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日影規制

「 目 次 」

■  001 
日影による中高層建築物の高さ
       
法第56条の2全文
       
「発散方式」と「閉鎖方式」(安全側)の2つの方法
         道路幅員15Mの場合の 「閉鎖方式」(安全側)と「発散方式」の例 (前面道路が1つの場合)
         道路幅員15Mの場合の 「閉鎖方式」(安全側)と「発散方式」の例 (前面道路が2つの場合)
         敷地 凹 部分の測定線の設定方法
       隣地等の地盤面が当該敷地の平均地盤而より1m以上高いとき
       
隣地が低い場合の測定面
       隣地の連接地で高低差がある場合の測定面の緩和
       
隣地及び連接敷地とも高低差≧1mの場合
       平均地表面
       日影規制における塔屋等の高さ算定
       平均地盤面の算定

■  002 日影規制の特性他 (法56条の2第2項,第4項,法56条1項3号)
       
法第56条の2全文
       日影による中高層建築物の高さ(法56条の2)
       
日影規制の特性
       区域がまたがる場合
         (1)対象区域外から対象区域内(隣地の)に日影を生じた場合
         (2)逆のケース,対象区域内から対象区域外に日影を生じた場合
       制限の異なる対象区域に日影を生じさせる場合
         (1)規制日影時間が異なる場合 (令135条の13)
         (2)区域境界線が実質的に規制ラインとなる場合
         (3)日影の測定面が厳しくなる場合
       
建築物が第一種・第二種低層住居専用地域の内外にわたる場合 (例1〜5)
       
建築物のある区域と日影の落ちる区域の規制が異なる場合 (法56条の2第5項,令135条の4の3)
        
対象区域の建築物が規制される例 (法56条の2第4項)
        
規制日影時間が異なる例 (法56条の2第5項)
        
低層住居専用地域の内外にわたる例 (法56条の2第5項)
        
対象区域外の建築物の北側道路内に対象区域の境界線があり,その間に別敷地がある例

■  003 参考 :横浜市 Web より申請の取扱い

■  004 参考 :確認申請例 (東京都内)  (日影図サンプルファイル(.dwg) ダウンロード)

  005 日影図(/天空図)を作成するソフト(フリー)の紹介 (お勧めです)  (参考図サンプルファイル(.dwg) ダウンロード)



■  001 日影による中高層建築物の高さ

法第56条の2全文

【日影による中高層の建築物の高さの制限】
第56条の2  別表第4(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「
対象区域」という。)内にある・同表(ろ)欄の当該各項(4の項にあっては,同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土,当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は,冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあっては,午前9時から午後3時まで)の間において,それぞれ,同表(は)欄の各項(4の項にあっては,同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(2の項及び3の項にあっては,当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分,高層住居誘導地区内の部分,都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に,敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において,同表(に)欄の(一),(二)又は(三)の号(同表の3の項にあっては,(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土,土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし,特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては,この限りでない。
別表第4 ⇒ 法別表第4 「日影による中高層の建築物の制限 (第56条,第56条の2 ... 」

2  同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては,これらの建築物を1の建築物とみなして,前項の規定を適用する。

3  建築物の敷地が道路,川又は海その他これらに類するものに接する場合,建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における第1項本文の規定の適用の緩和に関する措置は,政令で定める。
政令 ⇒ 令第135条の12 「日影による中高層の建築物の高さの制限の緩和」

4  対象区域外にある高さが10mを超える建築物で,冬至日において,対象区域内の土地に日影を生じさせるものは,当該対象区域内にある建築物とみなして,第1項の規定を適用する。

5  建築物が第1項の規定による日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合又は建築物が,冬至日において,対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める。
政令 ⇒ 令第135条の13 「建築物が日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場 ... 」



「発散方式」と「閉鎖方式」(安全側)の2つの方法

敷地境界線とみなされる線の設定方法については,「発散方式」と「閉鎖方式」(安全側)の2つの方法がある。昭和52年建設省住指発第778号の通達に参考として添付された参考資料「日影規制における測定線の設定方法について」では,発散方式がとられている。

