れた瑕疵」のみならず「契約の不適合一般」に,効果として「損害賠償請求権」「解除権」「追完請求権」及び「代金減額請求権」の発生が明確に概念されたことにより,適用条項等につき改正された。
解説
前条の第94条が,新築住宅を請負建築の場合であるのに対して,第95条は,新築住宅に関する売買契約に関して定める。
「住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵(2017年改正改正において「(隠れたる)瑕疵」概念は,概ね民法第566条に定める「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」こと,即ち「契約不適合」概念となったが,本法においては,継続して「瑕疵」の語を用いる。第3項参照)」については,一定期間(瑕疵担保期間),品質を担保する義務を認め,その期間も一般的な契約不適合責任期間の1年よりも相当に長期期間である10年を定めている。
瑕疵が発見されたときに認められる権利は以下のもの。適用については,瑕疵の度合い及びそれに対する売主の態様により,各々認められる。
民法第415条(債務不履行による損害賠償) 〜
(一部省略します) 〜 民法第563条(買主の代金減額請求権)
特約がなければ,瑕疵担保期間は,「買主に引き渡した時(一般に『工事完了済証』交付年月日)」から10年間である。なお,この期間は特約により変えることができるが,第2項により買主に不利となる短縮はできないため,10年以上となる一方で,第97条で20年を超えることはできない。
買主はその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは,その不適合を理由として,履行の追完の請求,報酬の減額の請求,損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない(民法第566条)。
補足/留意).
民法638条1項によれば,士地の工作物の請負契約における請負人の瑕疵担保責任の期間は,構造によって5年または10年であり,それも,当事者の合意によって短縮することも可能と解釈されている。しかし,本法はその特則とされ,強硬的に適用される規定となっている。つまり,契約内容に関わらず,請負人または売主が,10年間は瑕疵担保の責任を負うことを定めたものであり,注文者または買主が,この内容より不利となるような契約(例えば10年間以下など)をしても無効となると定められている。
新築住宅に関して,この10年間の期間は,請負契約または売買契約で,特約として10年以上20年以内とすることができる。
・
・
(省略)
■
s_004
住宅瑕疵担保履行法
〔特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律〕 (2007年制度スタート)
・
(省略)
・
住宅購入者等の利益の保護を図るため,「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が2007年(平成19年)に制定された。
同法は,新築住宅を供給する事業者に対して,瑕疵の補修等が確実に行われるよう,「住宅瑕疵担保責任保険への加入」もしくは「保証金の供託」を義務づけている。保険を利用する場合は,保険会社が定める設計・施工基準への適合が求められ,設計の要件となるので,注意を要する。
・
・
(省略)
■ s_005 品確法による事実上義務化の地盤調査について (2024.03.11追記)
2001年(平成13年)の「品確法」(住宅品質確保促進法/住宅性能表示制度)スタートによって,構造において耐震等級が盛リ込まれ,2000年改正のうち新築住宅(建替えの及びリフォームでの増築も含みます)は,事実上義務化の地盤調査を行わないと,住宅瑕疵担保責任保険に加入することが出来なくなりました。瑕疵については,「引き渡し後10年以内に見つかった場合は,売主である販売会社や建築会社等(住宅事業者)が無償補修などをする」ことが定められており,この義務を瑕疵担保責任といいます。地盤の保証も同様です。
また,2025年「建築確認制度法第6条第1項の四号関係の改正によっても,審査省略制度対象外の木造戸建住宅の地盤調査が必要になります。以下に記してあります。
左フレームINDEXの「耐震基準の改正の変遷,他」
→ 「2025年「建築確認制度法第6条第1項の四号関係の改正」」を参照してください。
「目次」へ戻る