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バリアフリー法

「 目 次 」

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001 バリアフリー法
       はじめに
        
バリアフリー(Barrier Free)の考え方
        
ユニバーサル(Universal)デザインの考え方
        
ユニバーサルデザイン政策大綱
        
バリアフリー法
       「バリアフリー法」における特定建築物および特別特定建築物
      
バリアフリー法の規定について
       旧ハートビル法の概要注.現在は交通バリアフリー法と共に統一されてバリアフリー法となっている)
       特定建築物と特別特定建築物 (バリアフリー法施行令第4条,5条)
      
留意事項
      
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■ 
001 バリアフリー法

はじめに

バリアフリー(Barrier Free)の考え方
バリアフリーとは,高齢者や障害者などが社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や精神的な障壁を取り除くための実践,もしくは具体的にそれらの障害を取り除いた状態をいう。

ユニバーサル(Universal)デザインの考え方
ユニバーサルデザインとは,製品・建物・環境を年齢や性別,身体状況,国籍などにかかわらず,あらゆる人が利用できるようにあらかじめ考えてデザインするという概念で提唱されたもの。

ユニバーサルデザイン政策大綱
平成17年7月には,国土交通省が「ユニバーサルデザイン政策大綱」を発表し,各地でのユニバーサルデザインの取り組みを推進する役割を果たしている。
「ユニバーサルデザイン政策大綱」は,『どこでも,だれでも,自由に,使いやすく』というユニバーサルデザインの考え方を踏まえ,今後,身体的状況,年齢,国籍などを問わず,可能な限り全ての人が,人格と個性を尊重され,自由に社会に参画し,いきいきと安全で豊かに暮らせるよう,生活環境や連続した移動環境をハード・ソフトの両面から継続して整備・改善していく」という理念に基づき,5つの政策目標(各内容省略)を掲げ,推進していくとしている。

バリアフリー法
平成6年に「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」が,また平成12年には「
高齢者身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律交通バリアフリー法)」が制定された。その後,「ユニバーサルデザイン政策大綱」の具体的施策の一つとして掲げられた「一体的絵合的なバリアフリー施策の推進」のためには,個別に制定・運用される法律を一体化する必要があると考えられるようになった。
平成18年6月,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」が制定され,同年12月に施行された。この法律は従来の建築物のバリアフリー化を目的とする「ハートビル法」と駅や公共交通機関などのバリアフリーを目的とする「交通バリアフリー法」を一本化したもので,高齢者や障害者などが地域で移動しやすいまちづくりを総合的に推進することを目指している。 「バリアフリー法は,ユニバーサルデザインのまちづくの基礎ともなる法律である。
同法の主な特徴は次の6点にまとめられる。(詳細省略)
1.対象者の拡大(高齢者,障害者はもとより,身体障害者,知的障害者,精神障害者,発達障害者を含む)
2.対象施設の拡充
3.基本構想の策定
4.計画段階からの住民参加の促進を図るための措置
5.施設設置管理者等が講ずべき措置
6.国及び国民の債務

「バリアフリー法」における特定建築物および特別特定建築物
「バリアフリー法」では,
2,000u以上(公衆便所は50u)の特別特定建築物に対してバリアフリー化の基準である「建築物移動等円滑化基準が義務づけられる(基本的には,「ハートビル法」の利用円滑化基準と変わらない)。


バリアフリー法の規定について

高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる
特定建築物の建築の促進に関する法律バリアフリー法の規定も建築基準関係規定とみなされる特別特定建築物(≧2,000u)の建築をしようとする場合,「建築基準法6条1項に規定する建築基準関係規定とみなす」と規定されている。バリアフリー法の利用円滑化基準及び必要付加条例の規定は,建築主事等による建築確認,中間検査,完了検査の対象となる。


旧ハートビル法の概要
(2006H)
注.現在は交通バリアフリー法と共に統一されてバリアフリー法となっている

   旧ハートビル法の概要

 特別特定建築物
  
≧2,000u → → →

 
→ → → → → → → → 

所管行政庁による
基準適合命令等

                     義務付け

         利用円滑化基準

        努力義務
              
条例による義務化可能

特定建築物 → → 

→ → → → → → → →

所管行政庁による
指導及び助言

 利用円滑化誘導基準

     


特定建築物の
建築主の申請 
→ →

 

 

 


所管行政庁による
計画の認定
     → → → → → → 

計画に従わない場合の改善命令,
認定取り消し等

 
  
← ← ← ← ←  建築基準法の手続の簡素化

 
  
← ← ← ← ←  表示制度

 
  