道路幅員>10M及び<10Mの場合の測定線の設定方法「発散方式」と「閉鎖方式」(安全側)

道路幅員>10Mの場合,道路に接する敷地境界線は反対側の道路境界線から敷地側に水平距離5mの線にあるものとみなされる。
道路幅員<10Mの場合,道路に接する敷地境界線は道路幅員の1/2だけ外側にあるものとみなされる。

原則として「閉鎖式」の提出を支持している行政庁が多い。対応がまちまち。


道路幅員15Mの場合の 「閉鎖方式」(安全側)と「発散方式」の例 (前面道路が1つの場合)

道路幅員15Mの場合の 「閉鎖方式」(安全側)の例 (前面道路が1つの場合)
道路幅員15Mの場合の「発散方式」の例 (前面道路が1つの場合)



道路幅員15Mの場合の 「閉鎖方式」(安全側)と「発散方式」の例 (前面道路が2つの場合)

道路幅員15Mの場合の 「閉鎖方式」(安全側)の例 (前面道路が2つの場合)
道路幅員15Mの場合の 「発散方式」の例 (前面道路が2つの場合)


敷地 凹 部分の測定線の設定方法
 (2009JCBAより)






隣地等の地盤面が当該敷地の平均地盤而より1m以上高いとき(法56条の2第3項,令135条の12第1項第二号) (2006H)

隣地が高い場合の測定面の緩和
※ なおこの規定は,日影の影響が広い範囲にも及ぶため,隣地のみならずこれに隣接する土地(連接地)においても日影が生じるものは緩和される。


※ 隣地の地盤面について
建築物がない場合の隣地の平均地表面の取り方

問題点
イ 敷地に相当する範囲の取り方
ロ 地盤のレベルの測定(他人の土地のため)
ハ 将来ともその高さが担保されるのか

以上のような問題点があるため,実際の適用に当たっては,土地の造成等により現にその位置が確定している場合あるいはそれに近い状態でないと難しいと思われる。



隣地が低い場合の測定面 (2006H)

隣地が低い場合の測定面

※敷地が隣地より高い場合は,当然,敷地の地盤面からの高さとなる



隣地の連接地で高低差がある場合の測定面の緩和(法56条の2第3項,令135条の12第1項第二号) (2006H)

隣地の連接地で高低差がある場合の測定面の緩和

「連接する」とは道路,河川等を隔てて接する場合も含む。



許可による規制緩和(法56条の2第1項ただし書き)
行政庁が土地の状況等により,周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した建築物は緩和される。


既存不適確建築物の許可の取扱い
(省略)



隣地及び連接敷地とも高低差≧1mの場合(法56条の2第3項,令135条の4第1項二号) (1995K)

隣地及び連接敷地とも高低差≧1mの場合



平均地表面
 (2009JCBAより)
法第56条の2,令第135条の12第1項第2号
日影規制の適用にあたって,建築物の敷地が隣地等より低い位置にある場合で,当該隣地等に建築物がない場合は,令第135条の12第1項第2号により,当該隣地等の地盤面は平均地表面となる。
この場合,平均すべき範囲は,将来1つの敷地として考えられるような土地における全地表面の平均で計算する。ただし,連続して区切ることが難しい場合は,日影の及ぶ範囲でもよい。
建築物がある場合とない場合との間に著しい差が生じないことを原則とする。


平均地表面の設定方法 例 1 
(2009JCBAより)

平均地表面の設定方法 例 1


平均地表面の設定方法 例 2(区切ることが難しい場合の設定例) 
(2009JCBAより)

平均地表面の設定方法 例 2(区切ることが難しい場合の設定例)



日影規制における塔屋等の高さ算定
高さの算定における塔屋の扱い(対象建築物になるかどうかの塔屋の扱い)
階段室,昇降機等については,水平投影面積が建築面積の1/8以内のものは,その部分の高さ5mまでは建築物の高さに算入しない。算入されない場合はその部分を除いた高さで対象建築物になるかどうか判断される。
また,屋上に設ける高架水槽,クーリングタワー等の建築設備についても建築物の一部であるため,同様の扱いを受けるので注意を要する(煙突,避雷針は屋上突出物とみなして高さに算入されない)。日影規制対象建築物となれば,その部分の日影も含めて規制値を満足しなければならない。
工作物は日影規制の準用を受けないが(法88条),屋上広告塔については,形態的に日影の影響を及ぼすため行政指導している行政庁もあるので注意を要する。


平均地盤面の算定

(1)平均地盤面の算定方法について
@対象建築物の判断は,3m以内ごとの平均の地盤面より算定する。
A測定水平面の高さは,3m以内ごとの平均の地盤面からではなく,敷地全体の平均地盤面より算定する。

(2)同一敷地内に2以上の建築物がある場合の扱い(下図) 
(2006H)

(2)同一敷地内に2以上の建築物がある場合の扱い
2以上の建築物の平均地盤面
2以上の建築物を1の建築物とみなして適用する。

@1つの建築物が対象建築物であれば,高さが10m未満(又は軒高7m以下,階数2以下〉の建築物も一緒に対象建築物となる。

A平均地盤面の算定は2以上の建築物で1つの平均地盤面を算定する。この場合の高さは,h1,h2ではなく,それぞれH1,H2で算定する旨の規定であるが,
イ 対象建築物となるかどうかの算定
ロ 対象建築物となった場合の高さの算定
の2つの規定については,ロの場合はH1,H2で算定して支障ない。イの場合はケースにより有利,不利があるが,法文上は個々の建築物の地盤面ごとのhl,h2となる。ただし,行政庁に再確認しておきたいところだ。



■  002 日影規制の特性他 (法56条の2第2項,第4項,法56条1項3号)

法第56条の2全文

【日影による中高層の建築物の高さの制限】
第56条の2  別表第4(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「
対象区域」という。)内にある・同表(ろ)欄の当該各項(4の項にあっては,同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土,当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は,冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあっては,午前9時から午後3時まで)の間において,それぞれ,同表(は)欄の各項(4の項にあっては,同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(2の項及び3の項にあっては,当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分,高層住居誘導地区内の部分,都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に,敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において,同表(に)欄の(一),(二)又は(三)の号(同表の3の項にあっては,(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土,土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし,特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては,この限りでない。
別表第4 ⇒ 法別表第4 「日影による中高層の建築物の制限 (第56条,第56条の2 ... 」

2  同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては,これらの建築物を1の建築物とみなして,前項の規定を適用する。

3  建築物の敷地が道路,川又は海その他これらに類するものに接する場合,建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における第1項本文の規定の適用の緩和に関する措置は,政令で定める。
政令 ⇒ 令第135条の12 「日影による中高層の建築物の高さの制限の緩和」

4  対象区域外にある高さが10mを超える建築物で,冬至日において,対象区域内の土地に日影を生じさせるものは,当該対象区域内にある建築物とみなして,第1項の規定を適用する。

5  建築物が第1項の規定による日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合又は建築物が,冬至日において,対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める。
政令 ⇒ 令第135条の13 「建築物が日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場 ... 」



日影による中高層建築物の高さ(法56条の2)

規制対象建築物は,第1・2種低層住居専用地域では軒の高さが7mを超えるか地階を除く階数が3以上の建築物,または商業地域,工業地域,工業專用地域を除くその他の都市計画区域では高さが10mを超える建築物である。
(なお,用途地域の指定のない区域でも対象建築物の規制がある。)

各例
@高さが10mを超えかつ軒高が7mを超えるか,または地上階数が3以上の建築物で以下の例は全ての対象区域で対象建築物となる。
軒高7m超え,高さ10m超え,地上階数4
軒高7m超え,高さ10m超え,地上階数2
軒高7m以下,高さ10m超え,地上階数3

A高さが10mを超え,軒高7m以下かつ地上階数が2以下の建築物は,対象区域のうち,第1・2種低層住居専用地域以外で対象建築物となる。
対象建築物も第1・2種低層住居専用地域
(対象建築物 : 軒高7m超え,又は地上階数3≧)におとす日影は規制されない。