← ← ← ← ←  容積率の算定の特例



← ← ← ← ← ← ←  予算,税制等の助成措置

既存の特定建築物に設ける車いす使用者のための昇降機について建築基準法の特例

→  →  →  → → → → →

所管行政庁による認定
高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる建築物の容積率の特例

→  →  →  → → → → →

特定行政庁による許可


特定建築物と特別特定建築物 (バリアフリー法施行令第4条,5条) (2006H)

特定建築物と特別特定建築物
特定建築物

定義 :学校,病院,・・・,老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物またはその部分をいい,これらに附属する建築物特定施設(出入口,廊下等,階段,傾斜路,昇降機,便所,ホテルまたは旅館の客室,敷地内の通路,駐車場等)を含むものとする。
特別特定建築物

定義 不特定かつ多数の者が利用し,または主として高齢者障害者等が利用する特定達築物であって,利用等円滑化が特に必要なものとして攻令で定めるものをいう。
規制 :「建築物移動等円滑化基準」への努力義務

規制 2,000u以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む)をしようとするときは「建築物移動等円滑化基準」に適合させなければならない。

1 学校 特別支援学校(盲学校,聾学校又は養護学校)
2 病院又は診療所 病院又は診療所
3 劇場,観覧場,映画館又は演芸場 劇場,観覧場,映画館又は演芸場
4 集会場又は公会堂 集会場又は公会堂
5 展示場 展示場
6 卸売市場又は百貨店,マーケットその他の物品販売業を営む店舗 百貨店,マーケットその他の物品販売業を営む店舗
7 ホテル又は旅館 ホテル又は旅館
8 事務所 保健所,税務署その他不特定かつ多数の者が利用する官公署
9 共同住宅,寄宿舎又は下宿
10 老人ホーム,保育所,福祉ホーム(,身体障害者福祉ホーム)その他これらに類するもの 老人ホーム,福祉ホーム(,身体障害者福祉ホーム)その他これらに類するもの(主として高齢者,身体障害者等が利用するものに限る)
11 老人福祉センター,児童厚生施設,身体障害者福祉センターその他これらに類するもの 老人福祉センター,児童厚生施設,身体障害者福祉センターその他これらに類するもの
12 体育館,水泳場,ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場 体育館(一般公共の用に供されるものに限る),水泳場(一般公共の用に供されるものに限る)若しくはボーリング場又は遊技場
13 博物館,美術館又は図書館 博物館,美術館又は図書館
14 公衆浴場 公衆浴場
15 飲食店又はキャバレー,料理店,ナイトクラブ,ダンスホールその他これらに類するもの 飲食店
16 理髪店,クリーニング取次店,質屋,貸衣装屋,銀行(,郵便局)その他これらに類するサービス業を営む店舗 理髪店,クリーニング取次店,質屋,貸衣装屋,銀行(,郵便局)その他これらに類するサービス業を営む店舗
17 自動車教習所又は学習塾,華道教室,囲碁教室その他これらに類するもの
18 工場
19 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの
20 自動車の停留又は駐車のための施設 自動車の停留又は駐車のための施設(一般公共の用に供されるものに限る)
21 公衆便所 公衆便所
22 公共用歩廊 公共用歩廊

). 公衆便所にあっては50u以上(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令第9条)



留意事項

地方自治体の整備の義務  : 委任条例(「バリアフリー法」第14条第3項による)

「バリアフリー法」では,地方自治体が地域の実情にあわせて,独自に委任(付加)条例を定め,以下の整備の義務を課すことができるとしている。
いずれも
建築基準関係規定として義務化される

1.特別特定建築物に条例で定める
特定建築物を追加することができる
2.特別特定建築物の規模を2,000u未満で別途定めることができる
3.建築物移動等円滑化基準に必要な事項を付加することができる

長期にわたる施設の維持管理

建築物のユニバーサルデザイン化には,こうした
物理的な環境整備もさることながら,長期にわたる施設の維持管理も不可欠となる。「バリアフリー法」では,施設管理者の責務が強化され,新築施設はもちろん既存施設においても,利用者がいつでも安全・快適に利用できるよう良好に維持管理されていなければならない。利用者に対しては,施設利用情報が常に適切に提供されることも必要である。



サンプルファイルダウンロード
左のフレームの「法規関連資料のダウンロード」の
「バリアフリー関連,他」より,以下設計用参考図をダウンロードできます。

留意).各参考図の最新の基準情報はサイト等にてご確認願います。

以下設計用参考図(DWG)

バリアフリー設計標準
避難設備・施設_階段_便所_エレベーター,注意喚起用点状ブロック,誘導用線状床材,各種車椅子

バリアフリー設計標準
駐車場例及び同サインボード例


ピクトグラム(Pictogram),他

路面表示各種




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