B高さが10m以下で,軒高が7mを超えるか,または地上階数が3以上の建築物で以下の例は全て,対象区域のうち,第1・2種低層住居専用地域でのみ対象建築物となる。
第1・2種低層住居専用地域以外にあるものは,第1・2種低層住居専用地域に落とす日影も規制されない。
軒高7m超え,高さ10m以下,地上階数3
軒高7m超え,高さ10m以下,地上階数2
軒高7m以下,高さ10m以下,地上階数3



日影規制の特性

法56条の2法56条の2第2項
@同一敷地内に2以上建築物がある場合1の建築物とみなして第1項の規定(日影規制)の適用を受ける。

法56条の2第4項
A対象区域外(商業地域など)にある10mを超える建築物の扱い冬至日に,対象区域内(隣地の第二種住居地域など)の土地に日影を生じさせるものは,当該対象区域内(第二種住居地域など)にある建築物(高さ>10m)とみなして,第1項の規定(日影規制)の適用を受ける。

法56条第7項第3号
B第一種,第二種中高層住居専用地域内の北側斜線制限(法56条1項第3号)については,対象地域として指定された区域内では適用されない。日影規制のチェックはできるということ。ただし,高度地区がある場合は同別途適用がなされるので注意。
(全国の行政庁(特に古都など関西地方)の高度地区での適用除外規定の有無については未調査です。)


区域がまたがる場合

日影規制では影が生じた区域の規制がそれぞれ適用される。(法56条の2第4項)

(1)対象区域外から対象区域内(隣地の)に日影を生じた場合
 (2006H)

商業地域にある建築物(高さ>10m)が第二種住居地域に日影を生じさせる場合

商業地域にある建築物(高さ>10m)が隣地の第二種住居地域に日影を生じさせる場合

図の5m,10mラインは商業地域なので規制を受けない。第二種住居地域の境界線上では10m以降の規制値に適合させる。


(2)逆のケース,対象区域内から対象区域外に日影を生じた場合 
(2006H)

商業地域に日影を生じさせる場合

隣地の商業地域に日影を生じさせる場合10m以降の規制値が,商業地域内でオーバー(図のハッチ部分)しているが対象区域外なので規制を受けない。

(いわゆる,対象区域外地域の住民が納得し兼ねるケース。)



制限の異なる対象区域に日影を生じさせる場合  (法56条の2第1項,第4項,第5項 →) 令135条の13

(1)規制日影時間が異なる場合(令135条の13) (2006H)

日影が生ずる各対象区域内にあるものとみなして制限を受ける。


(2)区域境界線が実質的に規制ラインとなる場合 (2006H)

日影が生ずる各対象区域内にあるものとみなして制限を受ける。
第一種低層住居専用地域に影が生じる場合は,測定水平面が4mから1.5mに変わる点に注意が必要だ。


(3)日影の測定面が厳しくなる場合 (2006H)

日影が生ずる各対象区域内にあるものとみなして制限を受ける。



建築物が第一種・第二種低層住居専用地域の内外にわたる場合 (2006H)

(1)建築物が第一種低層住居専用地域の内外にわたる例 (2)建築物が第一種低層住居専用地域の内外にわたる例

第一種低層住居専用地域内の部分が軒高<7m,かつ,地上階数≦3なので規制対象にはならないように思われがちだが,令体としては高さ>10m,地上階数も≧3なので,第一種低層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域のいずれの対象区域内に生じさせる日影も制限を受ける。

第一種低層住居専用地域内の部分が地上≧3階(及び軒高>7m)なので,規制対象建築物となるが,高さ≦10m(第二種…では制限外)なので,第一種低層住居専用地域内に生じさせる日影だけが制限される。
(3)建築物が第一種低層住居専用地域の内外にわたる例

高さ≦10mであり,また,第一種低層住居専用地域内の部分の軒高≦7m,かつ,地上2(≧3)階なので,規制対象建築物にはならない。

 

(4)第一種低層住居専用地域内の建築物(高さ≦10m)が
第二種住居地域に日影を生じさせる場合 
(2006H)
(5)第二種住居地域内の建築物(高さ≦10m)が
第一種低層住居専用地域に日影を生じさせる場合 
(2006H)

建築物が第一種低層住居専用地域内にあり,軒高が9m(>7m)であるが,高さが≦10m(第二種…では制限外)なので,北側の第二種住居地域内では,規制は受けない(第一種低層住居専用地域内のみの規制となる)。

(4)とは逆に,建築物が第二種住居地域内にあり,高さ≦10mなので,第一種低層住居専用地域に影を生じさせても,対象建築物にはならない。



建築物のある区域と日影の落ちる区域の規制が異なる場合
 (1995K)
規制対象区域内で建築物のある区域と日影の落ちる区域(隣地準住居地域など)の規制が異なる場合には,日影の落ちる区域(隣地準住居地域など)の規制(高さ>10m)が適用される(法56条の2第5項,令135条の4の3)。

対象区域の建築物が規制される例(法56条の2第4項) (1995K)

図の場合,用途地域境界線のAB 間が5mラインの規制を受け,用途地域境界線のCA 間,BD 間および10mラインのAB間が10mラインの規制を受ける。


規制日影時間が異なる例(法56条の2第5項) (1995K)

図の場合,5mライン,10mラインにおいて,それぞれの区域の日影時間をチエックするとともに,区域境界線AB 間およびCD 間において4時間の,区域境界線EA 間およびDF 間において2.5時間の目影規制時間をチエックしなければならない。


低層住居専用地域の内外にわたる例(法56条の2第5項) (1995K)

図の場合,準住居地域内においての規制を満足するとともに,用途地域境界線において,第1種低層住居専用地城の10mラインの規制を満足する必要がある。なおその際の測定面は平均地盤面からの高さが1.5mとなる。


対象区域外の建築物の北側道路内に対象区域の境界線があり,その間に別敷地がある例 (1995K)

図の場合,用途地域境界線が10mラインの規制を受ける道路に接していないため道路による緩和を受けることはできない。




■  003 参考 :横浜市 Web より申請の取扱い

注意情報は令和2年(2020)時点です。念のため,最新情報を確認してください

以下,参考

横浜市 Web より申請の取扱い

日影データ及び日影図表示方法について

(1) 日影データ
横浜市における標準緯度を北緯35°40'としておりますので、この緯度における冬至日のデータとして、下表の数値を使用してください。
).令和2年(2020)現在,時刻日影図は測定開始〜終了が8時〜16時となっています。

冬至日の日影データ(横浜市の標準経緯、東経139°39'、北緯35°40'におけるデータ)

真太陽時 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00
16:00 15:30 15:00 14:30 14:00 13:30 13:00 12:30 無し
太陽方位角 53.37 48.28 42.76 36.76 30.25 23.24 15.78 7.99 0
日影の倍率  7.040 4.400 3.240 2.600 2.202 1.950 1.790 1.700 1.672


(2) 方位
ア 方位の表示
 「真北」と明示し、方位記号の南北軸の長さは概ね10p以上としてください。
イ 測定資料の添付
 磁石により求めた方位は誤差があるため、原則として敷地における太陽(日影)方位の実測により真北を求め、方位を求めた測定資料を添付してください。
 ただし、直線状の街路に接するなど、1/2,500地形図(白地図:横浜市都市計画局)で明確に方位が求められ、かつ、日影規制時間に対して余裕のある計画の場合は、この限りではありません。この場合は白地図から方位を求めた資料を添付してください。
ウ 真北の測定方法
 敷地において任意の時刻に太陽位置を測定し、計算により真北方向を求める方法が一般的です。この場合、計算に必要な諸数値は次によってください。
均時差・視赤緯:最新の理科年表で測定日の値を参照してください。敷地の経度緯度:1/2,500地形図(横浜市都市計画局) ・1/25,000地形図(国土地理院) 等で敷地の位置を特定し、図郭の経度・緯度を按分して求めます。

また、敷地で太陽が南中する時刻に下振り日影方向を測定する簡便法もあります。
南中時刻 = 標準時12時0分0秒 → (±均時差) → (敷地の経度→135°)/15°×60(分)

(3) 図面の縮尺
 実日影図は、1/100〜1/500程度で、分かりやすいものとしてください。図面が極端に大きくなる場合は、小縮尺の全体図と部分拡大図(1/200以上)を作成してください。

(4) 境界線等の記入
ア 敷地境界線、道路等の境界線
 敷地境界線を明確にわかるよう記入してください。敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接している場合は、当該道路等の両側の境界線と幅員を記入してください。
イ 用途地域の境界線
 建築位置における指定用途地域を表示するとともに、日影が及ぶ範囲内に用途地域が複数指定されている場合は、その種別と境界線を記入してください。なお、用途地域の境界線位置については、都市計画局において調査を行ってください。

(5) 建築物の形状及び高さ
ア 建築物の形状
 建築物の壁芯(又は柱芯)ではなく、外面(そとづら)の形状を記入してください。
 建築物本体や建築設備の形状や高さが複雑な場合は、それらを包含する形状に単純化してください。(屋上の素通しの縦桟手すり部分は省略可)
イ 建築物各部分の高さの記入
 原則として平均地盤面(日影用全体平均GL)からの各部分の高さを記入してください。なお、平均地盤面の高さ(設計GLからの高さ、標高値等)を注記で明示してください。
ウ 平均地盤面算定資料の添付
 平均地盤面を算定した立面展開図及び計算式を添付してください。(計算式のみで明確な場合は立面展開図を省略可)

(6) 日影形状線(時刻日影線)
ア 測定面(受影面)の設定
 実日影図では、日影の及ぶ近隣の地表面の高さを受影面としてください。地表面に高低差がある場合は、複数の受影面を設定し、その領域及び受影面の高さ(設計GLからの高さ等)を明示してください。この場合、低い側の高さに合わせて受影面高さを包括して設定してもかまいません。
イ 日影形状線の記入
 冬至日の真太陽時による午前9時から午後3時までの1時間ごとに測定面上に生ずる日影の形状を細い実線で記入し、それぞれの時刻を表示してください。
 また、時刻日影線に下表による彩色をしてください。


横浜市日影図作成最新情報概略  令和2年現在(2020)

時刻日影図は測定開始〜終了が
8時〜16時
冬至日の日影データ(横浜市の標準経緯、東経139°39'、北緯35°40'におけるデータ) 
(前述の記載と重複します。)

真太陽時 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00
16:00 15:30 15:00 14:30 14:00 13:30 13:00 12:30 無し
太陽方位角 53.37 48.28 42.76 36.76 30.25 23.24 15.78 7.99 0
日影の倍率  7.040 4.400 3.240 2.600 2.202 1.950 1.790 1.700 1.672


横浜市では、日影線が錯そうしている場合に、その識別を容易にするため、下表の彩色をお願いしています。30分ラインは点線で。

時刻  8時 9時 10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時
                 


参考).Auto CAD での画層の近似色 No. (遠山事務所の場合です。)

時刻  8時 9時 10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時

色 No.

19 102 30 140 10
(=
Red
162 70
(又は60
212 231

カラーサンプルファイル(.dwg)ダウンロード :a1_50_layer_color_sample_Y_hikage.lzh   表示 :DWF   HTM  (別ウィンドウで表示)  README
色従属印刷スタイルファイル(.ctb) ダウンロード :T_office_monochrome.ctb  README

等時間日影線(/特定点日影リスト)はカラーの指定はありません。
参考カラーNo. :  2時間 →No.20   3時間 →No.152


その他 「事前手続の手引」他 ,以下横浜市のWebを参照。
「横浜市まちづくり調整局・・ ・・・」  

[説明の範囲と日影図 ] 【条例に基づく住民説明の範囲】 近隣住民 必ず説明しなければならない住民 / 求められたときは説明しなければならない住民 , ……他
 → 最新情報を参照してください。



日影規制の注意点 (日影規制の取扱い 横浜市.htmより)

同一敷地内の建築物 (建築基準法56条の2第2項)
同一敷地内に2以上の建築物がある場合(用途上不可分の場合)、これらの建築物は一の建築物と見なされるので、申請対象棟単独では対象外の建築物であっても、既存棟に対象となる建築物があれば、敷地内の建築物全体が日影規制の適用を受けることになり、既存棟も含めた検討が必要になります。

日影規制が適用されない地域・区域の建築物の特例(建築基準法第56条の2第4項)
日影規制の対象地域・区域外の建築物であっても、規制対象地域・区域に日影を及ぼす場合は、規制が適用されます。 例えば、下
の場合、計画地は対象地域外(商業地域)ですが、対象地域である第1種中高層住居専用、第1種住居、近隣商業の各地域に日影が及ぶので、各々の規制値について検討が必要となります。

図  高さ10mを超える建築物を商業地域に計画する場合
 
高さ10mを超える建築物を商業地域に計画する場合



対象建築物又はその日影が制限の異なる地域・区域にわたる場合 (建築基準法第56条の2第5項)
対象建築物が制限の異なる地域・区域にわたる場合は、各地域・区域内に対象建築物があるものとみなして規制が適用されます。
対象建築物の日影が制限の異なる地域・区域にわたる場合は、日影を生じさせる各区域内に対象建築物があるものとみなして規制が適用されます。
例えば、下
図1の場合、日影は第2種中高層住居専用、第2種住居専用、近隣商業の各地域に及んでいますが、高さが10m未満であり、それらの地域の対象建築物にならないため、第1種低層住居専用地域内についてのみ検討が必要です。
また、下
図2の場合、日影が及ぶ全ての地域の対象建築物となるので、それぞれの地域の規制値について検討が必要となります。

図1  軒高7mを超え、高さ10m未満の建築物を第1種低層住居専用地域に計画する場合
 
軒高7mを超え、高さ10m未満の建築物を第1種低層住居専用地域に計画する場合


図2  高さ10mを超える建築物を近隣商業地域に計画する場合
 
高さ10mを超える建築物を近隣商業地域に計画する場合




■  004 参考 :確認申請例 (東京都内)

注意例は平成22年(2010)時点の規制内容及び取扱いです最新情報とは異なります

以下,申請地東京都内の確認申請例です。 (解説用作図 :フリーソフト「LT日影」)

(左のフレームの「法規関連資料のダウンロード」より)

日影図サンプルファイル(.dwg) ダウンロード :K_hikagezu_a1_200_no1.lzh README    表示 :DWF  HTM (別ウィンドウで表示)   
建築物の等角図は3Dビュー「南東等角図」に切り替えてみてください。

色従属印刷スタイルファイル(.ctb) ダウンロード :
T_office_monochrome.ctb
  README

日影図 (時刻日影図及び等時間日影図)_1.5m
・ 敷地境界線を明示。
・ 敷地に接する道路の幅員を明示。
土地の高低を明示。
・ 敷地内のおける建築物の位置が確定できる寸法を明示。
・ 敷地境界線からの水平距離
5m及び10mの線を明示。
・ 平均地盤面からの
建築物の各部分の高さを明示。
・ 縮尺を明示。
・ 午前8時から
30分ごとに午後4時までの各時刻の日影の形状を明示(時刻日影図)。
・ 等時間日影線を明示(
等時間日影図)。

その他の明示次項

・ 地盤面の異なる区域がある場合や,日影時間の異なる区域がある場合は,それらの境界線を明示。
・ 敷地が水面や線路敷等に接している場合は,それらの位置及び幅員を明示。


 

その他の図面への明示次項
・ 2面以上の断面図には平均地盤面(日影用)と併せて,隣地の地盤面または平均地盤面明示。
 

                                       ↓

建築概要 等時間日影図 凡例
規制時間は用途地域ごとに地方公共団体が条例で指定するので事前に調査しておくこと。
・ 敷地内に建築物が複数ある場合は,これらの建築物を一の建築物とみなして平均地盤面を求める。

 
・ 方位は磁北ではなく真北を明示。

 

                                       ↓

日影形状算定表

・ 平均地盤面からの建築物の各部分の高さ,日影の形状を算定するための算式を明示。

 

                                       ↓

特定点 特定点日影時間リスト
・ 5m,10mライン上に主要点を明示。

 
主要点に生じさせる日影時間のリストを作成。

 


その他の明示次項


 



参考 :3D元図 (
申請には必要なし)

3D南西図 3D南東図

 

 



  005 日影図(/天空図)を作成するソフト(フリー)の紹介 (お勧めです)  (許可なく紹介していますが,了解されておられるようです。)

前記「
  004」の解説用作図に使用した日影図(/天空図)を作成するソフト(フリー)の紹介です。

「LT日影」:AutoCAD (LT) 2000〜2005上で,時刻日影図,等時間日影図,壁面日影図,壁面等時間日影図及び天空図を作成するツール (2007年4月現在 無料ソフト) …… 「LT日影2011」(AutoCAD( LT)2004〜2011 Windows 7対応及び「LT日影2016」もあります。
「LT日影」は試用時間に制限(起動後20分間)がありますが,2007年4月現在,作者へのMail連絡で試用時間を解除するキーコードを取得することができます。最新版の「LT日影2011」は試用制限時間はありません。

「LT日影」(「LT日影2011」)概要 (以下,作者のReadme抜粋です)
AutoCAD(LT)2000〜2005上で,日影図,天空図を作成するツールです。
精度の保証は出来ません。使用される方の判断でお使い下さい。
日影等時間,壁面等時間は,建物が大きくなるほど誤差が大きくなります。
複数の建物に対応しています(天空図は不可)。
傾斜地の日影図には対応していません。

名前は『LT』日影ですが、レギュラー版でも動きます。


補足(記.遠山)
誤差(精度)は尺度1/200でも12〜17mm程度です。ほぼ,問題ないでしょう。
傾斜地の日影図は,3Dビューで機転を利かせながらコツコツと修正編集してみてはいかがでしょうか。



建物に使う図形
「LT日影」で取得できる図形 :LINE,CIRCLE,ARC,ELLIPSE,POLYLINE,LWPOLYLINE,3DPOLYLINE3DFACE及び3D回転された図形に対応しています。
「LT日影2011」で取得できる図形 :LINE,CIRCLE,ARC,ELLIPSE,POLYLINE,LWPOLYLINE,3DPOLYLINE(末検証ですがOKのようです)及び3D回転された図形に対応しています。3DFACE には対応していません。
共に「SOLID,3DSOLID」には対応していません。
その他詳細は作者のReadmeを参照してください。

名前は『LT』日影ですが,
レギュラー版でも動きます
英語版では動きません。

ソフト名 : 
LT日影LT日影2011 (2007年4月現在 無料ソフト)
LT日影2011動作環境 : AutoCADD LT ( / 同レギュラー版 ) 2004〜2011(64bit版 / 32bit版)   OS : WindowsXP,7(64bit版 / 32bit版)
注.AutoCAD2007は基本的には動作環境がXPまでなので,Windows7では動作しないが,7のXPモードではOKです。又,名前は「LT日影」ですが,レギュラー版でも動作します。)
ファイル名 : kage.zip
ダウンロードサイト : http://izawa.web.infoseek.co.jp/
著作権者 :  f.izawa


 「LT日影2011」の操作方法(及び最新バージョン情報)については以下を参照してください。
HOME → AutoCADカスタマイズ,他 →
ACAD/LT_126   カスタマイズ情報 → 「覧外」 063  AutoCAD LT ( / 同レギュラー版 ) 2006〜2011上で,時刻日影図,等時間日影図,壁面日影図,壁面等時間日影図及び天空図を作成するツール「LT日影2011」の操作方法 (必見です)



以下参考図). 時刻日影図/等時間日影図/壁面日影図 (解説用に作成したサンプルファイルの一部です

     


(左のフレームの「
法規関連資料のダウンロード」より)

サンプルファイル ダウンロード : a1_200_hikage_safe_1.lzh   表示 :DWF  
HTM  (別ウィンドウで表示) 
3D元図作成の基本操作解説図(作成操作は日影及び天空率算定用共通)含む。
3Dビュー「南東等角図」に切り替えてみてください。「円筒形+ドーム」及び「ドーム」作成の回転メッシュサーフェースはレギュラー版AutoCAD専用です。

色従属印刷スタイルファイル(.ctb) ダウ
ンロード :T_office_monochrome.ctb  README







                                                 
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